このページの要点
留学先より先に、退学の日付と書類を決めてください。中退の前後で使える制度が変わります。
- 退学は「手続き」なので日付を選べる:学校教育法施行規則第94条は「生徒が、休学又は退学をしようとするときは、校長の許可を受けなければならない」と定めます。勝手に籍が消えるわけではないので、いつ辞めるかを相談できます(許可制であることから日付を相談できると整理するのは当サイトの読み方です)。
- 辞める前に単位修得証明書を取る:文部科学省は高卒認定試験の科目免除について「文部科学省様式で作成された単位修得証明書にて確認してください」と案内しています。修得した単位が免除要件を満たしていれば、試験科目の免除に使えます(免除に必要な単位数は文部科学省が「免除要件」として定めています)。
- 高卒認定で得られるのは大学入学資格であって、高卒の学歴ではない:文部科学省のQ&Aは「高卒認定試験に合格すると、最終学歴は高等学校卒業になるのですか?(答)なりません」と明記しています。得られるのは学校教育法施行規則第150条第5号による大学入学資格です。
お子さんから「高校を辞めて留学したい」と言われたとき、多くのご家庭はまず留学先を調べ始めます。しかし順序が逆です。 退学は校長の許可を受ける手続きであり(学校教育法施行規則第94条)、いつ辞めるかを選べます。 そして辞める前にしか取りやすくない書類があります。文部科学省様式の単位修得証明書は、高卒認定試験の科目免除に直結します。さらに、中退後に高校へ戻る場合は「転学」ではなく「編入学」という別の入口になり、条件も変わります。留学の中身を決める前に、この順序を確認してください。 不登校という状態からの判断は不登校の高校生が留学するときの学籍と単位で扱っています。
本記事の条文は、学校教育法施行規則(e-Gov法令検索の法令原文)を、高卒認定試験に関する記述は文部科学省の公式ページおよび同Q&Aを、当サイトが2026年8月21日に取得して整理したものです。書類の交付手続き(申請先・所要日数)や、退学の具体的な進め方は学校・設置者の運用によります。必ず在籍校にご確認ください。 また、高卒認定試験の試験科目と免除要件は改定されます(文部科学省は令和8年度からの変更を公表しています)。科目数・免除に必要な単位数は、出願前に必ず文部科学省の公式ページで最新の内容をご確認ください。 また、海外の大学・高校の入学要件は各校が定めるものであり、日本の資格がどう扱われるかを当サイトが保証することはできません。志望校の公式の入学要件を直接ご確認ください。
結論:中退の前と後で、使える制度がこれだけ変わる
POINT
同じ「高校を離れる」でも、籍があるうちにできることと、なくなってからしかできないことが分かれます。ここを知らずに先に辞めると、選択肢を自分で減らすことになります。
退学の前後で、制度上の扱いは次のように変わります。「後」の欄が空いているわけではありません。道はあります。 ただし手続きが増え、条件が付き、時間がかかるものが混ざります。先に一覧で見てから、辞める日付を決めてください。
退学の前後で扱いが変わること・変わらないこと(学校教育法施行規則および文部科学省の公表内容にもとづく当サイトの整理)
| 項目 | 在籍しているうち | 退学した後 |
|---|---|---|
| 留学の単位認定 | 校長から留学の許可を受ければ36単位以内で認定されうる(第93条第1項・第2項) | 使えない(在籍していないため) |
| 他校へ移る | 転学。校長が在学証明書等を転学先に送付し、転学先の校長が許可(第92条第1項) | 編入学。相当年齢に達し、当該学年に在学する者と同等以上の学力があると認められた者(第91条) |
| 通信制課程への移動 | 転学・転籍として、修得した単位に応じて相当学年に転入できる(第92条第2項) | 編入学として受け入れられるかは学校ごとの募集による |
| 単位修得証明書 | 在籍校で取得できる | 元の在籍校に請求する(保存年限・様式の確認が必要) |
| 高卒認定試験 | 在学中でも受験できる(文部科学省「高等学校等に在籍されている方も受験が可能です」) | 受験できる(受験する年度の終わりまでに満16歳以上。ただし既に大学入学資格を持っている方は受験できません) |
| 最終学歴 | 卒業すれば「高等学校卒業」 | 高卒認定に合格しても「高等学校卒業」にはならない(文部科学省Q&A) |
