このページの要点
「何日休むと留年」という基準は法令にありません。数字を決めているのは在籍校の規程です。
- 法令が定めているのは出席日数ではなく単位と成績:学校教育法施行規則第57条第1項は、各学年の課程の修了・卒業の認定を「児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」と定め、同規則第104条第1項がこれを高等学校に準用しています(高等学校では「生徒」と読み替えます。この読み替えは条文に明示されておらず、当サイトによる読み方です)。卒業は「七十四単位以上を修得した者」について認めます(同規則第96条第1項)。日数の要件はどこにも出てきません。
- 学習指導要領はむしろ弾力的な運用を求めている:高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則第4款3は「学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする」と定めています。
- 留学の期間は単位認定の枠組みで処理されうる:校長が留学を許可すれば(同規則第93条第1項)、外国の高等学校での履修を高等学校での履修とみなし、36単位を超えない範囲で単位の修得を認定できます(同条第2項)。ただし出席簿や欠課時数への算入方法を定めた規定は法令になく、運用は学校によります。
高校留学を検討するとき、費用と並んで論点になるのが出席日数の扱いです。「1年も学校を離れたら、出席が足りずに留年するのではないか」。この不安は自然ですが、前提が1つずれています。 法令を読むと、高等学校の進級・卒業を決めているのは単位の修得と平素の成績であって、出席した日数ではありません。学校教育法施行規則にも高等学校学習指導要領にも、「何日以上の出席が必要」という数字は出てきません。では「3分の1休むと単位が出ない」という話はどこから来るのか。在籍校が学則や内規で定めているからです。 つまり確認すべき相手も内容も決まっています。本記事は条文の原文から、どこに何が書かれていて、何が書かれていないのかを整理します。留年そのものの回避策は高校留学で留年しないためにをご覧ください。
本記事の条文は、学校教育法施行規則(e-Gov法令検索の法令原文)と高等学校学習指導要領(平成30年告示)(文部科学省が公開しているPDF本文)を、当サイトが2026年8月21日に取得して整理したものです。出席日数や欠課時数の具体的な基準は、法令ではなく各高等学校の学則・内規で定められています。数字も運用も学校ごとに異なりますので、最終的な判断は必ず在籍校にご確認ください。 本記事は「どこに何が定められているか」という枠組みを示すもので、特定の学校での取り扱いを保証するものではありません。なお学習指導要領の引用は原文の表記に合わせ、読点に全角コンマ(,)を用いています。
結論:法令・学習指導要領・学校の規程で、決めていることが違う
POINT
3つの層があります。日数の基準が出てくるのは、いちばん下の「学校の規程」だけです。ここを分けると、誰に何を聞けばよいかがはっきりします。
高校留学と出席日数の関係を整理するには、ルールが3つの層に分かれていることを先に押さえてください。上の2層は全国共通ですが、日数の話は一切出てきません。 数字が登場するのはいちばん下の層だけで、そこは学校ごとに違います。
高校の進級・卒業を決めているルールの3層(当サイトによる整理)
| 層 | 何を定めているか | 欠席・欠課の基準はあるか | 誰に確認するか |
|---|---|---|---|
| ① 法令(学校教育法施行規則) | 進級・卒業の認定は平素の成績を評価して定める(第57条第1項・第104条第1項)/卒業は74単位以上(第96条第1項)/出席簿の作成義務(第25条) | ない(出席日数・欠課時数の要件は規定されていない) | —(全国共通) |
| ② 学習指導要領(平成30年告示) | 履修し、その成果が目標からみて満足できれば単位を修得したことを認定しなければならない(第4款1(1))/各学年の課程の修了の認定は弾力的に行うよう配慮(第4款3) | ない(授業時数や単位数の定めはあるが、欠席・欠課の基準はない) | —(全国共通) |
