このページの要点

ターム留学は現地の1学期だけ通う留学で、期間はおおむね10週間〜5か月。国と学校で1タームの長さが違います。

  • 国選びは制度で決まる:カナダは6か月以内なら学生ビザが不要、オーストラリアはETAでの就学が合計3か月まで、アメリカは正規生として通うなら期間を問わず学生ビザが必要——期間の刻み方で選べる国が変わります(各国政府の公式で必ず確認)。
  • 3つの境目を先に確認:90日(渡航認証で就学できる上限の目安)/3か月以上(国の教育ローンの対象)/125日以上(トビタテの「ロング」=枠が全体で20人程度)。ここをまたぐかで使える制度が変わります。
  • 単位認定は在籍校の判断:日本の高校は留学を含む学修を36単位まで認定できますが、認定するかどうかは学校が決めます。出願前に在籍校へ確認してください。

ターム留学は「1年は長すぎるが、2週間では物足りない」というご家庭が最初に検討する選択肢です。ところが上位の情報は「1タームの長さは国によって違います」で止まっていることが多く、では何をどう決めればよいのかが見えません。実際に判断を左右するのは、期間が制度の境目をまたぐかどうかです。ビザが要るのか要らないのか、奨学金の枠がどちらに入るのか、教育ローンの対象になるのか、単位認定を受けられるのか——この記事では国別の学年暦と制度の境目を並べ、期間・国・時期の決め方を順番に整理します。

本記事のビザ・渡航認証、奨学金、教育ローンの要件は各国政府・文部科学省(トビタテ!留学JAPAN 第11期募集要項)・日本政策金融公庫の公開情報にもとづきます(2026年7月時点)。制度と料金は改定が多いため、渡航前に必ず各国政府(米国務省・CBP/加IRCC/豪Home Affairs〈subclass 601〉/NZ Immigration/英GOV.UK)と各制度の公式情報でご確認ください。とくにアメリカは、単位につながる就学が渡航認証(ESTA)では認められないことを米国務省が明示しています。学年暦や1タームの長さは学校・州によって異なる一般的な目安です。

ターム留学とは——「1学期」の長さは国で違う

POINT

ターム留学は、現地校の学期(term / semester)単位で通う留学です。1タームは国と学校で違い、10週間程度から5か月程度まで幅があります。まず「自分が検討している国の1タームは何週間か」を確認するのが出発点です。

同じ「1学期」でも、4学期制(4ターム)の国では約10週間、2学期制(2セメスター)の国では約4〜5か月になります。この差は単なる長さの違いではなく、後述するビザや奨学金の要件をまたぐかどうかに直結します。プログラム側が「3か月以上をターム留学と呼ぶ」といった独自の定義を使っていることもあるため、募集要項の期間表記を必ず日数で確認してください。

国別の学年暦と1タームの長さ(一般的な目安)

学期の区切り1タームの長さの目安学年の開始
ニュージーランド4ターム制約10週間1月末〜2月
オーストラリア4学期制約10週間1月末〜2月
カナダ2セメスター制約4〜5か月9月
アメリカ2セメスター制約4〜5か月8月下旬〜9月
イギリス3ターム制約3〜4か月9月

南半球のニュージーランドとオーストラリアは学年が1月末〜2月に始まり、12月に終わります。日本の学年(4月〜3月)とズレるため、「日本の高2の1学期に行く」場合と「3学期に行く」場合で、現地では学年のどのタイミングに入るかが変わります。国ごとの詳細はニュージーランドの高校留学オーストラリアの高校留学カナダの高校留学でも扱っています。

先に確認すべき3つの境目(90日・3か月・125日)

POINT

ターム留学の期間は、制度の区切りにちょうど重なります。90日を超えるか、3か月以上あるか、125日以上あるか——この3点で、必要な手続きと使える制度が変わります。

期間の境目と、変わること

境目何が変わるか実務上の意味
90日就学できる期間の上限が変わる境目。渡航認証で通えるのは短期の就学までで、オーストラリアは合計3か月、ニュージーランドは3か月が上限。アメリカは単位につながる就学そのものが渡航認証の対象外。カナダ・イギリスは6か月まで4ターム制の国で1ターム(約10週間)なら渡航認証の範囲に収まりうる。ただし国により学生ビザを求められる
3か月以上日本政策金融公庫「国の教育ローン」で、外国の教育施設に3か月以上留学する場合の融資限度額が450万円以内(それ以外は350万円以内)2〜4週間の短期は対象外。ターム留学は対象になりうる
125日以上トビタテ!留学JAPANの「ロング」区分。第11期では支援予定人数全体のうち20人程度の採用予定と枠が小さい。124日以下は奨学金が留学終了後に一括支給4〜5か月のセメスター留学は枠の小さいロングに入りうる。10週間なら枠は大きいが、資金は立替が必要

