このページの要点
併願はできます。ただしEarly Decisionを使った時点で、日本の大学との併願は契約上できなくなります。
- アメリカのEarly Decisionは「合格したら、どの国の大学であっても他の出願を取り下げる」という契約。保護者の署名欄もある
- 国立大学前期の入学手続締切は3月15日。アメリカのRegular Decisionの合否は3月〜4月に出るため、結果を待つと合格が消える
- 入学金(国立の標準額28.2万円・私立平均24.0万円)は辞退しても原則戻らない。授業料は3月31日までの辞退なら原則返還される(文科省が各大学に求めている整理。規定は大学ごと)が、専願・学校推薦型で合格した場合は対象外
海外大学と日本の大学の併願は制度上できますが、「できる/できない」で終わる話ではありません。実務上の難所は3つあります。第一に、アメリカのEarly Decisionに出願すると、合格した時点で他国を含むすべての出願を取り下げる契約になります。第二に、日本の入学手続きの締切が海外大学の合否より先に来るため、結果を待たずに入学金を納めるか、合格を捨てるかの判断を迫られます。第三に、納めたお金のうち入学金は戻りません。この記事では2027年度入学の実際の日付と、文部科学省・国立大学協会の原文をもとに、どこでいくら出ていくのかを保護者の視点で整理します。
結論:併願できる組み合わせ・できない組み合わせ
POINT
併願の可否を決めるのは「時期」ではなく「契約」です。拘束のある出願方式(アメリカのEarly Decision、日本の専願・指定校推薦)を1つでも使うと、その時点で併願は成り立たなくなります。まず自分の家庭がどの組み合わせにあたるかを確認してください。
海外大学と日本の大学の併願可否 早見表
| 日本側で使う入試方式 | 海外側の出願方式 | 併願の可否 | 理由・注意点 |
|---|---|---|---|
| 一般選抜(国公立・私立) | Regular Decision/Early Action(拘束なし) | できる | 最も素直な組み合わせ。ただし入学手続きの締切と合否発表がずれるため、お金の判断が残る |
| 総合型選抜(併願可のもの) | Regular Decision/Early Action | できる | 書類・面接の準備が海外大学の出願と似ており、負担を分け合いやすい |
| 総合型選抜(専願のもの) | すべて | できない | 合格=入学の確約。海外大学に進学先を移すことは想定されていない |
| 学校推薦型選抜(指定校推薦=非公募型) | すべて | できない | ほぼすべての大学が「合格したら入学する」ことを条件に募集している。高校の校内選考を通る時点で事実上の専願 |
| 学校推薦型選抜(公募制で併願を認めるもの) | Regular Decision/Early Action | 大学による | 併願を認める大学もあるが、合格して在学契約を結ぶと授業料返還の原則から外れる |
| すべて | Early Decision(拘束あり) | できない | 合格したら他国を含む他大学の出願を取り下げる契約に、生徒・保護者・カウンセラーが署名する |
表のうち、家庭が見落としやすいのは下の2行です。「日本側が一般選抜だから自由に併願できる」と考えていても、海外側でEarly Decisionを選べば併願はできません。逆に「海外はRegular Decisionだから大丈夫」と思っていても、日本側で指定校推薦を使えば同じことが起きます。併願の可否は、日本側と海外側のどちらか厳しいほうで決まります。 どちらを選ぶかは高3の夏から秋にかけて決める必要があるため、この記事の内容は高2の終わりから高3の1学期に家庭で共有しておくのが理想です。海外大学そのものの全体像は海外大学進学ガイドで、出願書類や選考のしくみは海外大学の出願の流れで確認できます。
併願が「制度として」できなくなる3つのケース
POINT
併願が崩れるのは、たいてい本人の努力不足ではなく制度の設計によるものです。Early Decision、専願・指定校推薦、国立の推薦枠——この3つは、署名や推薦の時点で後戻りが難しくなります。
① アメリカのEarly Decision:保護者も署名する契約
アメリカの大学出願で広く使われるCommon Applicationには、Early Decision(ED)専用の合意書があります。そこには「合格した場合、生徒は他の大学に提出した出願を速やかに取り下げ、いかなる国のいかなる大学にも新たな出願をしない」と明記されています(原文: “the student must promptly withdraw the applications submitted to other colleges and universities and make no additional applications to any other university in any country.”)。「アメリカ国内の他大学だけ」ではなく「どの国でも」と書かれている点が重要で、日本の大学への出願もここに含まれます。
しかもこの合意書には署名欄が3つあり、生徒本人、高校のカウンセラー(進路担当の先生)、そして保護者が署名します。保護者欄の文言は「保護者として、上記のEarly Decisionの約束を生徒が守るようにします」というものです。つまり、EDに出すという判断は本人だけの問題ではなく、家庭として約束をする行為です。EDには合格率が相対的に高いという説明がよくなされますが、その代わりに差し出しているのは「他の合格と比べて選ぶ権利」と「学費の見積もりを比べる権利」であることを、署名の前に家庭で確認してください。なお、これは法律上の契約というより大学・高校・家庭のあいだの約束で、破った場合の実効性は合格の取り消しや、高校と大学の信頼関係を通じて働きます。
