このページの要点

孫正義育英財団は、25歳以下で突出した才能や実績を持つ若者を選び、施設・交流と原則返済不要の支援金で支える財団です。

  • 奨学金財団というより「人」への支援。応募資格は、国際・全国規模の大会での成績、国際的に通用する資格や団体への所属、学業・研究の突出した成果、起業・事業の実績、財団の論文選考のうち1つ。国籍は問わず、募集要項に所得・語学・留学先の条件はありません。2026年7月時点の財団生165人のうち、15〜19歳が52%を占めます。
  • 支援金は、財団生になったあとで希望者が申請し、審査で決まる。額は「合理的に必要と認められる金額」で、選考や面談の中で個別に決めます。3か月ごとに本人名義の口座に振り込まれ、原則として返済は不要です。上限額や個人ごとの支給額は公表されていません。
  • 「最長5年間」は以前の説明、「上限は定めず」は公式に見当たらない。財団の発表では第5期(2021年募集)まで「最長5年間」の認定とされていましたが、現行の要項では、在籍する教育課程の修了時期を加味して期間を個別に決めます。高校生で選ばれても、大学4年分が最初から約束されるわけではないと読むのが安全です。

孫正義育英財団(公益財団法人・2016年設立)は、成績や家計で選ぶ奨学金ではなく、学術・研究・技術開発・事業などで突出した才能や実績を持つ25歳以下の若者を(スポーツや芸術の実技そのものは対象外)「財団生」として認定し、渋谷の専用施設、講演会や交流の機会、必要に応じた支援金を提供する財団です。採用は第8〜10期とも30名程度が目安で、決定は25人・32人・33人でした。応募者数と倍率は公表されていません。選考は1〜3月の書類、4月のオンライン面接、5〜6月の最終プレゼンを経て7月に認定され、1年目は準財団生として過ごします。支援金は進学・留学の学費と生活費にも使えますが、額と期間は個別に決まり、他の奨学金(とくに柳井正財団)との併給にも注意が要ります。孫正義育英財団の制度は、財団の募集要項と公式発表だけをもとに整理します。

本記事は、公益財団法人 孫正義育英財団の募集要項(第10期・2026年3月3日締切)、支援内容・財団概要・お問い合わせの各ページ、第1期〜第10期の募集・決定に関する公式発表(プレスリリース)、および比較のために公益財団法人柳井正財団の応募要項、公益財団法人笹川平和財団の笹川奨学金2025年度募集要項を、当サイトが2026年10月5日に取得して整理したものです。財団から当サイトへの情報提供や取材協力はなく、当サイトは財団と提携していません。第11期の募集要項は、2026年10月5日時点で公表されていません。応募の前に、必ず財団の最新の募集要項でご確認ください。

結論:孫正義育英財団を1枚で確認する

POINT

対象は応募時点で25歳以下、国籍は問いません。第8〜10期は30名程度を目安に財団生を認定し、施設・イベント・支援金で支えます。支援金の額と期間は一律ではなく、個別に決まります。

孫正義育英財団の要点(第10期の募集要項・公式発表から当サイトが整理)

項目内容
運営公益財団法人 孫正義育英財団(2016年12月5日設立・代表理事 孫正義)
対象応募時点で25歳以下。国籍は問わない(財団の案内)
応募資格5つの資格のうち、いずれか1つを満たすこと(次の章で詳しく)
所得・成績・語学・留学先の条件募集要項に記載なし(学業成績は5つの入口の1つで、必須条件ではない)
対象外スポーツの競技活動、音楽・芸術の実技活動そのものを極めるための認定・支援(財団のよくある質問)
採用人数第10期の要項で30名(目安)。決定人数は第8期25人・第9期32人・第10期33人(募集の目安は期によって30〜100名程度と変わってきた)
支援の中身渋谷の専用施設の無償利用/講演会・交流イベントへの無償参加/希望者への支援金
支援金の額「合理的に必要と認められる金額」を個別に決定。上限額の定めや個人の支給額は公表なし
返済原則として返済の義務なし(給付が不適切と判断された場合は返還を求めることがある)
期間1年目は準財団生。その後の正財団生の期間は、在籍する教育課程の修了時期を加味して個別に決定
選考一次(1〜3月)→ 二次・オンライン面接(4月)→ 最終・プレゼン審査(5〜6月)→ 認定(7月)
募集時期第8〜10期は1月中旬〜3月上旬。第10期は2026年1月15日〜3月3日午後2時(日本時間)
応募者数・倍率公表なし(当サイトが確認した募集要項・公式発表に記載がない)