| ③ 学校の規程(学則・内規・留学規程) | 各科目の欠課時数の上限、進級の判定方法、留学中の在籍の扱い(留学扱い/休学扱い) | ここにある(学校ごとに異なる) | 在籍校(教務主任・学年主任) |
この表がそのまま、保護者の動き方になります。①と②は調べれば誰でも読めるので、学校に聞く必要はありません。 聞くべきは③だけです。そして③は「お願い」ではなく「規程を見せてください」という確認で始まります。学校側も規程に沿って答えるほうが答えやすく、話が早く進みます。
法令が定めているのは「単位」と「平素の成績」であって、日数ではない
POINT
条文を実際に開くと、進級・卒業の認定基準に日数が一度も出てこないことが確認できます。ここが不安の出発点をずらしてくれます。
進級と卒業は、それぞれ別の条文で決まっている
まず進級(各学年の課程の修了)です。学校教育法施行規則第57条第1項は「小学校において、各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」と定めています。この条文は小学校の章に置かれていますが、同規則第104条第1項が「第五十七条第一項」を高等学校に準用しているため、高等学校にも適用されます(準用とは対象を置き換えて適用することなので、実際には「高等学校において…生徒の平素の成績を評価して」と読みます。この読み替えは条文に明示されていないため、当サイトによる読み方であることをお断りしておきます)。
次に卒業です。同規則第96条第1項は、校長が全課程の修了を認めるに当たっては、学習指導要領の定めるところにより「七十四単位以上を修得した者について行わなければならない」としています。つまり卒業の要件は単位数です。ここでも日数は出てきません(なお同項には但書があり、教育課程の特例を受けている学校には別の定めが適用されます)。
記録する義務はある。基準がないだけ
では出席の記録に関する規定がまったくないのかというと、そうではありません。同規則第25条は「校長(学長を除く。)は、当該学校に在学する児童等について出席簿を作成しなければならない」と定めています。第24条第1項は指導要録の作成義務を定めています。つまり法令は「記録しなさい」とは命じていますが、「何日以上でなければならない」とは一言も定めていません。 記録の義務と、進級の要件は別のものです。
学校教育法施行規則で、出席と進級・卒業に関わる条文(原文の要点)
| 条文 | 定めている内容 | 日数の基準 |
|---|---|---|
| 第25条 | 校長(学長を除く)は在学する児童等について出席簿を作成しなければならない | 記録の義務のみ。基準なし |
| 第24条第1項 | 校長は在学する児童等の指導要録を作成しなければならない | 記録の義務のみ。基準なし |
| 第57条第1項(第104条第1項で高校に準用) | 各学年の課程の修了・卒業の認定は平素の成績を評価して定めなければならない | なし |
| 第96条第1項 | 全課程の修了は74単位以上を修得した者について認める | なし(単位数で規定) |
| 第93条第1項・第2項 | 校長は留学を許可でき、外国の高校での履修を高校での履修とみなし36単位以内で修得を認定できる | なし |
条文の読み方について1点、正確にお伝えします。 第57条には第2項があり、「学校生活への適応が困難であるため相当の期間小学校を欠席した児童」の成績評価では、文部科学大臣が別に定めるところにより、欠席中に行った学習の成果を考慮できると定めています。しかし第104条第1項が高等学校に準用しているのは「第五十七条第一項」までで、第2項は列挙されていません(当サイトが条文の列挙を確認したものです)。なお、高等学校には第96条第4項という別の特例がありますが、これは「疾病による療養のため又は障害のため、病院その他の適当な場所で医療の提供その他の支援を受ける必要がある生徒」について、同条第2項・第3項が定める36単位の上限(多様なメディアを高度に利用した授業〈第88条の3〉や通信教育〈第88条の4〉により修得する単位数の上限)によらないことができるとするものです。出席日数や成績評価を緩和する規定ではなく、留学とも直接の関係はありません。 混同されやすいので付記しました。
