このページの要点
団体選びは費用や知名度ではなく、法律で公開が義務づけられた情報から始めてください。
- 公益法人には情報公開の義務がある:財産目録・役員等名簿・報酬等の支給の基準を記載した書類を毎事業年度経過後三月以内に作成し、五年間備え置かなければなりません(公益認定法第21条第2項)。
- 誰でも見られる:「何人も」業務時間内はいつでも閲覧を請求でき、公益法人は「正当な理由がないのにこれを拒んではならない」と定められています(同条第5項)。行政庁も提出された書類を公表するものとされています(同法第22条第2項)。
- 費用は額面で比べられない:往復航空運賃を含む団体と、宿泊・食事・学費を団体側が負担して航空券は自己負担という仕組みが混在します。含まれるものを揃えてから引き算する必要があります。
交換留学の派遣団体を比べようとすると、出てくるのは主要団体の一覧表です。ところがそこに書かれた費用には出典がなく、応募締切も選考日程も載っておらず、解約の条件に至っては一行もありません。 数百万円を一括ではなく分割で払い、選考は渡航の1年以上前に始まる契約なのに、です。そこで本記事は順序を変えます。先に見るべきは、法律で公開が義務づけられている情報です。 比較記事によく登場するAFS日本協会・YFU日本国際交流財団・EIL 日本国際生活体験協会は、いずれも公益財団法人または公益社団法人であり、公益認定法により財産目録等の備置き・閲覧・提出の義務を負っています。株式会社にこの義務はありません。 条文と各団体の公表値から、比較の軸と順序を整理します。交換留学という制度そのものの全体像は高校の交換留学をご覧ください。
本記事の条文は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(e-Gov法令検索の法令原文)を、各団体の数値はそれぞれの公式サイトおよび公式発表を、当サイトが2026年8月20日に取得して整理したものです。参加費・選考日程・応募締切・派遣国は毎年改定されます。 とくにEIL(日本国際生活体験協会)は「急激な為替の変動によって参加費用が変更となる場合がある」と公式に明記しています。必ず各団体の最新の募集要項で確認してください。 本記事で示した法人格は、各団体の正式名称および公式サイトの表示によるものです。また、公式の発表と公式サイトの掲載値が食い違っている箇所は、そのまま食い違いとして記載しています(推測で一方に寄せていません)。また当サイトは情報提供メディアであり、特定の団体からの送客報酬を受け取っておらず、個社のランキングや優劣の評価は行いません。 本記事で団体名を挙げているのは、読者がご自身で公式情報を引くために必要だからです。
結論:比べる軸は4つ。費用は3番目に見る
POINT
費用から入ると、含まれるものが違う数字を並べて比べてしまいます。先に「そもそも応募できるか」と「情報が公開されているか」を確認してください。
派遣団体を比べる軸は次の4つです。上から順に確認してください。 理由は単純で、上の2つは確認しないと比較そのものが成立しないからです。応募資格を満たしていなければ費用を比べる意味がありませんし、情報が公開されていない団体は、そもそも比較の対象にできません。
交換留学の団体を比べる4つの軸(当サイトの整理)
| 軸 | 何を見るか | 確認できる場所 | 優先度 |
|---|---|---|---|
| ① 応募できるか | 学年・年齢・成績・語学要件。居住地の制約があるか | 各団体の募集要項(掲載がない団体は要問い合わせ) | 最優先 |
| ② 情報が公開されているか | 法人格。財産目録・役員等名簿・報酬等の支給基準・決算が見られるか | 公益法人は法律上の公開義務がある(公益認定法第21条・第22条) | 高 |
| ③ 費用(含まれるものを揃えて) | 参加費に往復航空運賃・保険・研修が含まれるか。選考料は別途か | 各団体の公式サイト(国別・年度別に公表されている) | 中 |
| ④ 行ける国と選考の通りやすさ | 派遣国数、募集を継続している国、選考の回数と日程 | 各団体の募集要項・選考スケジュール | 中 |
この順序をおすすめする理由は、①と②は後から変えられない前提条件だからです。応募資格は交渉できませんし、公開されていない情報は入手できません。一方で費用は、奨学金の併用や派遣国の選び直しで動かせる余地があります。動かせない条件から確認するほうが、無駄が出ません。