この表から言えることは1つです。「辞める」という判断そのものより、辞める順番と日付のほうが、後から効いてきます。 とくに上の2行——留学の単位認定と、他校へ移るときの入口——は、籍があるかどうかで扱いが根本的に変わります。
退学は手続きである。だから日付を相談できる
POINT
学校教育法施行規則第94条は、休学も退学も校長の許可を要すると定めています。届けを出せば即日で籍が消える、という性質のものではありません。
学校教育法施行規則第94条は、次のように定めています。「生徒が、休学又は退学をしようとするときは、校長の許可を受けなければならない」。短い条文ですが、実務上の意味は大きいものです。退学は生徒側の一方的な通告ではなく、学校との手続きとして構成されています。したがって、いつ許可を受けるかは相談の対象になります。
日付が効いてくる理由は、単位の修得が学年や学期の区切りで認定されるからです。すでに履修が進んでいる科目があるなら、区切りまで在籍して単位を確定させてから退学するのと、その前に退学するのとでは、後で使える単位数が変わります。ただし修得の認定は、履修に加えて成果が目標からみて満足できると認められた科目に限られます。 出席や成績が足りていない科目は、在籍を延ばしても単位になりません。「どの科目なら修得見込みがあるか」を先に確認してください。単位が確定していれば、それは高卒認定試験の科目免除にも、編入学の際の材料にも使えます。「もう行きたくない」という気持ちと、「いつ籍を抜くか」という手続きは、切り離して決められます。
同じ第94条には「休学」も並んでいます。留学を理由に籍を残す道があるなら、まずそちらを検討してください。 ただし注意点があります。第93条第2項が単位認定の対象としているのは「前項の規定により留学することを許可された生徒」であって、単に在籍している生徒ではありません。 休学のまま渡航した場合、この条文を根拠にした認定は想定されていません。籍が残ることの意味は、改めて第93条第1項の留学の許可を相談する余地が残るという点にあります。単位認定の仕組みは高校留学の単位認定、留学扱いと休学扱いの違いは高校留学で留年しないためにで整理しています。
避けたい
「もう行かない」と決めた日に退学届を出す
こうすればOK
登校しないことと、籍を抜くことを分ける。 区切りまで籍を残すと単位が確定する科目がある(修得の認定は出席・成績の要件を満たした科目に限られます)。どの科目が修得見込みかを教務主任に確認する
避けたい
留学先を決めてから、学校に退学を伝える
こうすればOK
先に学校と話す。 休学で足りるのか、留学の許可(第93条第1項)を受けられるのか、退学しか道がないのかで、留学の選び方自体が変わる
避けたい
退学の手続きだけ済ませて、書類は後で取ればよいと考える
こうすればOK
退学と同時に書類を請求する。 単位修得証明書・成績証明書・在学期間の証明は、後から取ると手間も時間もかかる
辞める前に取る書類——単位修得証明書が効いてくる
POINT
文部科学省は高卒認定試験の科目免除の確認方法として、文部科学省様式の単位修得証明書を挙げています。在籍していた高校で積んだ単位が免除要件を満たしていれば、試験科目の免除に使えます。
高等学校卒業程度認定試験(高卒認定試験)には、高校で修得した単位による科目免除の仕組みがあります。文部科学省はQ&Aで、免除に必要な単位数を「免除要件」として定めていると説明したうえで、「平成6年4月以降に高等学校に入学された方で、各学校で標準単位数より少ない単位数で科目の修得を認めている場合には、免除になることがあるので、文部科学省様式で作成された単位修得証明書にて確認してください」と案内しています。
この一文が、辞める前に動くべき理由です。 単位修得証明書は在籍していた高校が発行するものです。しかも文部科学省は様式のページで、発行元で厳封されていない証明書は受理されないこと、独自様式では受理できない場合があること、提出用とは別に確認用としてもう1通必要なことを明記しています。依頼する側が知らないと、そのまま出し直しになります。 さらに同ページは「単位修得証明書は、一定以上の期間が経過していると、保存年限の経過により学校によっては発行ができない場合があります。修得単位が確認できない場合、免除申請はできません」と注意しています。退学の手続きと同じタイミングで請求してしまうのが確実です。
退学の前後で請求しておきたい書類
| 書類 | 何に使うか | 確認しておくこと |
|---|---|---|