例外もあります。同じ合意書には「奨学金を申請している生徒は、合格したED校から奨学金の通知を受け取るまでは他の出願を取り下げなくてよい」旨が書かれています。学費の支援額が家庭の想定に届かない場合の扱いは大学ごとに異なるため、出願前に各大学の公式ページで確認してください。EDを避け、拘束のないEarly ActionやRegular Decisionを選ぶという判断も、併願を前提とする家庭では十分に合理的です。
② 日本側の専願・学校推薦型選抜(指定校推薦)
日本側で併願を封じるのが、専願の総合型選抜と学校推薦型選抜です。学校推薦型選抜は文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」で「出身高等学校長の推薦に基づき、調査書を主な資料としつつ…評価・判定する入試方法」と定義され、「入学志願者自らの意志のみで出願できるものではなく」と明記されています。合格を辞退すれば、推薦した高校と大学の関係に影響が及びます。翌年以降の後輩の枠にかかわる可能性があるため、辞退の是非は必ず高校の進路指導と相談してください。
なお、学校推薦型選抜のすべてが専願というわけではありません。実施要項は面接の要否を論じるくだりで「非公募型の学校推薦型選抜であって合格した際には入学することを入学志願者が確約して受験するもの」という類型に触れており、指定校推薦がこの形で運用されていることを前提としています。ただし確約させるかどうかを決めているのは実施要項ではなく、各大学の募集要項です。一方で公募制の学校推薦型選抜には、併願を認める大学もあります。ただし併願が認められる場合でも、合格して在学契約を結んだ時点で、後述する授業料返還の原則からは外れます。「併願できるか」と「辞退したときにお金が戻るか」は別の問題であることに注意してください。
そしてもう一つ、あまり知られていない金銭面の落とし穴があります。年内入試で1校押さえておいて、海外大学の合格が出たら乗り換える——という発想は、実施要項の一文によって金銭的にかなり不利になります。詳しくは後の「返ってくるお金と、返ってこないお金」で扱います。
③ 国立大学の推薦・総合型は「1人1大学」かつ「2月17日で退路が切れる」
国立大学協会の「国立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」では、学校推薦型選抜について「一人の入学志願者について一つの年度における推薦は、大学入学共通テストを課すもの及びこれを課さないものを含めて、一つの大学・学部に限る」と定められています。国立の推薦は複数校に出せません。加えて一般選抜は分離分割方式で、前期日程から1つ、後期日程から1つの合計2つまでです。日本側の受験機会そのものに上限があることを前提に、海外側で何校出すかを決める必要があります。
さらに重要なのが期日です。同じ実施要領によれば、2027年度入学の場合、国立大学の総合型選抜は2月10日までに合格を発表し、2月17日までに入学手続を行わせると定められています。そして「総合型選抜の合格者は…2月17日までに『入学辞退届』を当該大学・学部等へ提出しない場合には、前期・後期日程試験の合格者となりえない」とされています。学校推薦型選抜も同じく2月17日が手続きの期限で、合格者は「他に出願済の大学・学部を受験しても、その大学・学部の合格者とはなりえない」と明記されています。
つまり、国立の総合型・学校推薦型で合格した場合、2月17日までに辞退するかどうかを決めなければ、その年の国立一般選抜(前期・後期)の道が閉じます。ここで効いてくるのが、志望する国の合否発表時期です。イギリスは12月に面接を受けた出願者に対し、ケンブリッジ大学が2027年1月27日に結果を伝えると公式に案内しており、2月17日より前に結果が分かる場合があります。アメリカも拘束のないEarly Actionなら12月〜1月に結果が出ることがあります。一方、アメリカのRegular Decisionやカリフォルニア大学は3月です。2月17日の時点で結果が出ていない出願方式を1つでも使うなら、国立の推薦・総合型は選択肢に入れないほうが安全だと考えてください。しかも学校推薦型の辞退は本人の意思だけでは足りず、実施要領は「特別の事情があり、当該出願者の推薦を行った出身学校長から、2月17日までに『推薦入学辞退願』を当該大学・学部へ提出し、その許可を得た場合に限り、その入学辞退を認める」と定めています。高校の先生に書類を出してもらい、大学の許可を得るまでが必要だということです。海外大学と併願する前提があるなら、国立の推薦・総合型は最初から選択肢に入れないほうが安全です。
日付は2027年度入学(2026年度に高校3年生の学年)のものです。実施要領は毎年改訂され、年度によって1日程度前後します。実際に出願する年度の要領と、志望校の募集要項で必ず確認してください。なお公立大学は公立大学協会が別に実施要領を定めており、前期・後期に加えて「中期日程」がある大学もあります。私立大学は各大学が期日を定めます。
避けたい
合格率が高いと聞いたので、第一志望のアメリカの大学にEarly Decisionで出す。日本の大学も一応受けておく
