このページの要点

高校留学で留年(学年の遅れ)を避けるには、単位認定を受けて「留学扱い」にしてもらう必要があります。これは校長の判断で、自分では選べません。

  • 留学扱い=進級:留学中の履修を単位認定し、帰国後はもとの学年へ。留年しない。
  • 休学扱い=1学年下へ:留学期間を休学とし、帰国後は出発時の学年に復学(実質的な留年)。
  • 費用も変わる:休学中・留学中の授業料の扱いは学校の規程によります(休学は免除・減額、留学扱いは在籍扱いで必要とされることが多い)。金額を含めて在籍校に確認を。

留年するかどうかは、成績ではなく「留学扱い」か「休学扱い」かで決まります。そしてこれは校長の判断で、本人・保護者が自由に選べるものではありません。この記事では両者の違いと、留年を避ける方法を整理します。単位認定の仕組みは高校留学の単位はどうなる?もご覧ください。

本記事は文部科学省(学校教育法施行規則第93条第2項)・AFS日本協会・留学情報メディアの公開情報にもとづく一般的な傾向です(2026年7月時点)。扱いや費用の運用は在籍校ごとに異なるため、必ず在籍校でご確認ください。

「留学扱い」と「休学扱い」の違い

POINT

留学扱いなら進級、休学扱いなら1学年下へ。進級・学年・授業料・手続きが変わります。留年を避けたいなら「留学扱い」が必要です。

留学扱いと休学扱いの違い

項目留学扱い休学扱い
帰国後の学年もとの学年へ進級1学年下に復学(実質的な留年)
単位認定留学中の履修を認定(最大36単位)認定せず、日本の授業を受け直す
日本の授業料在籍扱いのため必要な場合が多い免除・減額の場合が多い(いずれも学校の規程による)
帰国後の書類報告書の提出を求められることも特になし

誰が決める? ― 校長の判断で、自分では選べない

POINT

留学扱いか休学扱いかは、校長の判断で決まります。本人や保護者が自由に選べるものではないため、早めに在籍校へ希望を伝えることが重要です。

最も重要なのは、どちらの扱いになるかを自分では選べないという点です。学校教育法施行規則第93条第2項では、校長が外国の高校での履修を在籍校の履修とみなし、36単位まで認定できると定めており、留学の取り扱いの最終判断は校長に委ねられています。そのため、留年を避けたいなら「留学扱いを希望する」意思を、留学前の早い段階で在籍校に伝えておく必要があります。実際、AFS日本協会の帰国生アンケート(2014〜2016年出発の1年間の交換留学経験者・有効回答386人)では、休学扱いと留学扱いはほぼ半々で、やや休学扱いが多いという結果でした。

費用の違いも見落とさない

POINT

扱いによって日本の授業料も変わります。休学扱いは授業料が免除・減額されることが多く、留学扱いは在籍扱いのため授業料の支払いが必要とされることが多いという傾向です。ただし休学中・留学中の授業料に共通のルールがあるわけではなく、扱いは学校の規程によります。金額を含めて在籍校に確認してください。

進級・学年だけでなく、費用にも違いがあります。休学扱いにすると、休学している期間の日本の授業料は全額免除または減額になることが多いです。一方、留学扱いにすると、留学期間中も日本の学校に在籍していることになるため、日本の授業料を支払う必要があります。「留年は避けたいが授業料は抑えたい」という場合、両者のトレードオフを理解したうえで、家庭の方針を決めておきましょう。留学全体の費用は高校留学の費用ガイドで確認できます。

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留年(休学扱い)を避ける方法

POINT

留学扱いにしてもらうには、①早めに希望を伝える ②学校の内規を確認する ③現地でアカデミック科目を履修する、の3つが基本です。

避けたい

留学を決めてから学校に事後報告し、扱いの希望を伝えないまま出発する。

こうすればOK

検討段階で「留学扱いを希望する」意思を伝え、単位認定の条件(内規)を確認する。

避けたい

現地で語学中心の履修にとどまり、認定に必要な単位が足りず休学扱いになる。

こうすればOK

在籍校の内規に沿って、認定対象のアカデミック科目を現地でしっかり履修する。

留学扱いにしてもらうための具体的な手続きは単位認定を確実に受ける方法で詳しく解説しています。また、何年生で行くかによっても進級・受験計画は変わるため、高校留学は何年生がベスト?もあわせて確認してください。なお、そもそも学年による課程の修了認定を行わない通信制課程に籍を移すと、原級留置が構造的に起きにくくなります。この選択肢の中身は通信制高校で留学する方法で条文から整理しています。