| 単位修得証明書(文部科学省様式) | 高卒認定試験の科目免除の確認 | ①文部科学省の様式で作成してもらうこと(発行元独自の様式は受理されない場合があります)②発行元で厳封されていること(厳封されていないものは受理されません)③2通取り寄せること(提出用と自分の確認用)。様式は入学年度別に分かれています |
| 成績証明書 | 編入学の際の材料、海外の学校への出願書類 | 英文が必要になる場合があるため、英文発行の可否 |
| 在学期間の証明(在籍証明書など) | 在籍していた期間の証明。海外の学校の出願で求められることがある | 名称と発行可否は学校による |
| 指導要録の記載にもとづく調査書 | 国内の進学で使われる | 退学後に発行されるか、様式はどうなるか |
確認ポイント:学校教育法施行規則第28条第2項は、学校が備える表簿(指導要録・出席簿などを含む)を「五年間保存しなければならない」とし、「ただし、指導要録及びその写しのうち入学、卒業等の学籍に関する記録については、その保存期間は、二十年間とする」と定めています。ただし、これは表簿の保存期間であって、証明書を発行できる期間そのものを定めたものではありません(当サイトの整理)。文部科学省も単位修得証明書について「保存年限の経過により学校によっては発行ができない場合があります」と注意しています。「いつまで発行してもらえますか」を退学の手続きの際に必ず聞き、可能であればその場で請求してください。 また、海外の学校へ出願する場合は英文の証明書が必要になることがあります。英文発行に対応していない学校もあるため、対応の可否と所要日数を先に確認しておくと、出願の段取りが崩れません。
高卒認定試験で得られるもの、得られないもの
POINT
得られるのは大学入学資格です。最終学歴は「高等学校卒業」になりません。文部科学省がQ&Aで明記しています。
高卒認定試験について、上位の記事では「合格すれば高卒と同じ扱い」といった説明を見かけます。最終学歴の話と、採用試験・国家資格の受験資格の話は別です。 文部科学省は前者について次のように明記する一方、後者については「高等学校卒業程度認定試験の合格を高等学校卒業と同等とみなしている採用試験、国家資格一覧」を公表しています。「高卒認定試験に合格すると、最終学歴は高等学校卒業になるのですか?(答)なりません。 合格者は高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません」。
では何が得られるのか。日本の大学(短期大学を含む)の入学資格です。ただし、効力が生じる年齢に注意が必要です。 文部科学省は「大学入学資格について」のページで、施行規則第150条第5号に「(なお、18歳に達していないときは、18歳に達した日の翌日から認定試験合格者となる。)」と注記しています。受験は満16歳以上からできますが、大学入学資格としての効力は18歳からです。 学校教育法施行規則第150条は、大学入学に関し高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者を列挙しており、その第5号が「高等学校卒業程度認定試験規則による高等学校卒業程度認定試験に合格した者(旧規程による大学入学資格検定に合格した者を含む)」です。つまり高卒認定は、学歴を作る制度ではなく、進学の入口を開く制度です(専修学校の専門課程については、同規則第183条が第150条各号を引く形で入学資格を定めています)。
受験の条件と、免除の仕組み
受験資格について、文部科学省は「受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方が受験できます」「高等学校等に在籍されている方も受験が可能です」としています。ただし同じ欄には「高等学校卒業者や大学入学資格検定・高等学校卒業程度認定試験合格者など、既に大学入学資格を持っている方は受験できません」という除外も書かれています。現地の高校を卒業して大学入学資格を得た後では受験できなくなる、という順序の問題が生じうる点にご注意ください(この読み方は当サイトによるものです)。 文部科学省のQ&Aには、在学中の高校で修得できるか分からない科目について「その科目を受験しておきたいのですが可能ですか?(答)可能です」というやり取りが掲載されています(ただし同Q&Aは、高卒認定試験の合格をもって高等学校の単位とするかは学校長の判断なので出願前に学校と相談するよう求めています)。