こうすればOK
EDは「合格したら他国を含む他出願を取り下げる」契約だと理解したうえで、併願を残したいなら拘束のないEarly Action/Regular Decisionを選ぶ
避けたい
指定校推薦で安全策を取り、海外大学の合格が出たらそちらへ行く
こうすればOK
推薦の校内選考に応募する前に、海外大学と併願する意思があることを高校の進路指導に伝え、使う入試方式を1つに決める
避けたい
併願の可否は高3の冬に考えればよい
こうすればOK
総合型選抜の出願は9月1日以降、学校推薦型は11月1日以降、米国EDは秋。高3の夏までに方式を決める
2027年度入学の日程を1枚に重ねる
POINT
「時期がずれているから併願できる」という説明は半分だけ正しいものです。出願の山は確かにずれますが、9〜10月と12〜1月には日本側と海外側の作業が正面から重なります。実際の日付で見ると、どこが山場かがはっきりします。
2027年度入学(現在の高校3年生)の主な日程
| 時期 | 日本の大学 | 海外大学(確認できた公式日程) |
|---|---|---|
| 2026年9月 | 総合型選抜の願書受付が9月1日以降に開始/共通テストの出願登録が9月15日10時に開始 | イギリスはUCASの提出が9月1日以降に可能に |
| 2026年10月 | 共通テストの出願は10月2日17時(支払いは23時59分)で締切 | ケンブリッジ・オックスフォード・医歯獣は10月15日18時(英国時間)で締切 |
| 2026年11月 | 総合型選抜の合格発表が11月1日以降/学校推薦型選抜の願書受付が11月1日以降 | カリフォルニア大学の出願は11月30日締切(受付開始は公式ページにより10月1日と11月1日で記載が分かれる)/アメリカのED・EAは秋に締切 |
| 2026年12月 | 学校推薦型選抜の合格発表が12月1日以降 | ケンブリッジの面接は12月の最初の3週間に集中/アメリカのEDの結果が出る時期 |
| 2027年1月 | 共通テスト本試験 1月16日・17日(追試験 1月23日・24日)/国公立の出願 1月25日〜2月3日=後期日程に出すかをここで決める | イギリスの一般的な出願締切は1月中旬/アメリカのRegular Decisionの締切が集中/ケンブリッジは12月に面接を受けた出願者へ1月27日に結果通知 |
| 2027年2月 | 個別試験は2月1日から/国立の総合型・学校推薦型は2月17日が入学手続の期限(辞退もこの日まで)/国立前期の試験第1日は2月25日 | イギリスの合否が出そろい始める/アメリカのEarly Actionの結果もこの頃までに出ることがある |
| 2027年3月 | 国立前期の合格発表 3月6日〜10日/入学手続前期締切 3月15日/後期発表 3月20日〜24日/後期手続締切 3月27日/追加合格 3月28日開始・3月31日締切 | カリフォルニア大学の合否通知は3月1日〜31日(一部はそれ以前) |
| 2027年4〜5月 | 私立を含む合格者の決定発表は3月31日まで | アメリカの入学意思表示(SIR等)の締切は5月1日が多い |
この表を眺めると、山場が2回あることが分かります。1回目は9月中旬から10月上旬。共通テストの出願登録(9月15日10時〜10月2日17時)と総合型選抜の出願が、イギリスの10月15日締切およびアメリカの秋の出願準備と完全に重なります。2回目は12月から1月。学校推薦型選抜の結果、イギリスの面接、アメリカのEDの結果、そして共通テスト本番(1月16日・17日)が2か月に凝縮されます。ケンブリッジの面接が「12月の最初の3週間」に集中することは公式に案内されており、共通テスト直前期と真正面からぶつかります。ここで保護者が担えるのは、勉強を教えることではなく、書類の期限と提出状況を可視化して、本人が試験勉強に集中できる状態を保つことです。
日程の出典は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(令和8年5月27日)、国立大学協会「国立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」(令和8年6月29日改訂)、大学入試センター「令和9年度大学入学共通テスト受験案内」、およびカリフォルニア大学・ケンブリッジ大学の公式ページ(2026年8月3日確認)です。イギリスの1月締切の正確な日付、およびアメリカの各大学のED/EA/RDの締切日は大学・年度により異なるため、必ず各大学の公式ページで確認してください。私立大学の入試日程・入学手続締切日は大学ごとに定められており、上記の枠内で各大学が設定します。
本当の難所は「合否発表」ではなく「入学手続きの締切」
POINT
併願で家庭が追い込まれるのは、合否が出ない不安ではありません。日本の大学の入学手続き締切が、海外大学の合否より先に来るからです。国立前期は3月15日、カリフォルニア大学の通知は3月中——この十数日のズレが、数十万円の判断を生みます。
国立大学協会の実施要領によれば、2027年度入学の国立大学前期日程は3月6日から3月10日までに合格を発表し、入学手続前期締切期日は3月15日です。そして「前期日程又は後期日程の試験に合格し、その入学手続を行わなかった者は、その合格した大学・学部への入学を辞退したものとして取り扱う」と明記されています。つまり3月15日に手続きをしなければ、合格は自動的に消えます。待つという選択肢は制度上ありません。