保護者がまず押さえたいのは、この財団は、海外大学に合格した人に学費を出す奨学金とは設計が違うという点です。柳井正財団や笹川平和財団の奨学金は、進学先の大学と学費が先にあり、それを給付で埋める仕組みです。孫正義育英財団は先に「人」を選び、その人がやりたいことに必要な費用を、選考や財団生としての面談の中で個別に相談して決めます。そのため、海外大学の学費に使える可能性はあっても、いくら・何年出るかは、選ばれる前には分かりません。海外大学に使える給付型奨学金を横に並べて比べたい場合は、海外大学の返済不要奨学金まとめが先に役立ちます。

どんな財団か:選ぶのは「異能」、支えるのは進学に限らない

POINT

財団の目的は、高い志と「異能」を持つ若者に才能を開花できる環境を提供することです。支援は留学・進学に限らず、研究・起業・社会活動にも及びます。

孫正義育英財団は、ソフトバンクグループ代表の孫正義氏が2016年12月に設立しました(設立時は一般財団法人、現在は公益財団法人)。財団概要のページは目的を「高い志」と「異能」を持った若者に自らの才能を開花できる環境を提供し、人類の未来に貢献する、と書いています。副代表理事は京都大学iPS細胞研究所 名誉所長の山中伸弥氏、評議員には棋士の羽生善治氏などが名を連ねています。

募集要項の趣旨は、分野を問わず特定の学問専攻・研究・事業展開などを志す若者に、施設と交流の機会を提供し、夢を実現するための資金援助を行う、というものです。支援金の使い道は進学・留学に限られません。第10期の募集発表では、支援金の対象として次の5つを挙げています。

支援金の対象(第10期の募集発表より。募集要項では奨学支援・研究支援・その他支援の3区分)

区分対象になる費用
進学・留学支援学費および生活費(海外留学の場合の留学費用を含む)
研究支援研究を行うにあたって発生する費用および必要な生活費
事業支援起業や社会活動の準備にあたって発生する費用
活動支援学会に参加するための旅費交通費、学習・研究開発のためのパソコン購入費
その他財団が支援対象と判断した費用

支援金のほかに、財団生は渋谷にある専用施設を無償で使え、施設内の設備・書籍・ガジェットなどを利用できます。財団理事や各分野の専門家による講演会、交流イベントにも無償で参加できます。第10期の募集発表によると、2025年には米国と日本で大学の研究室などを訪問するサマープログラムも開かれました。お金だけでなく、同じくらい突き抜けた仲間と大人に出会える場であることが、この財団の大きな特徴です。

財団生はどんな人たちか

財団概要のページによると、2026年7月1日時点の財団生は165人、最年少10歳・最年長27歳です。年齢構成は下の表のとおりで、15〜19歳(おおむね高校生から大学1・2年生の年代)が半数を超えています。小中学生も1割以上います。

財団生の年齢構成(2026年7月1日時点・財団概要ページより)

年齢人数割合
10〜14歳21人13%
15〜19歳86人52%
20〜24歳55人33%
25歳以上3人2%
合計165人—

第10期(2026年7月認定)は10〜20歳の33人です。決定時の発表では、世界最大級の高校生向け科学コンテスト「国際学生科学技術フェア(ISEF)」でGrand Awardを2年連続で受賞した17歳、日本学生科学賞で内閣総理大臣賞を受けた13歳、16歳で米国物理学会の査読付き学術誌に筆頭著者論文が載った18歳などが紹介されています。第5期(2021年認定)では、新たに認定された人の半数以上が外国籍を有する人だったと財団は発表しています。選考は国内の学校の中での比較ではなく、世界中の同年代との比較になると考えておくのが現実的です。

応募資格:5つの入口と、自己申告で応募できる仕組み

POINT

応募資格は、応募時点で25歳以下であることに加え、5つの資格のどれか1つを満たすことです。資格1〜4は自己申告で応募でき、証明資料は採用が決まってから提出します。