免除については2つの制約を知っておいてください。ひとつは、全科目の免除では合格者になれないことです。文部科学省のQ&Aは「全ての科目の免除を受けて、高卒認定試験の合格者となることはできません。最低1科目は受験し、合格する必要があります」と明記しています。もうひとつは、試験科目にない科目は免除の材料にならないことです。同Q&Aは「試験科目にない科目については高等学校で修得していても科目免除の対象とはなりません」としています。
逆方向もある——高認の合格科目が、高校の単位になりうる
ここは見落とされやすい実務です。 学校教育法施行規則第100条は、校長が教育上有益と認めるときは、生徒が行う一定の学修を「当該生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし、当該科目の単位を与えることができる」と定めており、その第1号が「高等学校卒業程度認定試験規則…の定めるところにより合格点を得た試験科目…に係る学修」です。つまり高認の合格科目は、高校の単位として認めてもらえる可能性があります。
そして同条の柱書には、決定的な括弧書きが入っています。対象となる学修は「当該生徒が入学する前に行つたものを含む」。中退している間に高認に合格しておけば、その後どこかの高校に編入学したときに、単位として認められうるという意味です。中退期間を空白にしないための手段として使えます。なお、第99条は「第九十七条の規定に基づき加えることのできる単位数及び前条の規定に基づき与えることのできる単位数の合計数は三十六を超えないものとする」と定めていますが、この合計に第100条は挙げられていません(当サイトが条文の列挙を確認したものです)。ただし認めるかどうかも、何単位を与えるかも校長の判断なので、編入学の相談時に必ず確認してください。
高卒認定試験について、文部科学省が公表している内容
| 項目 | 文部科学省の説明 |
|---|---|
| 受験資格 | 「受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方が受験できます」「高等学校等に在籍されている方も受験が可能です」。ただし「高等学校卒業者や大学入学資格検定・高等学校卒業程度認定試験合格者など、既に大学入学資格を持っている方は受験できません」 |
| 最終学歴 | 「(答)なりません。…高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません」 |
| 受験できる科目数 | 「高卒認定試験で受験できる科目数は最大で10科目まで」 |
| 大学入学資格としての効力 | 「(なお、18歳に達していないときは、18歳に達した日の翌日から認定試験合格者となる。)」(「大学入学資格について」) |
| 全科目免除 | 「全ての科目の免除を受けて、高卒認定試験の合格者となることはできません。最低1科目は受験し、合格する必要があります」 |
| 免除の確認方法 | 「文部科学省様式で作成された単位修得証明書にて確認してください」 |
| 高校の単位への振り替え | 「合格すれば、学校長の判断で…単位を修得したと認められる場合があります」(出願前に学校と相談するよう案内) |
「高認があれば海外の大学に行ける」は、そのままには受け取れない
POINT
第150条第5号が定めているのは日本の大学入学資格です。海外の大学の入学要件は各大学が定めます。ここを混同している記事が多くあります。
高卒認定に関する記事では、「高認を取れば海外の大学にも進学できる」「アメリカ・オーストラリア・ニュージーランド・カナダなどでは高卒と同等に扱われる」という説明をよく見かけます。当サイトはこの断定をしません。 理由は単純で、学校教育法施行規則第150条第5号が定めているのは、日本の大学に入学する資格だからです。海外の大学がどの資格を受け入れるかは、その大学(および所在国の制度)が決めることであり、日本の法令の効力が及ぶ範囲ではありません。
だからといって道がないという意味ではありません。確認の方法が違う、ということです。 海外の大学は入学要件を公表しており、国別・資格別に受け入れの可否を示している場合があります。確認すべきは記事ではなく、志望校の International Admissions(国際入学)の要件ページです。あわせて、英語スコアの要件も別に定められています。試験の中身はIELTSとは・TOEFL iBTとはで整理しています。