留年を避けるための逆算スケジュール

POINT

扱いを決めるのは学校ですが、判断の材料をそろえるのは家庭です。渡航の半年〜1年前から動くと、選べる幅が広がります。

渡航までにやること(1年留学の場合)

時期家庭・本人学校側で決まること
渡航の1年前留学の希望と期間を伝え、留学規程の有無を確認留学扱いにできるかの初期判断
渡航の8〜10か月前留学先・期間を具体化し、認定の見込みを相談認定の可否と充当科目の見込み
渡航の6か月前必要書類の様式を受け取り、現地校に依頼できる形にする在籍の扱いを正式に決定
渡航の3か月前不在中の試験・課題の扱いを確認評価方法の確定
渡航直前帰国後の提出書類と期限を書面で確認帰国後の手続きの段取り

とくに「留学規程が整っていない学校」では、前例づくりから始まるため時間がかかります。募集要項の締切に間に合わせるには、思い立った時点で一報を入れるのが最短ルートです。手続きの具体的な流れは留学の単位認定を確実に受ける手続きにまとめました。

1年遅れることになった場合、実際に何が変わるのか

POINT

「留年」という言葉の印象は重いですが、実務上の影響は卒業と受験の時期が1年ずれることに集約されます。取り返しがつかない選択ではありません。

大学入試では、年齢や卒業年度によって不利になる扱いは原則ありません。むしろ1年の余裕ができることで、英語資格のスコアを取り直す、総合型選抜の準備を丁寧に行う、海外大学の出願に間に合わせるといった使い方ができます。一方で、同級生と時期がずれることによる心理的な負担や、在籍が延びることによる学費の追加は現実的なコストです。

避けたい

留年が決まった時点で「失敗した」と本人に伝わる空気を作ってしまう

こうすればOK

1年の使い方を一緒に設計する。英語資格・探究の成果物・出願準備に充てれば、進路の選択肢はむしろ増える

避けたい

帰国してから進路を考え始める

こうすればOK

留学中から出口(総合型選抜・帰国生入試・海外大学)を1つ決め、必要な記録や書類を現地で集めておく

避けたい

学費の追加分を見込まずに資金計画を組む

こうすればOK

在籍が延びる分の授業料・諸費を見積りに入れておく。留学費用と合わせて総額で判断する

留学経験を入試でどう使うかは総合型選抜と留学経験、帰国生入試の要件は帰国子女枠と高校留学で整理しています。海外の大学に進む道も選択肢に入ります(海外大学進学ガイド)。

学校への相談は「お願い」ではなく「確認」から入る

POINT

扱いを決めるのは校長ですが、判断の前提になる情報を家庭がそろえて渡すことで結論は変わりえます。感情に訴えるのではなく、確認すべき事項を順に聞くのが有効です。

学校側が慎重になるのは、留学中の学修状況をどう把握するか、帰国後の指導をどうするか、危機管理の責任をどう負うかが読めないからです。ここに答えられる材料(派遣団体の資料、現地校の学年暦、危機管理の体制、成績証明の発行可否)を持っていくと、話が「可否」から「手順」に移ります。

  1. 1学則・留学規程の有無を聞く:「留学に関する規程はありますか」から始める。あれば要件を教えてもらう
  2. 2過去の事例を聞く:前例があるかどうかで学校側の負担感が変わる。前例がなければ他校の運用を調べて持参する
  3. 3認定の判断材料を聞く:どの書類がそろえば認定を検討できるのか
  4. 4帰国後の指導方針を聞く:不足分の補い方(補習・課題・追試)を具体的に確認する
  5. 5期限を確認する:いつまでに何を出せば、いつの職員会議で判断されるのか