「派遣団体」は1種類ではない — 運営のかたちで3つに分かれる
POINT
同じ「交換留学を扱う団体」でも、公益法人・株式会社・地区単位のクラブでは、負っている義務も窓口の場所もまったく違います。
交換留学の窓口になる組織は、実務上は次の3つに分かれます。「協会」「財団」といった呼び名ではなく、法人格と運営の単位で見てください。 名称は法人格を表すとは限りませんが、法人格のほうは公式サイトの法人概要や登記で確認できます。なお3つ目のロータリーは法人格の区分ではなく、全国一律の窓口を持たず地区単位で運営されているという点で他と分けています。
交換留学の窓口になる組織の3類型(法人格・運営の単位で整理)
| 類型 | 代表的な例 | 情報公開の義務 | 事業・費用の建て付け |
|---|---|---|---|
| 公益社団法人・公益財団法人 | AFS日本協会(公益財団法人)、YFU日本国際交流財団(公益財団法人)、EIL 日本国際生活体験協会(公益社団法人) | あり。財産目録等の備置き・閲覧・行政庁への提出(公益認定法第21条・第22条) | 公益目的事業比率が50%以上でなければならない(同法第5条第8号・第15条) |
| ロータリークラブ(地区単位の運営) | ロータリー青少年交換 | 地区・クラブによる。全国一律の窓口がない | 宿泊・食事・学費をロータリー側が負担する仕組み |
| 株式会社(留学エージェント) | 各種の留学あっせん事業者 | 公益認定法上の義務はない | 手配手数料・提携先からの送客報酬など |
ここで大事なのは、「非営利だから安心」という話ではないということです。公益法人でも運営に問題が起きることはありますし、株式会社のエージェントに丁寧な会社は数多くあります。違うのは「あなたが自分で確かめられるかどうか」です。 公益法人には後述の公開義務があり、株式会社にはありません。エージェントを使う場合の見方は高校生の留学エージェントの選び方に、無料で使えるエージェントの収益構造は留学エージェントはなぜ無料なのかにまとめています。
【最重要】公益法人には、法律で情報公開が義務づけられている
POINT
これが、送客を目的とする比較サイトが書けない部分です。パンフレットではなく、法律で開示される書類を見に行けます。
公益社団法人・公益財団法人は、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下、公益認定法)にもとづいて内閣総理大臣または都道府県知事の認定を受けた法人です。認定を受けるということは、継続的な義務を負うということでもあります。
何が公開されるのか
公益認定法第21条第2項は、公益法人に対し、毎事業年度経過後三月以内に次の書類を作成し、五年間主たる事務所に備え置くことを義務づけています。
- 財産目録(第1号)
- 役員等名簿(第2号。理事・監事・評議員の氏名と住所を記載した名簿)
- 報酬等の支給の基準を記載した書類(第3号)
- そのほか内閣府令で定める書類(第4号)
そして第21条第5項が決定的です。条文はこう書かれています。「何人も、公益法人の業務時間内は、いつでも」これらの書類・定款・計算書類等の閲覧を請求することができ、「この場合においては、当該公益法人は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない」。保護者であれ誰であれ、閲覧を請求できるということです。 さらに第22条第1項は同じ書類を行政庁に提出することを、同条第2項は「行政庁は…提出を受けた財産目録等…を公表するものとする」ことを定めています。つまり、自分で足を運ばなくても行政側から公表される建て付けになっています。
第21条第6項により、役員等名簿については、社員・評議員以外の者から請求があった場合、個人の住所に係る部分を除外して閲覧させることができます。氏名は見られますが住所は伏せられる、という趣旨です。
どこで見るのか
見る先は3つあります。1つ目は団体自身の公式サイトです。たとえばAFS日本協会は、評議員・役員名簿、定款、および2021〜2025年度の5年分の決算要約を自社サイトで公開しています(2026年8月20日時点)。公開している団体は、たいてい見つけやすい場所に置いています。 2つ目は行政庁の公表です。公益認定法第22条第2項が「行政庁は…公表するものとする」と定めており、国・都道府県の公式サイトである内閣府の「公益法人information」が法人検索の窓口になっています。どこまでの書類がその場で閲覧できるかは法人や年度によって差があるため、実際に法人名で検索してご確認ください。 3つ目が団体への直接の請求です。1つ目・2つ目で見当たらない書類は、第21条第5項にもとづいて団体に閲覧を請求できます。条文が「正当な理由がないのにこれを拒んではならない」と定めている以上、請求すること自体は当然の権利です。