もう1つ、遠回りに見えて確実な道があります。 施行規則第150条第1号は「外国において学校教育における十二年の課程を修了した者」を大学入学資格として挙げています。つまり学校教育が12年制の国であれば、現地の高校を卒業する形で第1号に当たりうるため、日本の大学の入学資格も満たせます。この場合は高卒認定を経由する必要がありません。ただし学制は国によって異なり、12年に満たない場合は別の受け皿の判断になります。中退という前提から、いきなり「大学」に飛ばず、「高校をやり直す」選択肢も並べてください。 現地校を卒業する留学の要件と帰国後の進路は高校の卒業留学で詳しく扱っています。
確認ポイント:海外の大学の入学審査では、高校の成績(GPA)や在籍の記録を求められることが一般的です。高卒認定は科目試験の合否で構成されるため、高校在籍時の成績が薄いと、審査に出せる材料が少なくなるという実務上の影響があります。この点は志望校の要件によって扱いが変わるため、当サイトは一般化しません。在籍していた期間の成績証明が取れるかどうかを、退学の手続きの際に確認しておくことをおすすめします。
戻るときは「転学」ではなく「編入学」になる
POINT
在籍していれば転学、退学した後は編入学。手続きの経路が変わります。この違いを知っておくと、帰国後の受け皿を先に用意できます。
留学から帰国して日本の高校に戻る、あるいは通信制課程に入り直す——このとき、籍があったかどうかで入口が変わります。
在籍している場合は「転学」です。施行規則第92条第1項は「他の高等学校に転学を志望する生徒のあるときは、校長は、その事由を具し、生徒の在学証明書その他必要な書類を転学先の校長に送付しなければならない。転学先の校長は、教育上支障がない場合には、転学を許可することができる」と定めています。学校間で書類が送られる仕組みになっており、同条第2項は全日制・定時制・通信制の相互の転学・転籍について「修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」としています。
退学した後は「編入学」です。施行規則第91条は「第一学年の途中又は第二学年以上に入学を許可される者は、相当年齢に達し、当該学年に在学する者と同等以上の学力があると認められた者とする」と定めています。条文上、編入学には第92条第1項のような学校間の書類送付の定めがありません。実務上は受け入れ校の判断が中心になります(当サイトの整理)。
転学と編入学の違い(学校教育法施行規則)
| 転学(在籍している) | 編入学(退学した後) | |
|---|---|---|
| 根拠条文 | 第92条(手続き)+第91条 | 第91条 |
| 手続きの流れ | 在籍校の校長が在学証明書その他必要な書類を送付。転学先の校長が許可 | 受け入れ側の判断。相当年齢に達し、同等以上の学力があると認められた者 |
| 修得済み単位の扱い | 全日制・定時制・通信制相互では修得した単位に応じて相当学年に転入できる(第92条第2項) | 受け入れ校の判断による。単位修得証明書が材料になる |
| 受け入れの時期 | 学校間の調整による | 募集がある時期に限られることがある |
実務上の含意は明確です。帰国後に高校へ戻る可能性が少しでもあるなら、退学より休学・転学を先に検討してください。 そして、どうしても退学する場合は、編入学を受け入れている学校が実際にあるかどうかを、辞める前に調べておくことです。通信制課程には編入学を受け入れている学校がありますが、募集時期や単位の引き継ぎ方は学校によって違います。 器としての通信制の選び方は通信制高校からの留学で整理しています。
その留学は、中退を前提にしなければできないものか
POINT
中立の立場から書いておきます。留学のために辞める必要が本当にあるのかは、一度立ち止まって確認する価値があります。
当サイトは留学の送客報酬を受け取っていません。だから書けることがあります。「留学するために高校を辞める」という前提が、そもそも必要ないケースがあります。
- 1校長の許可を受けた留学なら籍は残る(施行規則第93条第1項)。しかも36単位を超えない範囲で単位の修得を認定できます(同条第2項)。辞めるより有利な条件で、同じ期間を海外で過ごせる可能性があります。
- 2休学という選択肢がある(第94条)。留学の許可が下りない場合でも、退学ではなく休学であれば籍は残ります。戻るときの入口が「転学」のままになるという違いは小さくありません。