「履修」と「修得」は別物。留年はここで決まっている
POINT
単位が出るかどうかは「履修したか」と「成果が満足できるか」の2段階で決まります。出席は前者の判断材料の一つであって、後者ではありません。
高等学校学習指導要領(平成30年告示)第1章総則第4款1(1)は、次のように定めています。「学校においては,生徒が学校の定める指導計画に従って各教科・科目を履修し,その成果が教科及び科目の目標からみて満足できると認められる場合には,その各教科・科目について履修した単位を修得したことを認定しなければならない」。
この一文には2つの条件が入っています。①学校の定める指導計画に従って履修したこと、②その成果が目標からみて満足できると認められること。そして両方を満たせば「認定しなければならない」——学校の裁量ではなく義務として書かれています。出席日数が関わってくるのは①の「履修したかどうか」の判断であって、②ではありません。ここが「出席日数=成績」と混同されやすいところです。
履修・修得・進級・卒業の関係(学習指導要領第4款1(1)・2、学校教育法施行規則第57条第1項・第96条第1項による当サイトの整理)
| 段階 | 何を見るか | 満たさないとどうなるか | 出席日数との関係 |
|---|---|---|---|
| 履修 | 学校の定める指導計画に従って授業を受けたか | 未履修。単位の認定以前の問題になる | 関係する。学校が欠課時数の上限を定めている場合、ここで引っかかる |
| 修得 | その成果が教科・科目の目標からみて満足できると認められるか | 未修得。履修はしたが単位は出ない | 直接の関係はない。評価は成果に対して行われる |
| 進級(各学年の課程の修了) | 生徒の平素の成績を評価して学校が定める | 原級留置(留年) | 法令上の日数基準はない。学校の判定基準による |
| 卒業(全課程の修了) | 学校が定めた単位数(74単位以上)を修得し、特別活動の成果が満足できるか | 卒業延期 | 法令上の日数基準はない |
留学を検討するときに効いてくるのは、この分解ができているかどうかです。「1年いないから成績が付かない」のではなく、「その期間の履修をどう扱うか」が論点になります。そして留学については、次に見るとおり専用の条文が用意されています。単位認定の手続きそのものは高校留学の単位認定で詳しく扱っています。
留学中の期間は「欠席」ではなく「留学」として処理されうる
POINT
校長の許可を受けた留学には、専用の条文があります。出席日数の問題としてではなく、単位認定の問題として処理される道が法令に用意されています。
学校教育法施行規則第93条第1項は「校長は、教育上有益と認めるときは、生徒が外国の高等学校に留学することを許可することができる」と定めます。同条第2項は、許可された生徒について「外国の高等学校における履修を高等学校における履修とみなし、三十六単位を超えない範囲で単位の修得を認定することができる」としています。
ここで重要なのは「履修とみなし」という言葉です。前の章で見たとおり、単位が出るかどうかは①履修②成果、の2段階で決まります。第93条第2項は、この①を現地校での履修で置き換えることを認めているわけです。つまり許可を受けた留学であれば、制度上は「授業を休んだ日」を数える問題ではなく、単位認定の問題として処理されます。 ただし欠課時数に算入するかどうかの運用は学校ごとに異なります(次章で扱います)。 さらに同条第3項は、認定を受けた生徒について「学年の途中においても、各学年の課程の修了又は卒業を認めることができる」としており、帰国時期が学年の区切りとずれる場合の受け皿まで用意されています。