つまり「なんとなく1学期」と決めるのではなく、日数を先に決めてから国と制度を合わせるほうが失敗しません。奨学金の詳細はトビタテ!留学JAPAN 高校生ガイド、資金全体の組み立ては高校生の留学奨学金ガイドにまとめています。

ビザ・渡航認証の要否で、選べる国が変わる

POINT

ターム留学で最初に効くのが在学できる期間の上限です。カナダは6か月以内なら学生ビザが不要とされ1セメスターと相性がよい一方、アメリカは現地校に正規生として通うなら期間を問わず学生ビザが必要で、オーストラリアもETAでの就学は合計3か月までです。

渡航認証・学生ビザの目安(2026年時点・必ず各国政府の公式で確認)

渡航認証就学できる期間の目安ターム留学での注意
アメリカESTA(就学目的には使えない)現地校に正規生として通うなら期間の長短にかかわらず学生ビザ(J-1またはF-1)が必要。ESTA・Bビザで認められるのは単位につながらないレクリエーション目的の受講まで10週間でもJ-1(交換留学)またはF-1が前提。F-1で公立校に通う場合は通算12か月までなどの制限がある
カナダeTA6か月以内の就学は学生ビザ(Study Permit)不要とされる1セメスター(4〜5か月)に最も向く。ただし保護者が同伴しない未成年は後見人(カストディアン)の宣誓書が必要。延長して学業を続ける可能性があるなら6か月以下でも取得が推奨されている
オーストラリアETA(subclass 601)ETAでの就学は査証の有効期間を通じて合計3か月まで。当局は「留学が主な目的なら学生ビザ(subclass 500)を申請すべき」としている1ターム(約10週間)でも学校や州の教育局が学生ビザを求めることが多い。出願先に必ず確認
ニュージーランドNZeTA+IVL(国際観光税)3か月以内・1コースまでが目安。超える場合は学生ビザ1ターム(約10週間)向き。連続2タームは学生ビザ
イギリスETA(2025年〜運用)6か月以内の短期就学が目安。ただし就学できるのは認定校で、公費で運営される学校(state-funded school)は対象外1タームは3〜4か月。18歳未満の寄宿ではChild Studentビザを求める学校が多く、その場合は1学年分の学費・寄宿費の資金証明が必要になる

この表から分かるのは、「行きたい国」から決めると期間が制度に縛られるということです。逆に「10週間で行きたい」なら南半球(NZ・豪)が、「4〜5か月がっちり通いたい」ならカナダが素直な選択になります。アメリカは期間の長短ではなく制度(J-1かF-1)で決まるため、他国と同じ感覚で「短いからビザは不要」と考えないでください。制度・料金は改定が多いため、出願前に各国政府の公式サイトで最新の条件を確認してください。短期(2〜4週間)との比較は高校生の短期留学ガイドにまとめています。

避けたい

エージェントの「ビザ不要で行けます」を、国と就学内容の確認なしに受け取る

こうすればOK

渡航日数だけでなく「現地校の単位になる就学か」を確認する。アメリカは単位につながる就学は渡航認証の対象外で、期間が短くても学生ビザが必要になる

避けたい

国を先に決めてから期間を調整する

こうすればOK

期間(日数)を先に決め、その日数で無理なく通える国を選ぶ。90日・3か月・125日の境目を意識する

避けたい

学生ビザが必要な国を「手続きが面倒」と避ける

こうすればOK

必要な手続きと所要期間を確認したうえで判断する。1セメスターしっかり通うならビザを取る価値がある場合も多い

日本の学年とのズレ——いつ行くかで進級・受験が変わる

POINT

日本の学年は4月〜3月。ターム留学は日本の学期の一部を空けることになるため、いつ行くかで在籍の扱い・進級・受験準備への影響が変わります。

在籍校での扱いは大きく「留学(在籍したまま留学し、認定を受ける)」と「休学」に分かれます。この違いは授業料や単位認定に影響します。日本の高校は、外国の高校における学修を36単位を上限に自校の単位として認定できます(学校教育法施行規則第93条第2項)。ただし認定するかどうか、どの科目に当てるかは学校の判断です。詳しくは高校留学の単位認定をご覧ください。