5つの応募資格(第10期の募集要項)と、保護者が確かめたいこと

#募集要項の応募資格確かめたいこと(当サイトの整理)
1分野は問わず、国際大会または全国大会規模のコンテストにて優秀な成績を収めた方大会の規模(国際・全国)と成績を示す賞状・記録が手元にあるか
2国際的に通用する資格を所持、または団体に所属している方資格や所属が「国際的に通用する」と説明できるか
3学業や研究活動において、明らかに秀でた成績や成果を持つ方論文・発表・研究成果など、第三者が確認できる形になっているか
4起業準備中またはすでに自身の経営する事業にて業績を出している方事業の中身と業績を、数字や記録で示せるか
5本財団事務局の論文選考で優れた思考を発揮している方財団が出す論文テーマに、締切までに論文を書けるか

資格1〜4に当てはまると考える場合、応募は自己申告で受け付けられ、財団生としての採用が決まった後に証明資料を提出します。採用者は、履歴書、在学証明書などの本人確認資料、資格1〜4を証明できるものなどを出す必要があります。つまり、応募の段階で書類をそろえる必要はありませんが、採用後に証明できない実績を書くことはできません。大会の賞状、論文の掲載情報、事業の記録などは、応募前に一か所にまとめておくと安心です。

目立った大会実績がない場合の入口が、資格5の論文選考です。資格5を選ぶと、エントリーの受付完了メールから論文テーマと提出用紙をダウンロードし、記載の方法で提出します。論文の提出期限は応募の締切と同じです。テーマはエントリー後の受付完了メールで届く仕組みのため、締切の直前にエントリーすると論文を書く時間がほとんど残りません。資格5で応募するなら、受付が始まったら早めにエントリーしておくことが大切です。

年齢は「応募時点で25歳以下」で、下限はありません。国籍についても、財団のお問い合わせページが「国籍問わず」と案内しています。一方で、家庭の所得、学校の成績(評定)、英語力、留学先の大学について、募集要項には条件の記載がありません。成績上位や英語スコアを応募条件にする多くの海外大学向け奨学金とは、この点が大きく違います。なお、一次選考では「知能のほか、事業経験や事業実績を考慮したうえ、将来の夢や目標が本財団の趣旨に適ったものであるか」が選考の対象になると要項は書いています。条件にないことと、選考で見られないことは別です。

分野についても注意があります。財団のよくある質問は、主に学術的な活動や研究、技術開発、学びへの支援を行っているとして、スポーツ(競技活動)、音楽・芸術の実技活動(演奏・舞台・制作等)そのものを極めていくための財団生認定及び支援は対象外と答えています。運動や音楽で全国大会の成績があっても、その競技や演奏を極めるための支援を求める応募は対象になりません。

支援金の仕組み:財団生になってから申請し、額は個別に決まる

POINT

支援金は、財団生全員に一律で出るものではありません。財団生のうち希望者が申請し、審査を経て、必要と認められる金額が3か月ごとに本人名義の口座へ振り込まれます。

  1. 1財団生(原則として準財団生)に認定される。施設とイベントの利用は、この時点から無償でできます。
  2. 2支援金を希望する場合は申請する。募集要項は、財団生のうち希望者が、財団の定めたルールに基づいて支援金を申請し、財団の審査を経て給付を受けると書いています。支援内容・金額の決め方について、財団の支援内容ページと第10期の募集発表は選考の過程で個別に確認しながら決めるとし、同じ支援内容ページの流れの説明では、財団生のうち希望者と面談のうえ決めるとしています。額がいつ分かるかは、選考の中で財団に確認しておきましょう。
  3. 3審査を通過した人は全員が給付対象者になる。要項は「希望者の中から本財団の審査を通過した全員を支援金給付対象者として採用」するとしています。枠の取り合いではありません。
  4. 43か月ごとに本人名義の口座へ振り込まれる。交付は3か月ごとの一定日で、本人名義の銀行口座に入金されます。
  5. 5活動を報告する。支援金を受ける財団生には、活動報告書の提出が義務づけられています。財団が必要と判断した場合は、前事業年度の成績証明書なども提出します。