逆に言えば、この条文に乗れるかどうかが分かれ目です。第93条は「校長は…許可することができる」という書き方であり、許可も認定も校長の判断です。自動的には動きません。しかも留学の許可を受けられない場合、取りうる状態は①休学(第94条は「生徒が、休学又は退学をしようとするときは、校長の許可を受けなければならない」と定めており、休学にも許可が要ります)②在籍したまま欠席する③退学、に分かれます。②になると欠課時数が積み上がり、まさに履修の判定が問題になります。 つまり本記事の枠組みが効くかどうかは、第93条第1項の許可を受けられるかにかかっています。この「留学扱いか休学扱いか」の違いが、実務上いちばん大きな分岐です。詳しくは高校留学で留年しないためにで整理しています。
避けたい
「1年休むと出席日数が足りないから留年ですよね」と学校に聞いてしまう
こうすればOK
「施行規則第93条の留学の許可を受けられる見込みはありますか。認定していただける単位数の目安はどのくらいですか」と、条文の枠組みで聞く。答える側も規程に沿って答えられる
避けたい
出発してから「留学扱いか休学扱いか」を確認する
こうすればOK
申し込みの前に確認する。扱いによって単位認定の可否も学費の扱いも変わり、出発後には動かしにくい
避けたい
「3分の1を超えると単位が出ない」という一般論を前提に諦める
こうすればOK
在籍校の学則・内規に何と書かれているかを確認する。 数字も対象も学校ごとに違い、留学の場合を別に定めている学校もある
では「欠課時数◯分の1」という数字はどこから来るのか
POINT
法令にも学習指導要領にも、この数字はありません。各学校が学則や内規で定めているもので、数字も対象も学校によって違います。
「各科目の授業時数の3分の1を超えて欠課すると単位が認定されない」という説明を、留学関連の記事でよく見かけます。この数字の出どころは法令ではありません。 本記事で確認したとおり、学校教育法施行規則にも高等学校学習指導要領にも、出席日数や欠課時数の数値基準は書かれていません。定めているのは各高等学校の学則・内規であり、したがって数字も、対象となる範囲も、例外の扱いも学校ごとに異なります。
この事実の実務上の意味は大きいものです。「一般にこう言われている」という情報で判断すると、在籍校の実際の規程とずれます。 割合も、対象となる範囲も、留学や忌引などを欠課時数から除くかどうかも、学校ごとに定められています。当サイトは全国的な傾向を確認していません。 一般論ではなく、在籍校の規程そのものを確認する以外に正確な答えを得る方法はありません。
そのうえで、機械的な判定を避けるよう配慮を求める定めが上位のルールに存在することも知っておいてください。学習指導要領第1章総則第4款3は「学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする」と定めています。条文が理由として挙げているのは「単位制が併用されていること」——つまり進級を学年単位の一律の判定で決めきらない仕組みが前提になっている、ということです。当サイトはこれを「一律の線引きだけで判定しないよう配慮を求めた定め」と読んでいます(この読み方は当サイトによるものです)。 保護者がこの一文を知っているかどうかで、相談の質は変わります。
確認ポイント:欠課時数の上限を定めている規程の名称は、学校によって「学則」「教務規程」「単位認定に関する内規」「進級認定基準」などさまざまです。まず「進級・単位認定の基準が書かれた文書はどれですか」と尋ね、文書名を特定してください。 文書名が分かれば、その後のやり取りが具体的になります。なお、規程を保護者に開示するかどうかも学校の運用によります。開示されない場合でも、「留学期間は欠課時数に算入されるのか」という形にすれば回答が得られることがあります。
留学の期間が出席簿・指導要録にどう記録されるかは、学校の運用による
POINT
法令は記録の義務を定めていますが、記録の方法までは定めていません。ここは断定できない領域なので、確認すべき項目として扱ってください。
学校教育法施行規則第25条は出席簿の作成を、第24条第1項は指導要録の作成を義務づけています。しかし「留学中の期間をどう記載するか」を定めた規定は置かれていません。 当サイトは、留学期間の記載方法について全国的な傾向を確認できていません。 記載方法は設置者(教育委員会や学校法人)の定めや学校の運用に委ねられている領域です。