一方、海外大学の合否はこれより後に出ることが珍しくありません。カリフォルニア大学は公式に、2027年秋入学の合否通知を「3月1日〜31日」と案内しています(一部のキャンパスは3月より前に出す場合がある、との但し書き付き)。つまり3月15日の時点で、海外大学の結果がまだ出ていない可能性が十分にあるということです。さらに、アメリカの多くの大学は入学の意思表示(Statement of Intent to Register などと呼ばれます)の締切を5月1日に置いています。日本側の手続きが終わってから1か月半後です。
3月15日に家庭が迫られる判断(国立前期に合格した場合)
| 選択 | 起きること | 金銭的な帰結 |
|---|---|---|
| 3月15日までに入学手続きをする | 国立大学の入学資格を確保。後日、海外大学に合格したら辞退する | 入学料(標準額282,000円)は原則返還されない。ただし入学手続時に納めるのは入学料だけで、授業料は入学後の納付とする大学がある |
| 海外の結果を待って手続きをしない | 入学辞退とみなされ合格が消える。前期日程の追加合格の対象からも外れる | 支出は増えないが、海外に不合格だった場合の受け皿を失う |
| 後期日程に賭ける | 前期を手続きしなければ後期の合格対象に残れる。後期の発表は3月20日〜24日。ただし後期日程に出願していることが前提で、その出願締切は2月3日 | 後期の手続き締切は3月27日で、海外の結果を待てる期間が最大12日ほど延びる |
3行目には、見落とすと取り返しがつかない前提があります。後期日程を選べるのは、1月25日〜2月3日の出願時に後期へ出願していた家庭だけです。3月になってから選べる道ではありません。「後期という逃げ道がある」と理解したまま2月3日を過ぎてしまうのが、この記事で最も避けたい事態です。海外の結果が3月末になりそうなら、秋のうちに「後期を保険に置く」と決めておいてください。
お金のカレンダー:いつ、いくら出ていくのか
POINT
併願で増えるのは受験料だけではありません。合否が出る前に出ていくお金(検定料・出願料)と、合否が出た後に期限付きで出ていくお金(入学金・授業料・海外の前納金)を分けて把握すると、家計のどこに山が来るかが見えます。
併願で発生する主な支出と、その期限(2027年度入学の場合)
| 費目 | 金額(確認できた公式の数字) | 支払いの時期 | 返ってくるか |
|---|---|---|---|
| 大学入学共通テストの検定料 | 3教科以上 18,000円/2教科以下 12,000円(成績の閲覧を希望する場合は各300円加算)+支払手数料188円 | 2026年9月15日〜10月2日 | 受験しなくても返還されない |
| 国立大学の個別試験の検定料 | 17,000円(省令の標準額) | 2027年1月25日〜2月3日の出願時 | 原則返還されない(大学の定めによる) |
| 私立大学の受験料 | 大学・方式ごとに定められる(募集要項で確認) | 各大学の出願期間 | 原則返還されない |
| 海外大学の出願料 | 大学ごとに異なる。免除制度(fee waiver)を設ける大学もある | 秋〜冬の出願時 | 返還されない |
| 英語試験(TOEFL・IELTS等)の受験料 | 試験・回数により変動 | 高2〜高3 | 返還されない |
| 国立大学の入学料 | 282,000円(標準額。特別の事情がある場合は120%の338,400円まで) | 2027年3月15日まで(前期) | 原則返還されない |
| 私立大学の入学料 | 平均240,365円(令和7年度入学者・592大学) | 各大学の入学手続締切 | 原則返還されない(一部を返還する大学もある) |
| 国立大学の授業料 | 年額535,800円(標準額。120%の642,960円まで) | 入学手続時には徴収せず、入学後の口座振替とする大学がある | 入学手続時に納めていなければ、辞退しても支出そのものが発生しない |
| 私立大学の授業料・施設設備費 | 平均 授業料968,069円/施設設備費172,550円(初年度納付金合計 平均1,507,647円) | 各大学の入学手続締切(延納制度がある大学も) | 3月31日までの辞退なら原則返還(例外あり・後述) |
| 海外大学の入学意思表示・前納金 | 大学により有無・金額が異なる | 5月1日を締切とする大学が多い | 返金不可としている大学が多い(各大学公式で確認) |
この表で最も注意していただきたいのは、入学料の行です。国立で282,000円、私立で平均240,365円。これは海外大学へ進学先を変えた場合、原則としてそのまま消える金額です。併願を選ぶということは、実質的に「20万円台後半を保険料として払う可能性を受け入れる」という意思決定にほかなりません。逆にいえば、この金額を先に家庭の予算に織り込んでおけば、3月15日に慌てて判断せずに済みます。「捨てるかもしれないお金」を最初から予算に入れておくことが、併願を穏やかに進める最大のコツです。