- 3通信制課程への転学という受け皿がある(第92条第2項)。修得した単位に応じて相当学年に転入できるため、修得済みの単位を持ち越せます。ただし持ち越せるのは修得が認定された単位までで、履修の途中の科目は単位になりません。何単位を認めるかも転入先の判断です。 また修業年限は通信制でも3年以上と定められており(学校教育法第56条)、単位が揃っても在籍年数の要件は残ります。
- 4期間の短い留学から試すという順序もあります。1年でなければ意味がないわけではありません。判断材料は高校生の短期留学にまとめています。
そのうえで、退学が最善という結論になることもあります。 現地の高校を卒業する留学を選ぶ場合、日本の高校に籍を置き続ける意味は小さくなります。学校との関係がすでに壊れている場合もあります。大事なのは「辞めない」ことではなく、辞める理由を家庭の側が説明できることです。 その説明ができていれば、日付も書類も自然に決まります。
まとめ:決める順番は、籍 → 書類 → 留学の中身
高校中退から留学を考えるとき、順番は次のとおりです。①籍をどうするか(退学・休学・転学)を学校と決める →②辞める日付を単位の確定に合わせる →③単位修得証明書と成績証明書を請求する →④帰国後の受け皿(編入学の受け入れ先・高卒認定・現地校の卒業)を先に決める →⑤留学の中身を決める。多くの記事が⑤から始まりますが、①〜④を先に済ませたほうが、選べる⑤は広くなります。
条文の要点を再掲します。退学も休学も校長の許可を要する手続きです(施行規則第94条)。在籍中に他校へ移るのは転学で、在籍校の校長が在学証明書等を送付します(第92条第1項)。退学した後に入るのは編入学で、「相当年齢に達し、当該学年に在学する者と同等以上の学力があると認められた者」が対象です(第91条)。全日制・定時制・通信制の相互の転学・転籍は「修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」とされています(第92条第2項)。
高卒認定試験については、文部科学省が明記しているとおり、合格しても最終学歴は「高等学校卒業」になりません。得られるのは施行規則第150条第5号による大学入学資格です。免除の確認には文部科学省様式の単位修得証明書を使い、全科目免除では合格者になれず、最低1科目は受験が必要です。そして第150条第1号は「外国において学校教育における十二年の課程を修了した者」を大学入学資格としており、現地の高校を卒業する道も残されています。
最後に、海外の大学については断定を避けます。日本の高卒認定が海外でどう扱われるかは、その大学が決めることです。 記事ではなく、志望校の入学要件を直接確認してください。進学の全体像は海外大学進学、現地校を卒業する留学は高校の卒業留学、学籍のルート整理は不登校の高校生が留学するときの学籍と単位をご覧ください。
Q.高校を中退してからでも留学できますか。
できます。ただし在籍中とは条件が変わります。 いちばん大きな違いは、学校教育法施行規則第93条の留学の単位認定が使えなくなることです。同条第1項は「校長は、教育上有益と認めるときは、生徒が外国の高等学校に留学することを許可することができる」と定め、第2項は「前項の規定により留学することを許可された生徒について、外国の高等学校における履修を高等学校における履修とみなし、三十六単位を超えない範囲で単位の修得を認定することができる」としています。対象は「校長から留学の許可を受けた生徒」であって、単に在籍している生徒ではありません。中退後の留学は、日本の高校の単位とは切り離された、現地の学校への私費での入学という形になります。したがって「帰国後に日本の高校へ戻るのか」「現地の高校を卒業するのか」「高卒認定を経て進学するのか」を先に決めておく必要があります。 決めずに出発すると、帰国後の受け皿がない状態になります。
Q.退学する前に、必ず取っておくべき書類は何ですか。
文部科学省様式の単位修得証明書を最優先で請求してください。文部科学省は高卒認定試験の科目免除について「文部科学省様式で作成された単位修得証明書にて確認してください」と案内しており、高校で修得した単位が試験科目の免除に直結します。 あわせて成績証明書(海外の学校へ出願する場合は英文発行の可否を確認)、在籍期間の証明も請求しておくと安心です。注意点として、文部科学省のQ&Aは「試験科目にない科目については高等学校で修得していても科目免除の対象とはなりません」としています。音楽や体育の単位は免除の材料になりません。また証明書の保存年限は学校・設置者の運用によるため、当サイトは一律の年数を示せません。「いつまで発行してもらえますか」を退学手続きの際に必ず確認してください。