何を読み取るか
会計の専門知識がなくても、次の3点は読み取れます。第一に、公益目的事業比率です。公益認定法第5条第8号と第15条は、事業活動における公益目的事業比率が百分の五十以上でなければならないと定めています。第二に、報酬等の支給の基準です。第5条第14号は、理事・監事・評議員の報酬等について「不当に高額なものとならないような支給の基準」を定めていることを認定基準にしています。第三に、会計監査人の有無です。第5条第13号により、一定規模を超える公益法人は会計監査人を置くことが求められます。
そのうえで、公益認定は「取れば終わり」ではないことも押さえてください。第29条第2項第1号は、第5条各号の基準に適合しなくなったとき、行政庁が公益認定を取り消すことができると定めています。認定は現在進行形の状態です。 なお、交換留学の派遣が公益目的事業になりうる根拠は、公益認定法第2条第4号と別表第十五号にあります。別表第十五号は「国際相互理解の促進及び開発途上にある海外の地域に対する経済協力を目的とする事業」を公益目的事業の種類として挙げています。
費用は額面で比べられない — 「含まれるもの」が団体ごとに違う
POINT
往復航空運賃が入っている団体と、宿泊・食事・学費を団体側が負担して航空券は自己負担という団体が同じ表に並んでいます。そのまま引き算しても意味がありません。
各団体が公式に公表している金額は次のとおりです(2026年8月20日時点)。改定されるため、必ず最新の募集要項でご確認ください。
主要な派遣団体の公表額(各団体公式・2026年8月20日取得)
| 団体 | 公表されている参加費 | 選考料 | 参加費に往復航空運賃を含むか |
|---|---|---|---|
| AFS日本協会(公益財団法人) | 145万〜250万円(第74期年間派遣・2026年2月16日発表) | 公式のプログラムページに記載なし(要確認) | 公式のプログラムページに内訳の記載なし(要確認) |
| YFU日本国際交流財団(公益財団法人) | 178万円/182万円/208万円 の3区分(派遣国により決まる) | 33,000円 | 含む(YFU保険料・オリエンテーション宿泊費等も含む) |
| EIL 日本国際生活体験協会(公益社団法人) | 135万〜309万円(2027年夏出発・研修なしの国別公表額)ほか | 19,000円+ELTiS受験 1回3,300円 | 含む(ただし海外旅行保険料20万円〜は別途) |
| ロータリー青少年交換 | 参加費という形ではない。宿泊・食事代・学費をロータリーが負担 | 地区・クラブによる | 含まない(往復航空券は学生負担) |
この表からわかるのは、同じ「1年間の交換留学」でも金額の意味が違うということです。YFUの区分は米国・オランダが208万円、デンマーク・ドイツ・フィンランド・フランス・スイス・チェコが182万円、オーストリア・ベルギー・エストニア・ハンガリー・タイ・韓国が178万円で、往復航空運賃を含みます。一方EILは国ごとに細かく公表されており、2027年夏出発・研修なしの条件でタイ135万円、エストニア175万円、ドイツ・ベルギー・台湾189万円、アメリカ229万円、カナダ309万円といった具合です。さらに学区(通う学校の地域)を指定できるカナダのプログラムは385万〜405万円と別建てになっています。
そしてロータリー青少年交換は、そもそも構造が違います。国際ロータリーの公式説明では「宿泊と食事代、学費はロータリーが負担します」とされ、学生が負担するのは往復航空券・旅行保険・旅券とビザにかかる費用・小遣い(および追加の旅行やツアーの費用)です。参加費を払って役務を受け取る形ではありません。