金額について、募集要項は「給付対象となる内容に応じて合理的に必要と認められる金額を支給」すると書いています。上限額の定めは要項に書かれておらず、財団は個人ごとの支給額も公表していません。インターネット上には、ハーバード大学の4年分の費用の全額が援助されるといった紹介もありますが、これは過去のメディア記事を出典とする説明で、財団が要項で約束している内容ではありません。財団の支援内容ページも、支援金の例として「留学や進学費用の一部もしくは全額支援」を挙げており、全額になる場合もありえますが、一部にとどまる場合もあります。海外大学の費用は、生活費を含めた年間総額で米英なら約330〜950万円が目安です(詳しくは海外大学の学費ガイド)。そのどこまでを財団の支援金で賄えるかは、選考や面談を経るまで分からないと考えておきましょう。

支援金の採用年度に入学した場合は、さかのぼって支給される

海外大学への進学を考える家庭にとって大事なのが、さかのぼり(遡及)の規定です。募集要項は、奨学支援を受ける場合、支援金の給付対象者に採用された年度に入学したときは、学費と生活費ですでに発生した費用を、一度目の交付日にさかのぼって支給するとしています。第10期の募集発表も、採用された年度に始まった1学年分の学費と生活費を、原則としてさかのぼって支給すると書いています。

たとえば、高3の1〜3月に応募して7月に認定され、9月に海外大学へ入学する場合、入学と支援金の採用が同じ年度に重なる可能性があります。ただし、さかのぼって支給されるということは、それまでの学費はいったん家庭で立て替える必要があると当サイトは読んでいます。また、財団の「年度」がどこで区切られるかは要項に書かれていません。入学時期と採用時期がずれる場合の扱いは、財団に確認してください。

支援金が止まる・返還を求められる場合

支援金は原則として返済不要ですが、要項は、給付が不適切と判断したときは給付を休止または廃止し、事情によってはすでに給付した支援金の返還を求めることがある、と書いています。休止・廃止の事由は次のとおりです。

支援金の休止・廃止の事由(第10期の募集要項 11章)

区分事由
休止休学したとき、または正当な理由なく1か月以上の長期にわたって欠席したとき
休止学業または性行などの状況により、指導上必要があると認めたとき
廃止退学したとき/傷病などにより成業の見込みがなくなったとき
廃止学業成績または性行が不良となったとき
廃止支援金を必要としない理由が生じたとき/支援金給付対象者としての資格を失ったとき
廃止前各号のほか、支援金給付対象者として適当でない事実があったとき

海外大学で休学をはさむ予定がある場合は、事前に財団へ相談しておくのが安全です。ほかの奨学金を受けることになった場合も、財団は併用そのものは問題ないとしていますが、支援金は必要と認められる額で決まるため、受給の状況を伝えておくのが確実だと当サイトは考えます。

「最長5年間」「上限は定めず」は今も正しい?募集の説明の変化

POINT

財団の発表では、第5期(2021年募集)までは「最長5年間」の認定とされていました。第6期(2022年募集)からは、認定期間を個別に決める説明に変わっています。古い説明のまま計画を立てないことが大切です。

孫正義育英財団について調べると、支援金の上限は定めない、支援期間は最長5年、支給期間は最長4年、といった説明が見つかります。当サイトが精読したページでも、2025年の募集を紹介する記事が「上限は定めず」「最長5年間」と書き、奨学金データベースの1つは「最長4年」としていました。財団の公式発表をさかのぼると、期間についての「最長5年間」「最長4年」は、いずれも過去の募集の説明です。

財団生の期間と支援金の期間の説明の変化(各期の公式発表・募集要項より当サイトが整理)

募集財団生として在籍できる期間支援金を給付する期間
第1期(2017年)最大5年間(準会員期間を含む。会員として認定)最長4年間(第1期の決定時の発表)
第2期(2018年)最長5年間(準財団生期間を含む)最長4年間
第3〜5期(2019〜2021年)最長5年間(準財団生期間を含む)準財団生期間を含む最大5年間
第6期(2022年)以降審査のうえ個々に決定原則、準財団生期間を含む財団生の認定期間
現行(第10期の募集要項・募集発表)在籍する教育課程の修了時期を加味して個々に決定。初回の認定期間中に満29歳になったら、その後最初の事業年度末で満了原則、準財団生期間を含む財団生の認定期間(第10期の募集発表。休止・廃止の事由があれば途中で止まる)