時期別の考え方(日本の高校在籍を前提とした一般的な整理)

行く時期現地での位置づけ国内で気をつけること
高1の後半〜高2前半南半球なら学年途中、北半球なら新学期に合わせやすい最も選びやすい時期。帰国後に高2の学習を取り戻す余裕がある
高2の後半北半球の後期セメスター(1月〜6月)に重なる帰国が高3直前になる。受験準備の開始時期と重なるため計画が必要
高3受入校側も受験学年の受け入れに慎重な場合がある国内の進路スケジュール(推薦・共通テスト等)と衝突しやすい。原則は避ける
高校入学前の春南半球の学年開始(1月末〜2月)に合わせやすい在籍校が決まる前後の手続き。入学予定校との調整が必要

留学経験を大学入試でどう活かすかは、時期の決め方に直結します。総合型選抜での扱いは総合型選抜と留学経験、帰国生入試の条件は帰国子女枠と高校留学で整理しています。ターム留学は期間が短いため帰国生入試の在外年数の要件を満たさないことが多く、入試での使い方は「経験の中身」で語る前提で考えてください。

期間と国の組み合わせを整理する

希望する期間・時期から、無理のない留学の形を確認できます。

費用の考え方——1か月あたりの単価で比べる

POINT

ターム留学の費用は、期間の比どおりには下がりません。学費や滞在費は期間に比例しますが、渡航費・保険・手続き費・制服や教材費は期間が短くても同じようにかかります。目安は10週間で1年の約4割、半年(1セメスター)で約6割です。

たとえばカナダの公立校に1年通う場合の総額は250〜350万円が目安で、半年(1セメスター)ならおおむね180万円前後が目安になります。半額の125〜175万円より高くなるのは、期間に比例しない費目があるためです。期間で見ると10週間は1年の約4分の1ですが費用は約4割かかり、短くするほど「期間比より高くつく」度合いが大きくなります。したがって短期・ターム・1年を比べるときは、総額ではなく1か月あたりの単価で並べると判断しやすくなります。内訳と節約の考え方はターム留学の費用で詳しく分解しています。

  • 期間に比例する費目:授業料、滞在費(ホームステイ/寮)、食費、現地の交通費、お小遣い
  • 期間に比例しない費目:往復渡航費、留学保険(期間で段階的だが固定部分がある)、ビザ・渡航認証、エージェントの手続き手数料、制服・教材・ICT費、予防接種
  • 未成年特有の費目:ガーディアン(後見人)費用、空港送迎、緊急時サポート費

ターム留学が向いている家庭・向かない家庭

POINT

ターム留学の価値は「1年の予行演習」と「学校生活の体験」にあります。英語力を大きく伸ばす目的だけで選ぶと期待とずれます。

相性の見極め

観点向いている慎重に考えたい
目的現地校の授業と生活を体験したい/1年留学の前に試したい英語力を一気に上げたい(期間が短く、伸びは限定的)
時期高1後半〜高2前半に動ける高3、または受験直前期しか空けられない
単位在籍校が留学中の単位認定に前向き在籍校の認定が得られず、留年・進級に影響する可能性がある
費用1年留学の4〜6割の総額を用意できる(期間で変わる)総額を期間比(10週間なら1年の4分の1)で見込んでいる
ビザ手続きの重さを含めて期間を選べるビザ不要の期間に無理に押し込もうとしている

デメリットと「やめておいたほうがよいケース」はターム留学のデメリットで正直に整理しました。逆に、1年以上を視野に入れているなら高校留学の基礎ガイドから検討したほうが費用対効果は高くなります。将来的に海外の大学まで考えている場合は、高校でのターム留学を「進路の下見」として位置づけると意味が出ます(海外大学進学ガイド)。

準備の段取り(逆算)