見落としやすいのは、参加費の外側です。EILの公式が「含まれないもの」として挙げているのは、渡航手続き費用、ビザ申請料、海外旅行保険料(20万円〜)、燃油サーチャージ、アラムナイ会費10,000円、オリエンテーション会場までの往復交通費、小遣い(アメリカで月250ドルが参考額)、選考試験受験料、一部の国の通学費・制服代です。YFUも燃油サーチャージ・航空保険料・ビザ関連費用・予防接種費用・小遣い・語学研修費などを「含まれないもの」としています。参加費だけを見て資金計画を立てると、数十万円単位でずれます。 参加費が何の対価なのかという考え方は高校の交換留学で扱っています。団体ごとの差は、この表の「含むか」の列で判断してください。
当サイトは交換留学の参加費の中心帯を190万〜250万円として案内していますが、上の公表額のとおり、団体・派遣国・オプションまで含めた実際の幅は135万円台から400万円台まで開きます。 中心帯は「英語圏へ1年」という典型的なケースの目安であり、非英語圏を選べば下に、学区指定などの特別なプログラムを選べば上に外れます。ご自身の候補国で公表額を引いてください。 費用を下げる手段としての奨学金は高校生の留学奨学金ガイドに整理しています。
行ける国は思ったより狭い — 「募集継続国」という落とし穴
POINT
派遣国数の多さは、あなたが行ける国の多さとは違います。応募する日程によって、選べる国が減ります。
AFS日本協会は第74期の年間派遣について、2026年2月16日の発表で約30か国・募集約300人としています。2026年9月14日に当サイトが公式ページの「応募できる国」の表を機械的に集計したところ、募集枠は44、定員の合計は303人で、発表の数字とほぼ一致しました(内訳はAFS交換留学の評判で詳述しています)。ただし同時点で、44枠のうち24枠がすでに「募集終了」、1枠が「募集中止」でした。定員が残っていても、応募できるかどうかは別の話です。 一方、選考日程は公式サイトに明記されています。A日程が応募受付4月6日〜5月26日・試験6月6日または7日、B日程が6月18日〜7月14日・試験7月26日、C日程が8月21日〜9月29日・試験10月11日です。ここで重要なのは、B日程・C日程で応募できるのは「募集を継続している国」に限られるという点です。先の日程の選考で定員に達した国は、後の日程では募集されません。行きたい国が決まっているご家庭ほど、最初の日程で応募する必要があります。
YFU日本国際交流財団は、YFU交流国(公式に「2024年3月現在45ヶ国」と記載)のうち15か国へ1学年間派遣すると公表しています。ネットワークの国数と、日本から派遣される国数は別物だということです。なお公式に掲載されている参加費の区分に登場するのは米国・オランダ・デンマーク・ドイツ・フィンランド・フランス・スイス・チェコ・オーストリア・ベルギー・エストニア・ハンガリー・タイ・韓国の14か国で、派遣国として挙げられているフィリピンとスウェーデンは、参加費の3区分には現れません。 こうしたずれがある場合は、募集要項で当該国の扱いを直接確認してください。国ごとの参加費と、公式が「含まれないもの」として挙げている追加額はYFU交換留学の評判で実額を整理しています。
ロータリー青少年交換はさらに事情が異なります。国際ロータリーの公式は、応募方法について「地元のロータリークラブに直接ご連絡ください」とだけ案内しており、全国一律の募集要項を公表していません。 公式に明記されているのは対象年齢(15〜19歳)と費用の負担範囲までで、締切・選考方法・自己負担額は地区やクラブの側で定められます。 つまり、お住まいの地区がその年に派遣を実施しているかどうかから確認する必要があり、居住地の地区に問い合わせること自体が最初の作業になります。
「行ける国」の決まり方の違い
| 団体 | 派遣国の規模(公表値) | 選べる範囲を狭める要因 |
|---|---|---|
| AFS日本協会 | 約30か国(募集人数は発表約300人・公式ページの定員合計約200〜250人と差がある) | 選考日程(A/B/C)。後の日程は募集継続国のみ |
| YFU日本国際交流財団 | 45か国のネットワーク(公式に「2024年3月現在」と記載)のうち15か国へ派遣 | 派遣先が15か国に絞られている |
| EIL 日本国際生活体験協会 | 国別に公表(夏出発・冬出発で対象国が異なる) | 出発時期によって対象国が変わる |
| ロータリー青少年交換 | 世界規模で実施。日本側は地区単位 | 居住地の地区が実施していなければ応募できない |
選考は落ちるもの。しかも保護者も面接を受ける
POINT