保護者にとって実際に効いてくるのは、記録そのものより「記録が使われる場面」です。 指導要録の記載は調査書(内申書)の作成につながり、調査書は大学入試や就職で使われます。したがって確認すべきは記載方法そのものではなく、「その記載が調査書にどう表れるか」です。とくに総合型選抜・学校推薦型選抜を考えているご家庭では、この確認の価値が高くなります。留学経験を出願にどう接続するかは総合型選抜と留学経験で扱っています。
出席・在籍の記録について、在籍校に確認したい5項目
| 確認する項目 | なぜ必要か | 確認の相手 |
|---|---|---|
| 留学期間は欠課時数に算入されるか | 算入される運用なら、進級判定の見通しが変わる | 教務主任・学年主任 |
| 留学の許可(第93条第1項)を受けられるか | 許可の有無で単位認定の道筋が変わる | 教務主任(最終的には校長) |
| 認定される単位数の見込みと、充当される科目 | 36単位は上限であって自動ではない。必修科目が埋まるかは別問題 | 教務主任 |
| 調査書にどう記載されるか | 大学入試・就職で使われる書類に表れる | 進路指導担当 |
| 帰国時期が学期の区切りとずれた場合の扱い | 第93条第3項が学年途中の修了・卒業の認定を可能にしている | 教務主任 |
帰国後に単位が足りないと分かったときの選択肢
POINT
不足が判明してからでも打てる手があります。いずれも校長の判断が関わるため、早く相談するほど選択肢が残ります。
留学の認定単位が見込みより少なかった、あるいは必修科目が埋まらなかった——このとき、法令上いくつかの受け皿が用意されています。どれも「校長が認めるとき」という条件が付いている点に注意してください。早く相談するほど、学校側が段取りを組む余地が残ります。
- 1他の高等学校で修得した単位を加える(施行規則第97条第1項)。校長が教育上有益と認めるときは、他の高等学校等で修得した単位を、卒業に必要な単位数のうちに加えることができます。同一校の全日制・定時制・通信制の間の併修についても準用されます(同条第3項)。ただし上限があります。 第99条は「第九十七条の規定に基づき加えることのできる単位数及び前条の規定に基づき与えることのできる単位数の合計数は三十六を超えないものとする」と定めています。
- 2高等学校卒業程度認定試験の合格科目を単位として認めてもらう。施行規則第100条は、校長が教育上有益と認めるときは一定の学修を「当該生徒の在学する高等学校における科目の履修とみなし、当該科目の単位を与えることができる」と定め(対象には「当該生徒が入学する前に行つたものを含む」)、同条第1号が高卒認定試験で「合格点を得た試験科目…に係る学修」をその対象に挙げています。文部科学省もQ&Aで「高卒認定試験で数学を受験し、合格すれば、学校長の判断で数学Ⅰの単位を修得したと認められる場合があります」と説明しており、出願前に学校と相談するよう求めています。
- 3通信制課程への転入学・併修を検討する。施行規則第92条第2項は、全日制・定時制・通信制の相互の転学・転籍について「修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」と定めています。仕組みは通信制高校からの留学で整理しています。
- 4時期のずれを調整する(施行規則第93条第3項・第104条第3項)。これは単位を増やす手段ではなく、帰国時期と学年の区切りがずれた場合の受け皿です。 第93条第3項は留学の単位認定を受けた生徒について学年の途中でも修了・卒業を認めることを可能にし、第104条第3項は「特別の必要があり、かつ、教育上支障がないとき」に学期の区分に従って修了・卒業を認めることを可能にしています。
進路の側から考える選択肢もありますが、順序を間違えないでください。 海外の大学は、出願にあたって中等教育の修了と、その成績の記録(成績証明書)を求めるのが一般的です。要件は国・大学ごとに定められており、当サイトが一般化できる範囲ではありません。確かなのは、「海外大学があるから単位不足は気にしなくてよい」とは言えないということです。 単位と卒業資格の確保は先に片づけてください。そのうえで進路を並べて考えるなら海外大学進学をご覧ください。
期間が短い留学では、論点がどう変わるか