なお、第1〜3期の募集では5年の満期後も延長認定審査を経て28歳まで在籍できる規定が、第5期の募集では満了時に23歳以下なら選考のうえ延長する規定があり、当時から「最長5年間」は延長のない固定の上限とは限りませんでした。金額については、上限を定めないという説明は、当サイトが確認した財団の公式発表(第1期〜第10期)と現行の募集要項のどこにも見当たりませんでした。要項にあるのは「合理的に必要と認められる金額」という基準です。上限がないことと、必要と認められた額だけが出ることは、家計の計画上まったく意味が違います。古い説明をもとに、大学4年分の学費が全部出る前提で進学先を決めるのは避けましょう。

高校生で選ばれた場合の期間の読み方

現行の要項では、正財団生の有効期間は、在籍する教育課程の修了時期を加味して個々に決まります。期間が満了するときに23歳以下で延長を希望すれば、改めて選考のうえ延長されることがあり、正財団生に認定された初年度が在籍する課程の最終年度の始まりに当たる場合は、正財団生の選考が延長の選考を兼ねることがある、とも書かれています。延長した期間中に満24歳に達したときは、その後最初の認定期末で満了します(要項は、この年齢は今後変わる可能性があるとしています)。

ここから当サイトは、高校在学中に選ばれた場合、最初の期間は高校の修了時期を基準に決まり、大学進学後も支援を受け続けるには延長の選考を通る必要が出てくる可能性があると読んでいます。これは要項の文言からの当サイトの解釈で、財団が個別の例を公表しているわけではありません。高校生で財団生になったら、大学進学後の期間と支援の考え方を、支援金の面談の場で早めに確認しておくことをおすすめします。

選考の流れと、海外大学の出願日程との重なり

POINT

選考は1〜3月の一次から7月の認定まで約半年かかります。海外大学の出願・合否の時期と重なるため、何年生で応募するかで使い方が変わります。

選考の流れ(第10期の募集要項。一次〜最終選考の時期は「予定」)

段階時期内容
応募1月中旬〜3月上旬財団サイトの指定ページで応募情報を入力。一時保存はできない
一次選考1〜3月知能のほか、事業経験や事業実績を考慮し、将来の夢や目標が財団の趣旨に合うかを選考。資格5は論文を提出
二次選考4月一次通過者にオンライン面接。ポテンシャルや人物像を確認し、本人のプレゼンと質疑応答で総合的に評価
最終選考5〜6月選考委員によるプレゼン審査
認定7月最終選考の合格者を財団生(原則として準財団生)に認定

選考の経過と決定の理由は公表されません。応募フォームは一時保存ができないため、志望動機などは控えを取ってから入力するよう要項が注意しています。また、二次・最終選考は本人によるプレゼンテーションです。書類だけでなく、自分の取り組みと将来の目標を自分の言葉で説明する場が2回あると考えて準備しましょう。

応募する学年ごとの日程の重なり(米国など秋入学の大学を想定した当サイトの目安)

応募の時期認定海外大学の出願との関係
高2の1〜3月高3の7月認定後、高3の秋に出願。支援金の面談で進学先の考え方を相談しながら出願準備を進められる
高3の1〜3月卒業後の7月大学の合否が出る前後に選考が進む。秋に入学すれば採用と入学が同じ年度に重なる可能性があり、さかのぼり支給の規定が関わる
大学入学後入学した年の翌年度以降の7月応募時点で25歳以下なら応募できる。在学中の研究・活動への支援として考える

どの学年で応募するのがよいかに、要項上の決まりはありません。当サイトとしては、海外大学を目指すなら、出願の前年度(高2の冬)に一度応募しておくことで、選考の結果を出願先や資金計画に反映させやすいと考えます。ただし、二次・最終選考のプレゼン準備は高3の春〜初夏と重なり、TOEFLやエッセイの準備と時期がぶつかります。海外大学の出願日程の全体像は海外大学の出願方法ガイド、国内大学との併願の組み方は海外大学と国内大学の併願ガイドで確認できます。