もうひとつ、国公立と私立で構造が違う点も押さえてください。国立大学では、入学手続時に納めるのは入学料だけで、授業料は入学後の納付とする形が広く採られています。横浜国立大学の一般選抜学生募集要項は、入学手続時に必要なものを「入学料 282,000円」とし、授業料は「入学後に必要な学生納付金」として別に整理したうえで「授業料については、入学後に口座振替により納付することになります」と明記しています。千葉大学の入学手続ガイドブックも「授業料(入学手続では徴収しません。入学後の納入となります。)」としています。この形であれば、3月15日に手続きをして後日辞退しても、動くお金は入学料だけで、授業料の返還手続きそのものが発生しません。一方、私立大学は入学手続時に入学金と授業料等をまとめて納めるのが一般的で、その場合は「入学金は戻らない・授業料は3月31日までなら戻る」という次章の整理がそのまま当てはまります。同じ「1校押さえる」でも、国公立と私立では動くお金の性質が違います。 ただし納付の時期は大学ごとに定められているため、志望校の募集要項で確認してください。
国立大学の授業料・入学料・検定料は「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」が定める標準額で、各国立大学法人が実際の額を定めます。同省令第10条により、特別の事情があるときは標準額の120%を超えない範囲で定めることができるため、大学によっては標準額より高い場合があります。私立大学の数字は文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」(2025年12月26日公表)の平均額で、学部系統により大きく異なります。志望校の実額は必ず各大学の募集要項で確認してください。海外大学の学費と奨学金の全体像は海外大学の学費ガイドと返済不要の奨学金まとめで確認できます。
併願で「捨てる可能性のあるお金」まで含めて試算する
入学金・授業料・渡航費まで含めた総額の目安を、ご家庭の条件で計算できます。
返ってくるお金と、返ってこないお金
POINT
入学金は戻りません。授業料は3月31日までに辞退すれば原則戻ります。ただし専願・学校推薦型選抜で合格して在学契約を結んだ場合はこの原則から外れます。この3行が、併願の金銭リスクのすべてです。
根拠は文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」です。第10の2(4)で、入学辞退者に対する授業料等の返還申出期限について、「大学、短期大学、高等専門学校、専修学校及び各種学校の入学辞退者に対する授業料等の取扱いについて」(平成18年12月28日付け文科高第536号 高等教育局長・生涯学習政策局長通知)の趣旨を踏まえ、募集要項や入学手続要項であらかじめ明確にするよう各大学に求めています。示されている内容は次のとおりです。
- 13月31日までに入学辞退の意思表示をした者(専願又は学校推薦型選抜(これに類する入学試験を含む。)に合格して大学等と在学契約を締結した受験者を除く。)については、原則として、受験者が納付した授業料等及び諸会費等の返還に応じる。
- 2上記にかかわらず、募集要項や入学手続要項に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」などと記述している場合には、入学式の日までに受験者が明示的または黙示的に在学契約を解除したときは、授業料等及び諸会費等の返還に応じる。
ここで2つのことに気づいてください。ひとつは、返還の対象として挙げられているのは「授業料等及び諸会費等」であって、入学料は含まれていないということです。入学料は「その大学に入学しうる地位を得るための対価」と整理されており、辞退しても返還されないのが通例です。もうひとつは、括弧書きの例外です。
ただし「入学金は絶対に戻らない」と決めつけるのも正確ではありません。入学金の一部または全部を返還する制度を設ける大学が出てきています。たとえば文化学園大学は「入学辞退および入学時納入金返還について」で、入学時納入金のうち「入学金の一部(10万円)以外を返還します」と公表し、対象を「すべての入試」としています(所定の申請書を2027年3月31日16時必着で提出。他大学等の合格通知書のコピーを求められる場合があります)。ほかにも、修学支援新制度の対象者など条件を満たす受験生に限って入学金を返還する制度を新設した大学があり、その対象を併願制の入試に限定しています。金額も条件も大学ごとにまったく違うため、「戻らないもの」と決めつけて調べないのが最ももったいない対応です。入学金の返還制度の有無は、志望校を絞る段階で一度は確認してください。
そして例外の中身です。専願または学校推薦型選抜で合格し、在学契約を結んだ受験者は、3月31日までに辞退しても授業料返還の原則の外に置かれています。 年内入試で1校確保しておき、春に海外大学へ乗り換える——という戦略は、この一文によって、入学金だけでなく授業料まで戻らない可能性がある行為になります。専願・指定校推薦と海外大学の併願を勧めない理由は、道義的な話である以前に、金銭的にきわめて不利だからです。
避けたい
授業料は3月31日まで戻ると読んだので、とりあえず全額納めて海外の結果を待つ
こうすればOK
返還は「辞退の意思表示」をして初めて動く。大学が定める方法(多くは文書・所定様式)と期限を、入学手続要項で先に確認しておく
避けたい
指定校推薦で押さえておいて、海外に受かったら辞退すればいい
こうすればOK
専願・学校推薦型で在学契約を結ぶと授業料返還の原則から外れる。押さえるなら一般選抜か併願可の総合型選抜で
避けたい
入学手続きの締切日が近いので、入学金も授業料もまとめて振り込む
こうすればOK
「他大学受験を理由とする場合に限り授業料の延納を認める」制度を持つ大学がある。入学金は延納できないことが多いので、授業料だけでも先送りできないか要項を確認する