交換留学は申し込めば行けるものではありません。書類・英語試験・面接があり、面接には保護者が同席する団体があります。
各団体が公表している選考の内容は次のとおりです。私費留学(学校を自分で選んで費用を全額負担する形)との最大の違いはここにあります。 制度の種類ごとの違いは交換留学・私費留学・認定留学の違いで整理しています。
選考の内容と費用(各団体公式・2026年8月20日取得)
| 団体 | 選考の内容 | 選考にかかる費用 | 保護者の関与 |
|---|---|---|---|
| AFS日本協会 | オンライン選考試験(個人面接)。年3回の日程 | 公式のプログラムページに記載なし(要確認) | 公式のプログラムページに記載なし(要確認) |
| YFU日本国際交流財団 | 学校長の推薦内容と学業成績の書類審査/英語および常識のテスト/英会話による面接/日本語での面接 | 選考料 33,000円 | 保護者を交えた日本語での面接あり |
| EIL 日本国際生活体験協会 | 書類選考 → ELTiS2.0(リスニング・文法・読解)および面接 → 結果通知 → 申し込み | 選考試験料 19,000円+ELTiS受験 1回3,300円 | 面接は保護者1名および応募者本人が対象 |
| ロータリー青少年交換 | 地区により異なる。応募が枠数を超えた場合は面接を課すことがある | 地区・クラブによる | 地区により異なる |
実務上おさえておきたい点が3つあります。第一に、学校の協力が前提になる団体があることです。YFUは学校長の推薦内容を書類審査の対象としています。在籍校に相談する前に申し込むと、そこで止まります。 第二に、英語試験の免除規定があることです。EILは、実用英語技能検定2級以上の所有者は対象国を希望する場合にELTiSの受験が免除されるとしています。英検の取得時期を逆算する材料になります。第三に、結果が出るまでの時間です。EILは合否を面接試験後2週間以内に郵送で通知すると公表しています。落ちた場合に次の日程へ回るのか、別の進路に切り替えるのかを、あらかじめご家庭で決めておくと動揺が小さくなります。
契約と解約:交換留学にクーリング・オフは原則ない
POINT
上位の比較記事がまったく触れていない部分です。留学のあっせんは特定商取引法の指定役務ではないため、解約条件は各団体の規約で決まります。
留学のあっせん(学校の手配・仲介)は、特定商取引法の「特定継続的役務提供」として政令に指定されていません。 そのため、法律上のクーリング・オフや中途解約権は原則として生じません。 これは当サイトが高校生の留学エージェントの選び方でも書いてきたとおりです。つまり、解約したときにいくら戻るかは、各団体の規約がすべてです。
だからこそ、支払いの構造を申し込み前に確認する意味があります。 たとえばEILは支払いを3回に分けると公表しており、申込金30万円・中間金70万円(学区指定プログラムおよびイギリス/アイルランドプログラムは中間金100万円)・残金という内訳です。どの段階でいくら払い済みになるかがわかれば、「ここで辞退したら何が返るのか」を規約で確認すべきタイミングも決まります。 申込金を払う前に、キャンセル規定を読んでください。
語学の教授が含まれる契約は、扱いが分かれることがある
ひとつ注意点があります。特定商取引法施行令の別表第四は、「語学の教授」を特定継続的役務として指定しています。 派遣プログラムの中には、EILの「事前英語通信教育」のように語学の教授にあたりうる役務が含まれているものがあります。留学のあっせん部分と語学の教授部分が同じ契約に混ざっている場合、扱いが分かれる可能性があります。 ただし、個別の契約が該当するかどうかは、提供される役務の内容・期間・金額によって決まります。本記事は判断の枠組みを示すもので、特定の契約が該当することを保証するものではありません。 契約内容に疑問がある場合や、解約をめぐって話がつかない場合は、消費者ホットライン(188)またはお住まいの消費生活センターにご相談ください。有償契約として何を確認するかという観点は海外大学の予備校の比べ方でも条文から整理しています。
やりがちな順序の間違い
POINT
団体選びで起きる失敗のほとんどは、情報の中身ではなく確認する順序の問題です。
避けたい
比較記事の一覧表に載っていた費用で、団体を絞り込む
こうすればOK
各団体の公式で、候補国の公表額を引く。 そのうえで「往復航空運賃を含むか」「保険は別か」を揃えてから比べる