ほかの給付型奨学金との違いと、柳井正財団との併給に注意

POINT

柳井正財団・笹川平和財団・JASSOの奨学金は、海外大学の学位取得そのものを支える制度です。孫正義育英財団は人を選ぶ制度で、条件の作り方が違います。柳井正財団は、国内の他の給付型奨学金との併給を原則として認めていません。

海外大学に使える主な給付型の支援との違い(各財団・機関の公表情報から当サイトが整理。額・条件は年度で変わる)

制度選び方の軸所得の条件留学先の条件給付額の決まり方
孫正義育英財団大会・資格・研究・事業の実績、論文選考募集要項に記載なしなし(進学に限らない)必要と認められる額を個別に決定
柳井正財団 海外奨学金将来性・学力・英語力など家計支持者の所得2,700万円以下米英加の対象大学米 年最大11.5万ドル/英 年最大7万ポンドなど
笹川平和財団 笹川奨学金指定大学の入学許可所得・年齢の制限なし米英の指定46大学授業料・寮費などを実費支給(授業料は原則上限なし)+定額 米 年$15,000/英 年£11,000(2025年度募集要項)
JASSO 海外留学支援制度(学部学位取得型)成績・語学・家計などあり対象となる大学月13.9〜35.2万円+渡航支援金

注意したいのが、柳井正財団の併給ルールです。柳井正財団の応募要項(公募制学校推薦海外大学奨学金・予約型)は、応募条件として「日本国内の他の給付型奨学金を受給していない者。但し、国や自治体による奨学金、国内外の返済義務のある奨学金、海外の給付型奨学金、奨学金に該当しない使途の支援金等(研究助成金、起業資金、行政による一時交付金等)との併給は可とします。」と定めています。さらに「奨学金の停止及び返還」の節では、他の国内の給付型奨学金の受給の意思表示をした場合(応募そのものは除く)を、給付の停止や、支給済みの奨学金の返還(奨学生と保護者が返還義務を負う)を求められる事由に挙げています。

孫正義育英財団の支援金のうち、学費・生活費を支える進学・留学支援は「日本国内の他の給付型奨学金」に当たる可能性があり、研究費や起業の準備費用は「奨学金に該当しない使途の支援金」に当たる可能性があります。ただし、どちらに当たるかを判断するのは柳井正財団で、当サイトは判断できません。両方に応募する場合は、支援金の受給を決める前に、柳井正財団に書面で確認してください。一方、孫正義育英財団はお問い合わせページのよくある質問で、他団体から奨学金などの支援を受けている場合について「当財団としては併用は問題ありません。ただし、他団体との調整はご自身の責任の下、行ってください。」と答えています。つまり、併用できるかを左右するのは、もう一方の財団の規定です。

笹川平和財団の笹川奨学金も、2025年度の募集要項で、国内外の他の給付型奨学金の受給が確定している場合は満額受給とならないことへの同意を応募要件にしています。授業料の実費より少ない額の他の給付型奨学金は受けられますが、笹川奨学金はその金額を差し引いて支給されます(返済義務のある奨学金や、研究助成金・起業資金など奨学金に該当しない使途の支援金は対象外)。孫正義育英財団の進学・留学支援を受けると、笹川奨学金が満額にならない可能性があるということです。こちらも、どの区分に当たるかは笹川平和財団に確認してください。

柳井正財団の予約型の受付は、2026年は7月16日〜8月10日でした(2027年秋入学者向け)。孫正義育英財団の認定(7月)と時期が近いため、高3の夏は2つの財団の手続きが同時に動く可能性があります。高校生の留学全般で使える奨学金(トビタテ!留学JAPANなど)は高校生の返済不要の留学奨学金にまとめています。

保護者が知っておきたい4つのこと

POINT

応募の主体は子ども本人です。保護者の役割は、実績の記録と書類の準備を支え、本人名義で振り込まれる支援金と、財団の広報への協力について家族で話し合っておくことです。