3つ目に挙げた延納制度は、併願家庭にとって現実的に効きます。愛知学院大学の「2026年度 入学手続要項」には、「以下の対象試験での手続者については、他大学受験を理由とする場合に限り、『在学誓書』と共に『授業料延納願』を提出することで授業料の延納ができます」と明記されており、同時に「入学金の延納は一切認めません」とも書かれています。制度の名称(延納・二段階納入など)も条件も大学ごとに違いますが、「入学金は先に、授業料は後で」という形が用意されていれば、3月15日前後に動かすお金を数十万円単位で減らせます。
ただし、延納に期待しすぎないでください。同じ要項の表には、「延納期日は原則併願大学の合格発表の翌日(土・日除く)です。ただし3月25日(水)以降の延納はできません。」と書かれています。申請書に併願する大学の受験番号を記入する様式であることからも、想定されているのは国内大学どうしの併願です。カリフォルニア大学の合否通知(3月1日〜31日)や、アメリカの5月1日の意思表示にはとても届きません。延納は「3月の現金の山を低くする手段」であって、「海外の結果を待つ手段」ではありません。 ここを取り違えると、延納したつもりで期日を過ぎ、入学資格を失うおそれがあります。志望校を絞る段階で、募集要項の「入学手続」の章を保護者が読んでおくと、後の判断がずっと楽になります。
返還の条件・申出方法・期限(必着か消印有効か、文書のみか)は大学ごとに定められており、入試区分によって扱いを分けている大学もあります。ここに書いたのは文部科学省が各大学に求めている整理であって、個別の大学の規定そのものではありません。必ず志望校の入学手続要項・募集要項の原文で確認してください。
二重払いを小さくする5つの実務
POINT
併願のコストはゼロにはできませんが、削ることはできます。要点は「入学金を払う回数を減らす」「授業料は動かさない」「待てる時間を長くする」の3つです。
- 1入学金を払う大学を1つに絞る。 併願の実質コストは、ほぼ「入学金を何回払うか」で決まります。日本側で複数校を確保しようとすると、20万円台の入学金がその回数だけ消えます。海外大学が第一志望なら、日本側の受け皿は原則1校に絞るのが合理的です。
- 2授業料の延納・二段階納入の有無を、出願前に確認する。 「他大学受験を理由とする場合に限り」といった条件付きで授業料の納入を先送りできる大学があります。入学金は延納できないことが多いので、期待するのは授業料の部分です。
- 3辞退の申出方法と期限を、納付の前に調べておく。 3月31日は「辞退の意思表示をする期限」であって、自動的に返ってくる日ではありません。所定の様式・文書・必着日を、入学手続要項で先に確認しておきます。
- 4海外大学の入学意思表示と前納金の期限・返金可否を、合格前に確認する。 アメリカでは5月1日を締切とする大学が多く、前納金を返金しないとしている大学もあります。合格してから調べると、判断の時間がありません。
- 5後期日程を「時間を買う手段」として、2月3日までに仕込んでおく。 前期の手続きをしなければ後期の合格対象に残り、判断の期限が3月27日まで延びます。ただしこれは1月25日〜2月3日の出願時に後期日程へ出願していた場合に限られます。 前期の合格を捨てる重い選択なので常用はできませんが、秋の時点で「海外の結果が3月末なら後期を保険に置く」と決めておけるかどうかで、3月の落ち着きが変わります。
- 6「他の大学がこうだから」で判断しない。 同じ論点でも大学の運用は正反対になりえます。ある私立大学は返還の対象から「専願制の学科」を除外していますが、別の私立大学は指定校制まで返還の対象に列挙しています。入学金についても、一部を返す大学・条件付きで返す大学・一切返さない大学が併存しています。一般論ではなく、志望校の要項の文言で判断してください。
これらはいずれも、受験勉強とはまったく別のレイヤーの作業です。本人が模試とエッセイに追われている時期に、募集要項の「入学手続」の章を読み込むのは現実的ではありません。ここは保護者が引き受けられる、そして引き受けたほうがよい領域です。出願書類そのものの締切管理については海外大学の出願の流れで扱っていますので、あわせて役割分担を決めてください。
「併願しない」という選択肢も等価に置く
POINT
併願は当然の前提ではありません。準備の負担、費用、そして本人の消耗を考えると、絞ったほうが結果的に強い家庭もあります。判断材料として4つの道を並べます。
併願しない場合の4つの道
| 選択肢 | 内容 | この道を選ぶなら秋までに決めておくこと | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 海外に一本化する | 日本の大学は受けず、海外大学の出願準備に時間を集中させる | 全落ちだった場合の1年の使い方(浪人・ギャップイヤー・翌年出願)を具体的に決めておく | 受け皿がないぶん、出願校の難易度の幅を広く取る必要がある |
| 日本に一本化する | 学部は国内で進み、交換留学や大学院で海外に出る | 志望校に交換留学の枠と派遣実績があるかを、出願前に確認しておく | 「あきらめた」ではなく時期をずらす選択だと家庭で共有する |
| ギャップイヤーを取る | 高校卒業後に1年準備し、翌年の出願サイクルで海外大学に出願する | 1年で何をするか(英語スコア・活動・費用)を月単位で設計しておく | 設計がないと空白の1年になる。家計と本人の心理面の負担も見込む |