避けたい

「留年になりませんか?」と結論だけを聞く

こうすればOK

「留学扱いにするには何が必要ですか」と手順を聞く。学校が判断しやすい形に情報を整えて渡す

避けたい

派遣団体の資料を渡さずに口頭で説明する

こうすればOK

現地校の学年暦・履修内容・成績証明の様式・危機管理体制の資料を印刷して持参する

避けたい

本人が行かず保護者だけで交渉する

こうすればOK

本人が目的と計画を自分の言葉で説明する。学校が判断するのは「教育上有益な学修活動か」なので、本人の言葉が効く

参考として、文部科学省の「高等学校等における国際交流等の状況について」(令和5年度調査)では、3か月以上の留学をした高校生が3,174人、3か月未満の研修旅行等の参加者が31,711人と報告されています。つまり各地の高校に前例はあります。前例のない学校でも、他校の運用を示せば検討は進みやすくなります。

私立と公立で相談の進み方が違う

POINT

同じ「留学扱いにできるか」でも、学校の種類によって判断の速さと論点が変わります。どちらに通っているかで準備の力点を変えてください。

学校種別に見た相談のポイント

観点公立高校私立高校
判断の主体校長。教育委員会の方針や前例の影響を受けることがある校長・学校法人。学校ごとの方針の幅が大きい
留学規程自治体・学校で整備されている場合がある国際教育に力を入れる学校は整備済みのことが多い
在籍中の授業料比較的負担が小さい在籍を続けると1年分の負担が大きい。休学の減免規定を確認
力点前例と規程の確認から入る在籍の扱いと授業料の減免をセットで確認する

私立の場合、在籍したまま留学すると日本側の授業料と現地の費用が二重に発生します。休学扱いにすれば負担は下がる一方、卒業時期が1年ずれる可能性があります。費用と卒業時期のどちらを優先するかを家庭で決めてから相談すると、話が早く進みます。費用の見積りは1年間の高校留学の費用をご覧ください。

「留年」という言葉は学校ごとに指す内容が違うことがあります。①原級留置(同じ学年をもう一度)②休学により卒業が1年遅れる③留学中の単位が認定されず追加履修が必要になる——のどれを指しているのかを、相談の最初に確認してください。ここが噛み合わないまま話すと、必要な準備がずれます。

まとめ:留年は「扱い」で決まる。早めの相談を

高校留学で留年するかどうかは、成績ではなく「留学扱い」か「休学扱い」かで決まります。留年を避けるには単位認定を受けて留学扱いにしてもらう必要がありますが、これは校長の判断です。留学扱いは授業料がかかり、休学扱いは免除・減額されるという費用差もあります。早めに在籍校へ希望と条件を確認し、家庭の方針を決めておきましょう。

Q.1年間高校留学すると留年しますか?

必ずしも留年しません。単位認定を受けて「留学扱い」になれば、帰国後はもとの学年に進級できます。認定されず「休学扱い」になると1学年下に戻ります。どちらになるかは校長の判断のため、出発前に確認が必要です。

Q.留学扱いと休学扱いは自分で選べますか?

選べません。学校教育法施行規則第93条第2項により、留学の取り扱いの最終判断は校長に委ねられています。留年を避けたいなら、留学前の早い段階で「留学扱いを希望する」意思を在籍校に伝えておきましょう。

Q.留学扱いと休学扱いで費用は違いますか?

違うことが多いです。休学扱いは休学期間の日本の授業料が免除・減額されることが多い一方、留学扱いは在籍扱いのため日本の授業料の支払いが必要とされることが多い傾向です。ただし共通のルールがあるわけではなく、扱いは学校の規程によります。進級と費用のトレードオフを理解したうえで、金額を在籍校に確認してください。

Q.留年(休学扱い)を避けるにはどうすればいいですか?

①留学前の早い段階で「留学扱い」を希望する意思を在籍校に伝える、②学校の内規(単位認定の条件)を確認する、③現地で認定対象のアカデミック科目を履修する、の3つが基本です。

Q.休学扱いだと大学受験に不利になりますか?

一概に不利とは言えません。休学扱いは学年が1つ下がりますが、日本の高校の授業を最初から受け直せるため、受験対策の面ではむしろ落ち着いて臨めるという見方もあります。総合型選抜など留学経験を活かす入試のほか、留学で得た英語力を土台に海外大学へ進学する道も選択肢になります。

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