避けたい
「非営利だから安心」で確認を終える
こうすればOK
法人格を確認し、公益法人なら決算・役員等名簿・報酬等の支給基準を実際に見る。 見当たらなければ公益認定法第21条第5項にもとづいて閲覧を請求できる
避けたい
行きたい国を決めてから、募集がある団体を探す
こうすればOK
選考日程を先に押さえる。 AFSのように後の日程では募集継続国に限られる仕組みがあるため、国にこだわるほど早い日程で動く
避けたい
合格してから在籍校に留学の相談をする
こうすればOK
応募前に在籍校へ相談する。 学校長の推薦を書類審査に用いる団体があり、帰国後の学年の扱いも学校の判断による
避けたい
申込金を払ってからキャンセル規定を読む
こうすればOK
支払いの回数と各回の金額を確認し、申込金を払う前に解約条件を読む。 留学のあっせんにクーリング・オフは原則ない
比べる順序:この順なら一度で終わる
POINT
ここまでの内容を、実際に手を動かす順番に並べ直します。1〜3は資料請求の前にできます。
- 1在籍校に相談する。 留学を認めてもらえるか、帰国後の学年がどうなるか、学校長の推薦を出してもらえるかを確認します。ここが通らないと以降が無意味になります。
- 2候補の団体の法人格を確認する。 公式サイトのフッターや「法人概要」で、公益社団法人・公益財団法人・一般法人・株式会社のどれかを見ます。
- 3公益法人なら公開情報を見る。 内閣府の公益法人informationか団体自身のサイトで、決算・役員等名簿・報酬等の支給の基準を確認します。見当たらなければ閲覧を請求できます(公益認定法第21条第5項)。
- 4応募資格を確認する。 学年・年齢・成績・語学要件、そして居住地の制約(ロータリーは地区単位)。公式ページに記載がない場合は募集要項を取り寄せて確認してください。
- 5候補国の公表額を引き、含まれるものを揃える。 往復航空運賃・保険・研修・選考料を同じ条件に揃えてから比較します。
- 6選考日程を押さえる。 年に複数回ある団体は、行きたい国があるほど早い日程で応募します。
- 7支払い回数と解約条件を読む。 申込金を払う前に、辞退した場合にいくら戻るかを規約で確認します。
- 8奨学金の締切を並べる。 団体経由の奨学金は選考と同時期に締め切られることがあります。
どの留学の形が合うかを整理する
交換留学・私費留学・短期留学のどれが合うかは、期間・費用・学校選びの自由度のどれを優先するかで変わります。いくつかの質問に答えると、検討の出発点を整理できます。
まとめ:公開されている情報から始める
POINT
団体選びは「どこがおすすめか」を探す作業ではなく、公開されている情報を順番に確認する作業です。
交換留学の派遣団体を比べるとき、比較記事の一覧表から入ると、出典のない費用と、締切も解約条件も書かれていない情報だけが手元に残ります。けれど主要な団体の多くは公益法人で、財産目録・役員等名簿・報酬等の支給の基準を備え置き、誰の閲覧請求にも正当な理由なく応じなければならず、行政庁もそれを公表することになっています(公益認定法第21条・第22条)。株式会社にこの義務はありません。 これは「どちらが優れているか」ではなく、あなたが自分で確かめられる範囲が違うという話です。
そのうえで、費用は含まれるものを揃えてから比べ、行ける国は選考日程に左右されることを織り込み、選考には保護者も関わることを前提に予定を組み、申込金を払う前に解約条件を読む。この順番で確認すれば、団体選びは一度で終わります。 交換留学という制度そのものについては高校の交換留学を、高校留学全体の進め方は高校留学の完全ガイドをあわせてご覧ください。
Q.交換留学の団体は、結局どこがいちばん良いのですか?
当サイトは特定の団体からの送客報酬を受け取っておらず、個社のランキングは行いません。そのうえで申し上げると、「いちばん良い団体」は決まっておらず、ご家庭の条件で変わります。行きたい国が決まっているならその国へ派遣している団体に絞られますし、費用を抑えたいなら宿泊・食事・学費をロータリー側が負担するロータリー青少年交換が候補になりますが、居住地の地区が実施していなければ応募できません。「応募できるか」「情報が公開されているか」「候補国の公表額はいくらか」「選考日程はいつか」の4点を、候補ごとに埋めてください。 埋めた時点で、たいてい候補は1〜2に絞られます。
Q.「公益財団法人」と書いてあれば安心してよいのでしょうか?