  1. 1応募も説明会も、主体は本人。第10期の志望者向け説明会は、対象を「第10期生 志望者本人」としていました。二次・最終選考も本人のプレゼンです。保護者が代わりに書き上げた志望動機では、面接とプレゼンで説明が続きません。保護者の同席や問い合わせの可否は、財団に確認してください。
  2. 2支援金は本人名義の口座に振り込まれる。交付は3か月ごとで、入学した年度の費用はさかのぼって支給されることがあります。学費の支払い期限に間に合わない分は家庭で立て替え、どの口座から大学に払うかを本人と決めておきましょう。
  3. 3財団の広報に協力する前提になる。財団生は、財団が主催するイベントや広報活動に可能な限り協力することが求められます。認定時の公式発表では一部の財団生の氏名・年齢・取り組みが紹介され、財団のサイトには財団生の自己紹介が順次掲載されます。未成年の子どもの名前や活動が公開される可能性を、応募の前に家族で話し合っておきましょう。
  4. 4選ばれた後も、活動と学業が見られる。支援金を受けると活動報告書の提出が義務になり、学業成績や性行が不良になれば支援金が廃止されることもあります。準財団生の1年が終わると、正財団生になれるかの選考もあります。不合格だと準財団生の資格を失いますが、改めて応募することはできます。

避けたい

選ばれれば海外大学の学費は全額出ると考え、ほかの奨学金に応募せず、学費の高い大学だけに出願する

こうすればOK

支援金の額と期間は個別に決まると理解し、財団の支援がなくても進学できる資金計画と、ほかの給付型奨学金への応募を並行して進める

避けたい

インターネットで見た「最長5年間」「上限は定めず」といった説明をもとに、大学4年分の支援を前提に計画する

こうすればOK

最新の募集要項で期間の決まり方を確認し、高校生で選ばれた場合は大学進学後の扱いを面談で確かめる

避けたい

柳井正財団や笹川平和財団にも応募しているのに、確認しないまま孫正義育英財団の支援金を受け取る

こうすればOK

受給を決める前に、柳井正財団には併給できるか、笹川平和財団には差し引きの対象になるかを書面で確認する。支援金の区分(学費か研究費か)も伝える

向いている子・ほかの制度を先に考えたい子

POINT

孫正義育英財団が合うのは、学校の成績とは別の軸で突き抜けた取り組みがあり、それを自分の言葉で語れる子です。海外大学の学費を確実に工面したい家庭は、学位取得型の奨学金を軸にしましょう。

孫正義育英財団が向いているか(当サイトの整理)

向いているほかの制度を先に考えたい
国際・全国規模の大会、研究発表、事業などで、第三者が確認できる実績がある実績はこれから作る段階で、成績と英語力で勝負したい(→学位取得型の奨学金)
進学先より先に「やりたい研究・事業」がはっきりしている海外大学に進学すること自体が目的で、学費の確保が最優先
面接とプレゼンで、自分の取り組みを自分の言葉で説明できる面接・プレゼンの比重が小さい制度のほうが力を出しやすい
同年代の突出した仲間との交流や、施設・イベントを活用したい交流の場より、決まった額の給付を確実に受けたい
名前や活動が公開されることに本人も家族も抵抗がない未成年の情報公開を避けたい

「異能」という言葉に身構える必要はありません。一方で、直近の採用は30名程度が目安で、第5期では新たに認定された人の半数以上が外国籍を有していました。宝くじのように応募するものではなく、すでにある取り組みを世界の同年代と並べて評価してもらう場と考えるのが現実的です。実績づくりの途中であれば、探究活動や研究を続けて記録を残すこと自体が、総合型選抜や海外大学の出願書類にも生きてきます。

次の募集に向けて:応募までの段取り

POINT

第8〜10期は、いずれも1月中旬に募集が始まり3月上旬に締め切られました。第11期の日程は未公表です。プレエントリーで通知を受け取り、実績の記録と志望動機の準備を先に進めておきましょう。

  1. 1プレエントリーをしておく。財団の募集要項ページから登録すると、次の募集の開始の通知や財団主催のイベントの案内が届きます(応募を検討している人向け)。
  2. 2説明会に本人が参加する。第10期は1月26日に、日本語と英語でオンライン説明会が開かれ、財団生によるパネルディスカッションもありました。説明会の動画は後日、財団のサイトに掲載されています。
  3. 3応募資格を選び、実績の記録をまとめる。資格1〜4なら賞状・論文・事業の記録を、採用後に提出できる形でそろえておきます。資格5なら、エントリー後に出る論文テーマに取り組む時間を確保します。
  4. 4志望動機を下書きしてから入力する。応募フォームは一時保存ができません。文章は別に保存しておき、締切(第10期は3月3日午後2時・日本時間)より前に余裕をもって入力します。
  5. 5二次・最終選考のプレゼンに備える。4月のオンライン面接と5〜6月のプレゼン審査に向けて、取り組みの中身、将来の目標、支援があれば何をするかを説明できるようにしておきます。