Q.高卒認定に合格すれば、高校を卒業したことになりますか。
なりません。 文部科学省のQ&Aは「高卒認定試験に合格すると、最終学歴は高等学校卒業になるのですか?(答)なりません。 合格者は高等学校を卒業した方と同等以上の学力があると認められますが、高等学校を卒業しなければ最終学歴は高等学校卒業とはなりません」と明記しています。得られるのは大学入学資格です。学校教育法施行規則第150条第5号は、大学入学に関し高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められる者として「高等学校卒業程度認定試験規則による高等学校卒業程度認定試験に合格した者(旧規程による大学入学資格検定に合格した者を含む)」を挙げています。つまり進学の入口を開く制度であって、学歴を作る制度ではありません。 ただし大学等に進学して卒業すれば、最終学歴はその学校の卒業になります。
Q.高卒認定を取れば、海外の大学に進学できますか。
当サイトは「できます」と断定しません。 学校教育法施行規則第150条第5号が定めているのは日本の大学に入学する資格であり、海外の大学の入学要件はその大学(および所在国の制度)が定めるものです。日本の法令の効力が及ぶ範囲ではありません。上位の記事には国名を挙げて「認められる」と書くものがありますが、当サイトはそれを検証できないため書きません。確認すべきは志望校の International Admissions(国際入学)の要件ページです。 また、海外の大学の審査では高校の成績や在籍の記録を求められることがあります。高卒認定は科目試験の合否で構成されるため、在籍時の成績が薄いと審査に出せる材料が少なくなる場合があります。なお、現地の高校を卒業すれば、施行規則第150条第1号により日本の大学の入学資格も満たしうるという別の道があります(現地の高校を卒業する留学)。ただしこの条文が定めているのも日本側の入学資格であり、海外の大学の可否を保証するものではありません。
Q.留学から帰国したあと、日本の高校に戻れますか。
戻る道はありますが、入口が変わります。 在籍を続けていた場合は転学(施行規則第92条)で、在籍校の校長が「生徒の在学証明書その他必要な書類を転学先の校長に送付」し、転学先の校長が許可します。全日制・定時制・通信制の相互では「修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」とされています(同条第2項)。一方、退学した後は編入学(第91条)になり、「第一学年の途中又は第二学年以上に入学を許可される者は、相当年齢に達し、当該学年に在学する者と同等以上の学力があると認められた者とする」と定められています。条文上、編入学には第92条第1項のような学校間の書類送付の定めがありません。実務上は受け入れ側の判断が中心になります(当サイトの整理)。 したがって、帰国後に戻る可能性があるなら、退学より休学・転学を先に検討してください。 どうしても退学する場合は、編入学を受け入れている学校が実際にあるかを辞める前に調べておくことをおすすめします。
Q.在学中でも高卒認定試験は受けられますか。
受けられます。 受験資格は「受験する年度の終わりまでに満16歳以上になる方」であり、高校に在学したままでも出願できます。文部科学省のQ&Aには、在学中の高校で修得できるか分からない科目について「その科目を受験しておきたいのですが可能ですか?(答)可能です」というやり取りが掲載されています。さらに、合格した科目を高校の単位として認めてもらえる場合があります。 同Q&Aは「病弱のため欠席が多く、1年生で修得すべき数学Ⅰの単位を高等学校で修得することができなかった場合などに、高卒認定試験で数学を受験し、合格すれば、学校長の判断で数学Ⅰの単位を修得したと認められる場合があります」と説明しています。ただし単位として認めるかどうかは学校長の判断なので、出願前に学校と相談するよう文部科学省が求めています。 なお、高卒認定試験で受験できる科目数は最大10科目までで、これだけで高校卒業に必要な単位をすべて満たすことはできません。
籍の扱いから、取れる進路を整理する
退学・休学・転学のどれを選ぶかで、その先の留学の形も帰国後の受け皿も変わります。いくつかの質問に答えると、検討の出発点が絞れます。