安心の保証ではありませんが、確認できる情報の量が違います。 公益認定法第21条第2項は、公益法人に財産目録・役員等名簿・報酬等の支給の基準を記載した書類を毎事業年度経過後三月以内に作成し五年間備え置くことを義務づけ、同条第5項は「何人も」の閲覧請求に対し「正当な理由がないのにこれを拒んではならない」と定めています。第22条第2項では行政庁がこれらを公表するものとされています。株式会社にはこの義務がありません。ただし公益認定は取れば終わりではなく、第5条各号の基準に適合しなくなれば取り消されることがあります(第29条第2項第1号)。「公益法人だから安心」ではなく「公益法人だから自分で確かめられる」と考えてください。
Q.団体の決算や役員の情報は、どこで見られますか?
2つあります。1つは内閣府の「公益法人information」で、法人名から検索して公開情報にたどり着けます。公益認定法第22条第2項が、行政庁は提出を受けた財産目録等を公表するものとすると定めているためです。もう1つは団体自身の公式サイトで、たとえばAFS日本協会は評議員・役員名簿、定款、2021〜2025年度の5年分の決算要約を公開しています(2026年8月20日時点)。どちらにも見当たらない場合は、公益認定法第21条第5項にもとづいて団体に閲覧を請求できます。なお役員等名簿については、同条第6項により個人の住所の部分は伏せられます。
Q.参加費が団体によって100万円以上違うのはなぜですか?
含まれるものと派遣国が違うためです。 YFU日本国際交流財団の公表額は派遣国により178万円・182万円・208万円の3区分で、往復航空運賃とYFU保険料を含みます。EIL 日本国際生活体験協会は国別に公表しており、2027年夏出発・研修なしの条件でタイ135万円からカナダ309万円まで開きます(往復航空運賃は含みますが、海外旅行保険料20万円〜は別途)。ロータリー青少年交換は構造が違い、宿泊・食事代・学費をロータリーが負担する一方、往復航空券・旅行保険・旅券とビザの費用・小遣いは学生負担です。額面ではなく「含まれるものを揃えてから」比べてください。 なお金額は改定されるため、必ず各団体の最新の募集要項でご確認ください。
Q.行きたい国が決まっている場合、いつ応募すればよいですか?
できるだけ早い選考日程です。 AFS日本協会は選考を年3回に分けており、公式サイトに掲載されている日程はA日程が応募受付4月6日〜5月26日・試験6月6日または7日、B日程が6月18日〜7月14日・試験7月26日、C日程が8月21日〜9月29日・試験10月11日です。ここで重要なのは、B日程・C日程で応募できるのは募集を継続している国に限られるという点です。先の日程で定員に達した国は、後の日程では募集されません。国にこだわるほど、最初の日程で動く必要があります。 日程は毎年変わるため、必ず公式で確認してください。
Q.申し込んだあとにキャンセルした場合、お金は戻りますか?
各団体の規約次第です。法律上のクーリング・オフは原則ありません。 留学のあっせんは特定商取引法の「特定継続的役務提供」として政令に指定されていないため、法律上の解除権が生じないからです。そのため、支払いの構造を申し込み前に確認しておく意味があります。たとえばEILは支払いを3回に分けると公表しており、申込金30万円・中間金70万円(学区指定プログラムおよびイギリス/アイルランドプログラムは中間金100万円)・残金という内訳です。なお、事前英語通信教育のように「語学の教授」にあたりうる役務が同じ契約に含まれている場合は、扱いが分かれる可能性がありますが、該当するかどうかは役務の内容・期間・金額によって決まります。判断に迷う場合は消費者ホットライン(188)にご相談ください。
参加費の外側まで含めて総額を試算する
参加費に含まれないもの(保険・燃油サーチャージ・ビザ関連費用・小遣い)を積み上げると、資金計画の姿が変わります。条件を入れて総額の目安を確認できます。