POINT

ターム留学は渡航の6か月〜1年前から動くのが標準です。学校の許可・単位認定の確認・ビザ・奨学金の締切が並行して走ります。

  1. 1在籍校に相談する:留学扱いか休学扱いか、単位認定の可否と条件、帰国後の進級の扱いを確認する。ここが決まらないと期間も決められない
  2. 2期間(日数)を決める:90日・3か月・125日の境目を意識して日数を決める
  3. 3国と学校を選ぶ:決めた日数で就学できる国・学期に合わせる(南半球は1月末〜2月開始)
  4. 4資金計画を立てる:総額と1か月単価を出す。奨学金(トビタテ等)は渡航の前年から募集が始まるため、期間の決定と並行して確認する
  5. 5ビザ・渡航認証を手配する:学生ビザが必要な場合は所要期間を逆算する。予防接種や健康診断が必要な国もある
  6. 6帰国後の学習計画を決めておく:不在中の授業の補い方を事前に相談しておくと、帰国後の負担が大きく減る

この順番のポイントは、学校への相談を最初に置くことです。単位認定や進級の扱いが分からないまま国やプログラムを選ぶと、後から期間を変えざるを得なくなります。手続きの具体的な流れは留学の単位認定を確実に受ける手続きも参考になります。

まとめ

ターム留学は現地の1学期だけ通う留学で、期間は国と学校によって約10週間から5か月まで幅があります。判断の軸は「行きたい国」ではなく期間(日数)です。90日を超えるかで必要なビザが変わり、3か月以上あるかで国の教育ローンの対象が変わり、125日以上かでトビタテの枠と支給の形が変わります。日本の学年(4月〜3月)とのズレもあるため、行く時期によって進級・受験への影響が違います。費用は期間の比どおりには下がらず、10週間で1年の約4割、半年で約6割が目安です(渡航費や手続き費は期間に比例しないため)。まずは在籍校に相談して単位認定と在籍の扱いを確認し、日数を決め、その日数で通える国を選ぶ——この順番で進めれば、制度と噛み合った計画になります。

Q.ターム留学は何か月くらいですか?

国と学校によって違います。4ターム制のニュージーランド・オーストラリアは1タームが約10週間、2セメスター制のカナダ・アメリカは約4〜5か月、3ターム制のイギリスは約3〜4か月が目安です。プログラム側が独自に「3か月以上をターム留学」と定義している場合もあるため、募集要項の期間を日数で確認してください。

Q.ターム留学にビザは必要ですか?

国によって考え方が違います。アメリカは現地校の学期に正規生として通うなら期間の長短にかかわらず学生ビザ(J-1またはF-1)が必要で、ESTAでは就学できません。オーストラリアはETAでの就学が査証の有効期間を通じて合計3か月までで、当局は留学が主目的なら学生ビザを勧めています。ニュージーランドは3か月以内・1コースまでが渡航認証で通える目安。カナダは6か月以内の就学なら学生ビザが不要とされ1セメスターと相性がよいです(保護者が同伴しない未成年は後見人の宣誓書が必要)。制度は改定されるため各国政府の公式サイトで必ず確認してください。

Q.ターム留学でも単位認定は受けられますか?

受けられる場合があります。日本の高校は外国の高校における学修を36単位を上限に自校の単位として認定できます(学校教育法施行規則第93条第2項)。ただし認定するかどうか、どの科目に充てるかは在籍校の判断です。出願前に「留学扱いか休学扱いか」「認定の条件(現地の成績証明や出席の要件)」を必ず確認してください。

Q.費用は1年留学の半額ですか?

半額にはなりません。授業料や滞在費は期間に比例しますが、往復渡航費・保険・ビザ・手続き手数料・制服や教材費は期間が短くても同じようにかかります。目安は10週間で1年の約4割、半年(1セメスター)で約6割です。カナダの公立校の例では、1年で250〜350万円に対し半年はおおむね180万円前後。短期・ターム・1年を1か月あたりの単価で比べると判断しやすくなります。

Q.いつ行くのがよいですか?

一般的には高1の後半〜高2の前半が動きやすい時期です。高2の後半だと帰国が高3直前になり受験準備と重なります。高3は国内の進路スケジュールと衝突しやすく、受入校側も慎重な場合があります。南半球(NZ・豪)は学年が1月末〜2月に始まるため、日本の学年とのズレも踏まえて時期を決めてください。

Q.ターム留学は大学入試で評価されますか?

期間が短いため、帰国生入試(帰国子女枠)の在外年数の要件を満たさないことが多いです。一方、総合型選抜などでは経験の中身と、そこから何を考え行動したかが評価対象になります。「ターム留学に行ったこと」自体が加点されるわけではないと考え、探究や進路とつながる計画にしておくと活かしやすくなります。

期間別の総額を出して比べる

短期・ターム・1年の総額と1か月単価を並べると、費用対効果が見えます。