| 日本の大学の秋入学を使う | 9月入学の学部・プログラムに出願し、春の結果を見てから判断する | 実施校・募集人員・出願時期を調べ、出願カレンダーに組み込んでおく | 実施校も枠も限られる。要件は各大学の要項で確認が必要 |
上位に並ぶ記事の多くは併願を勧めます。出願数が増えることが書き手の利益になる構造があるからです。しかし実際には、9月から1月まで日本側と海外側の準備を並走させることは、高校生にとって相当な負荷です。併願が向くのは「どちらに進んでも納得できる進路が両側にある家庭」で、「海外に受かれば海外、落ちたら仕方なく日本」という順位が明確な場合は、日本側を1校に絞って負荷を下げたほうが、海外側の出願の質が上がることが少なくありません。どちらの進路が家庭に合うかを整理したい場合は海外大学と国内大学の比較が参考になります。アメリカに絞って進路を考える場合の選択肢はアメリカの大学進学ガイドで扱っています。
保護者がつくる「締切とお金の一覧表」
POINT
併願で保護者が担うべき仕事は、勉強でも進路の決定でもなく、期限とお金の可視化です。高3の夏に1枚の表を作っておけば、冬から春の判断がほぼ機械的に済みます。
作るのは1枚のスプレッドシートで十分です。志望校を1行ずつ並べ、次の項目を埋めていきます。埋まらない欄が出たら、それがそのまま「大学に問い合わせるべきこと」のリストになります。
- 大学名/国/入試方式(拘束の有無を必ず記入。EDか/専願か/併願可か)
- 出願締切(日時と時差。イギリスは英国時間18時など、日本時間と異なる締切がある)
- 合否発表の予定日
- 入学手続きの締切日(ここが最重要。日本側は3月15日などの実日付、海外側は5月1日など)
- 入学金・入学料の額と納付期限(返還されない前提で記入する)
- 授業料の額と納付期限/延納制度の有無と条件
- 辞退の申出方法と期限(文書か/所定様式か/必着か消印有効か)
- 前納金・デポジットの額と返金可否(海外大学)
この表の価値は、3月15日に判断するのではなく、9月に判断を終わらせられることにあります。「国立前期に受かって、アメリカの結果が3月末なら、入学金28万円は捨てる」——この結論を秋のうちに家庭で合意しておけば、3月の十数日間を不安と口論で消耗せずに済みます。逆に「28万円は出せない」という結論なら、併願そのものの設計を秋のうちに変えられます。どちらに転んでも、早く決めた家庭のほうが選択肢が多く残ります。
そしてもう一点。この表は本人と共有してください。保護者が黙って管理すると、本人は「親が何かやってくれている」と思うだけで、なぜ3月15日に決断が要るのかを理解しません。お金の話を隠さずに見せることは、進路を自分ごととして引き受けてもらうための、最も具体的な方法です。海外大学進学そのものの準備の全体像は海外大学進学ガイドにまとめています。
併願の日程とお金で迷ったら
制度の確認先や、家庭で押さえるべき期限の考え方を、LINEでも配信しています。
まとめ:併願は「できるか」ではなく「いくら置いていくか」
POINT
併願の可否は契約で決まり、併願のコストは入学金で決まります。この2つを秋のうちに家庭で確定させれば、3月の判断は淡々と済みます。
この記事の要点は3つです。第一に、併願できるかどうかは時期ではなく契約が決めること。アメリカのEarly Decisionと日本の専願・学校推薦型選抜は、どちらも「合格したらそこへ行く」約束であり、片方でも使えば併願は成立しません。第二に、難所は合否発表ではなく入学手続きの締切であること。国立前期の締切は3月15日、カリフォルニア大学の合否通知は3月中と公式に案内されており、結果を待つ余地はほとんどありません。第三に、入学金は原則として返ってこないこと。国立の標準額282,000円、私立の平均240,365円は、進路を海外に変えれば基本的に消えます(一部を返還する制度を設ける大学もあるので、志望校の要項は必ず確認してください)。授業料は3月31日までの辞退なら原則返還されますが、専願・学校推薦型で在学契約を結んだ場合はその原則の外です。
併願は悪い選択ではありません。選択肢を残すことには確かな価値があり、それを買うための費用が入学金だと考えれば、納得して払える家庭も多いはずです。問題なのは、その費用の存在を3月になって初めて知ることです。高3の夏のうちに、使う入試方式を決め、志望校の入学手続要項を読み、「捨てる可能性のあるお金」を予算に入れておく。この3つを済ませておけば、併願は家計にとっても本人にとっても、十分に扱える選択になります。
本記事の日程・金額は、文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」、国立大学協会「国立大学の2027年度入学者選抜についての実施要領」、大学入試センター「令和9年度大学入学共通テスト受験案内」、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」、文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」、およびCommon Application・カリフォルニア大学・ケンブリッジ大学の公式資料にもとづき、2026年8月3日時点で確認したものです。入試制度・日程・金額は年度ごとに変わり、大学ごとの定めもあります。出願・納付の前に、必ず各大学および各機関の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
Q.海外大学と日本の大学は、そもそも併願できますか?