POINT
夏休みや2週間程度の短期であれば、そもそも欠課がほとんど生じません。論点は出席日数ではなく、行事・考査との重なりに移ります。
留学の期間によって、心配すべきことは変わります。長期(1年・ターム)では単位認定と在籍の扱いが中心になりますが、短期では別のところに実務上の問題が出ます。 具体的には、定期考査との重なり、学校行事との重なり、そして課題の扱いです。
留学の期間別・出席まわりで実際に問題になること
| 期間 | 主な論点 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 長期休暇中のみ(2週間前後) | 授業日と重ならなければ欠課は生じない | 始業式・登校日・補習の日程と重なっていないか |
| 1〜3か月(ターム) | 欠課時数の扱い、定期考査を受けられるか | 留学の許可を受けるか、考査の追試・代替措置があるか |
| 半年〜1年 | 単位認定(36単位以内)と進級の判定 | 認定見込み単位数、必修科目の充当、帰国時期と学年の区切り |
| 卒業まで(現地校を卒業) | 日本の高校の籍をどうするか。進級の問題ではなくなる | 退学・休学の扱い(第94条)、帰国後の進学ルート |
つまり「出席日数が心配だから短期にする」という選び方は、短期を選ぶ理由としては弱いということです。期間は目的から決めるものであり、短期には短期の効果と限界があります。判断材料は高校生の短期留学とターム留学とはにまとめています。
まとめ:不安の相手は「日数」ではなく「規程」
本記事で確認したことを整理します。学校教育法施行規則にも高等学校学習指導要領にも、「何日休むと留年」という基準は存在しません。 法令が定めているのは、進級・卒業の認定を「児童の平素の成績を評価して」定めること(第57条第1項。第104条第1項が高等学校に準用し、高等学校では「生徒」と読み替えます)、卒業には「七十四単位以上」の修得が必要なこと(第96条第1項)、そして出席簿と指導要録を作成する義務があること(第25条・第24条第1項)です。
さらに学習指導要領第1章総則第4款は、履修と成果の2条件を満たせば「単位を修得したことを認定しなければならない」とし(第4款1(1))、各学年の課程の修了の認定については「単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする」と定めています(第4款3)。上位のルールは、一律の線引きだけで判定しないよう配慮を求める方向を向いています(この読み方は当サイトによるものです)。
そして留学については専用の条文があります。校長が許可すれば(第93条第1項)、現地校での履修を日本の高校での履修とみなし、36単位を超えない範囲で単位の修得を認定でき(同条第2項)、学年の途中でも修了・卒業を認められます(同条第3項)。この枠組みに乗れば、制度上は「休んだ日数」ではなく単位認定の問題として処理されます(ただし欠課時数への算入の運用は学校によります)。
残るのは学校の規程です。ここに数字があります。 だからご家庭がすべきことは、一般論を集めることでも、留年しないようお願いすることでもなく、在籍校の規程を特定して、留学の期間がそこでどう扱われるかを確認することです。順序は、①進級・単位認定の基準が書かれた文書名を尋ねる →②留学の許可(第93条第1項)を受けられるかを確認する →③認定見込みの単位数と充当科目を確認する →④留学期間が欠課時数に算入されるかを確認する →⑤帰国時期と学年の区切りのずれを確認する →⑥調査書への表れ方を確認する。この6つで、出席日数の不安はほぼ具体的な予定に変わります。単位認定の書類の実務は留学の単位認定を受けやすい高校、留学全体の流れは高校留学ガイドをご覧ください。
Q.留学中の期間は、欠席として扱われるのですか。