確認ポイント:第11期の募集時期・応募資格・支援内容は、2026年10月5日時点で公表されていません。過去3期の日程は目安にすぎず、変わる可能性があります。応募の前に、必ず財団の最新の募集要項と公式発表を確認してください。

まとめ:「人」を選ぶ財団として、要項どおりに使う

孫正義育英財団は、成績や家計ではなく、学術・研究・技術開発・事業などでの突出した才能や実績と志で若者を選び、施設・交流・支援金で支える財団です。応募は25歳以下なら国籍を問わず、5つの資格のどれか1つで入口に立てます。支援金は財団生になってから希望者が申請し、必要と認められる額が個別に決まります。原則として返済は不要ですが、休止・廃止・返還の規定もあります。

海外大学進学に使う場合は、「最長5年間」といった以前の説明や、公式の根拠が見当たらない「上限は定めず」を前提に計画しないこと、さかのぼり支給の間は家庭での立て替えが必要になると見込んでおくこと、柳井正財団・笹川平和財団などとの併給を受給前に確認することの3点が要です。財団の支援は、合えば大きな後押しになりますが、それだけを前提にせず、学位取得型の奨学金と家庭の資金計画を並行して進めましょう。海外大学進学の全体像は海外大学進学ガイド、子どもが海外大学を目指すと言い出したときの向き合い方は海外大学進学に親が反対したくなったらでも整理しています。

Q.高校生でも孫正義育英財団に応募できますか?

応募できます。条件は応募時点で25歳以下であることと、5つの応募資格のどれか1つを満たすことで、年齢の下限はありません。2026年7月時点の財団生165人のうち、15〜19歳が86人(52%)を占めています。詳しくは本文の「応募資格」の章を参照してください。

Q.学校の成績や英語力、家庭の所得の条件はありますか?

第10期の募集要項には、所得・成績(評定)・語学力の条件は書かれていません。国籍も問わないと財団は案内しています。ただし一次選考では、知能のほか、事業経験や実績、将来の夢や目標が財団の趣旨に合うかが見られ、二次・最終選考は本人の面接とプレゼンです。

Q.支援金はいくらもらえますか?海外大学の学費を全額出してもらえますか?

金額は「合理的に必要と認められる金額」を、選考や面談の中で個別に話を聞いて決める仕組みで、上限額や個人ごとの支給額は公表されていません。財団の支援内容ページは例として「留学や進学費用の一部もしくは全額支援」を挙げており、全額になる場合もありえますが、どちらになるかは事前に分かりません。上限は定めない、最長5年間といった説明も、財団が現行の要項で約束している内容ではありません(最長5年間は以前の募集の説明です)。財団の支援がなくても進学できる資金計画を並行して立ててください。

Q.柳井正財団の奨学金と両方受けられますか?

柳井正財団の予約型の応募要項は、国内の他の給付型奨学金との併給を原則として認めておらず、研究助成金や起業資金など「奨学金に該当しない使途の支援金」は併給可としています。孫正義育英財団の支援金がどちらに当たるかは柳井正財団が判断するため、受給を決める前に柳井正財団へ書面で確認してください。孫正義育英財団の側は、他団体の奨学金との併用は問題ないとし、他団体との調整は本人の責任で行うよう案内しています。

Q.準財団生から正財団生になれなかったら、どうなりますか?

募集要項では、準財団生の資格は認定日から1年間で、満了時に正財団生にするかを選考します。不合格になると準財団生の資格を失いますが、改めて財団生の選考に応募することはできます(応募時点で25歳以下であることが必要)。

Q.保護者が説明会に出たり、代わりに応募したりできますか?

第10期の説明会は対象を「志望者本人」としており、二次・最終選考も本人の面接とプレゼンです。保護者の役割は、実績の記録や書類の準備、支援金の受け取り方や広報への協力について家族で話し合うことが中心になります。保護者の同席や問い合わせの可否は、財団のお問い合わせフォームで確認してください。