校長の許可を受けた留学であれば、単位認定の枠組みで処理されるのが基本です。 学校教育法施行規則第93条第1項は校長が留学を許可できると定め、同条第2項は「外国の高等学校における履修を高等学校における履修とみなし、三十六単位を超えない範囲で単位の修得を認定することができる」としています。「履修とみなす」という書き方なので、授業を休んだ日として数える処理とは別の道筋になります。ただし出席簿や指導要録への具体的な記載方法を定めた規定は法令に置かれておらず、運用は学校によります。当サイトはここを断定できません。「留学期間は欠課時数に算入されますか」と在籍校に直接ご確認ください。 なお、留学の許可を受けない場合は第94条の休学という別の扱いになり、単位認定の道筋が変わります。違いは高校留学で留年しないためにで整理しています。
Q.「授業時数の3分の1を超えて欠席すると単位が出ない」というのは本当ですか。
まず、これは「日数」ではなく各科目の欠課「時数」の話です。 そのうえで結論を言えば、法令の定めではありません。 当サイトが学校教育法施行規則と高等学校学習指導要領(平成30年告示)の原文を確認した範囲で、出席日数や欠課時数の数値基準はどこにも書かれていません。 この種の数字は各高等学校が学則・内規で定めているもので、割合も、対象となる範囲も、例外の扱いも学校ごとに定められています。当サイトは全国的な傾向を確認していません。したがって「一般にこう言われている」という情報で判断すると、在籍校の実際の規程とずれる可能性があります。 まず「進級・単位認定の基準が書かれた文書はどれですか」と尋ねて文書名を特定し、そのうえで留学期間の扱いを確認してください。
Q.出席日数が足りていない状態からでも、留学はできますか。
制度上は可能ですが、先に決めるのは「籍をどうするか」です。 学校教育法施行規則第93条第1項の留学の許可は「校長は、教育上有益と認めるときは」という条件で書かれており、現在の在籍状況が判断に影響する可能性はあります。許可を受けられない場合でも、第94条の休学(校長の許可が必要)や、通信制課程への転入学(第92条第2項は「修得した単位に応じて、相当学年に転入することができる」と定めます)といった道があります。ルートによって単位認定の可否も帰国後の進路も変わるため、留学先を決める前に籍の扱いを決めてください。 4つのルートの違いは不登校の高校生が留学するときの学籍と単位、通信制の仕組みは通信制高校からの留学で整理しています。
Q.帰国したら単位が足りませんでした。留年するしかないのでしょうか。
打てる手はいくつかあります。いずれも校長の判断が関わるため、早い相談ほど選択肢が残ります。 ①施行規則第97条第1項により、他の高等学校等で修得した単位を卒業に必要な単位数に加えることができます(校長が教育上有益と認めるとき)。②文部科学省は高等学校卒業程度認定試験のQ&Aで、高校で修得できなかった科目について高卒認定試験に合格すれば「学校長の判断で」その科目の単位を修得したと認められる場合があると説明しています(出願前に学校と相談するよう同Q&Aが求めています)。③施行規則第93条第3項は、留学の単位認定を受けた生徒について学年の途中でも修了・卒業を認められるとしています。④通信制課程への転入学という受け皿もあります。まず教務主任に、どの手段が自校で使えるかを確認してください。
Q.学校に「前例がない」と言われました。どう進めればよいですか。
「お願い」から「確認」に切り替えてください。 前例がないという回答は、「規程がどうなっているかを学校側もその場で判断できない」という意味であることがあります。そこで質問を、判断を求める形から規程を特定する形に変えます。たとえば「留学を認めていただけますか」ではなく「施行規則第93条第1項の留学の許可について、本校の運用を定めた規程はありますか」と尋ねます。あわせて、上位のルールが弾力的な運用を求めていることも共有できます。高等学校学習指導要領第1章総則第4款3は「学校においては,各学年の課程の修了の認定については,単位制が併用されていることを踏まえ,弾力的に行うよう配慮するものとする」と定めています。制度を持ち出して押し切るのではなく、学校が判断しやすい材料を渡すという姿勢が実務的です。相談の進め方は高校留学で留年しないためにで扱っています。
在籍の扱いから、合う留学の形を整理する
留学扱いか休学扱いか、期間をどう取るか。籍の扱いは留学の形とセットで決まります。いくつかの質問に答えると、検討の出発点が絞れます。