できます。日本の一般選抜や併願可の総合型選抜と、アメリカのRegular Decision・Early Action、イギリスのUCAS出願は、制度上は同時に進められます。ただし例外が2つあります。アメリカのEarly Decisionで合格した場合と、日本側で専願・学校推薦型選抜(指定校推薦など)を使った場合です。どちらも「合格したらそこへ入学する」約束を前提にした方式のため、併願は成り立ちません。併願の可否は、日本側と海外側のどちらか厳しいほうで決まります。
Q.Early Decisionに出すと、日本の大学は受けられなくなりますか?
合格した場合は受けられません。Common ApplicationのEarly Decision合意書には、合格したら他大学への出願を速やかに取り下げ、「いかなる国のいかなる大学にも新たな出願をしない」と明記されています。日本の大学もここに含まれます。合意書には生徒・カウンセラーに加えて保護者の署名欄があり、保護者は「生徒がこの約束を守るようにする」と署名します。併願を残したい場合は、拘束のないEarly ActionやRegular Decisionを選んでください。なお、奨学金を申請している場合は支援額の通知を受け取るまで他の出願を取り下げなくてよい旨も同じ合意書に書かれていますが、扱いは大学ごとに異なるため公式ページで確認してください。
Q.指定校推薦で合格したあとに、海外大学へ進学先を変えられますか?
制度上も金銭上も、強くおすすめできません。学校推薦型選抜は高校長の推薦にもとづく入試であり、辞退は高校と大学の関係、ひいては後輩の推薦枠に影響しうるため、まず高校の進路指導に相談が必要です。加えて文部科学省の「令和9年度大学入学者選抜実施要項」では、3月31日までに辞退すれば授業料等の返還に応じるという原則から、専願または学校推薦型選抜で合格して在学契約を結んだ受験者が明示的に除かれています。つまり入学金だけでなく授業料まで戻らない可能性があります。海外大学と併願する意思があるなら、校内選考に応募する前に進路指導へ伝え、一般選抜または併願可の総合型選抜で受け皿を作ってください。
Q.国立前期に合格しましたが、海外大学の結果がまだ出ません。入学手続きは待てますか?
待てません。国立大学協会の実施要領では、2027年度入学の場合、前期日程の入学手続前期締切期日は3月15日で、「入学手続を行わなかった者は、入学を辞退したものとして取り扱う」と定められています。手続きをしなければ合格は消え、前期日程の追加合格の対象からも外れます。判断は「入学料(標準額282,000円)を捨てる覚悟で手続きをする」か「合格を手放す」かの二択です。なお、前期の手続きをしなければ後期日程の合格対象には残れるため、後期の手続き締切である3月27日まで判断を延ばせる場合があります。ただし前期の合格を確実に失う重い選択であり、そもそも1月25日〜2月3日の出願時に後期日程へ出願していなければ選べません。 3月になってから使える方法ではないので、後期を保険に使うつもりなら秋のうちに決めておいてください。
Q.入学金と授業料は、辞退したら戻ってきますか?
入学金(入学料)は原則として戻りません。その大学に入学しうる地位を得るための対価と整理されているためです。ただし近年は、入学金の一部を返還する大学や、修学支援新制度の対象者など条件を満たす場合に返還する大学も出てきているため、「戻らないもの」と決めつけずに志望校の要項を確認してください。授業料等については、文部科学省が各大学に対し、3月31日までに入学辞退の意思表示をした者には原則として返還に応じるよう求めています(平成18年12月28日付け文科高第536号通知の趣旨)。ただし専願または学校推薦型選抜で合格して在学契約を結んだ受験者はこの原則から除かれます。なお国立大学では、入学手続時に納めるのは入学料だけで授業料は入学後の納付とする例があり、その場合はそもそも授業料の返還手続きが発生しません。返還は自動ではなく、大学が定める方法での辞退の申出が必要です。様式・提出方法・必着か消印有効かは大学ごとに異なります。
Q.併願すると、子どもの負担が大きすぎないか心配です。
実際に負担が集中するのは2つの時期です。1回目は2026年9月中旬から10月上旬で、共通テストの出願(9月15日〜10月2日)と総合型選抜の出願、イギリスの10月15日締切、アメリカの秋の出願準備が重なります。2回目は12月から1月で、学校推薦型選抜の結果、イギリスの面接(ケンブリッジは12月の最初の3週間に集中)、アメリカのEarly Decisionの結果、共通テスト本番(1月16日・17日)が続きます。ここで保護者が担えるのは、期限と提出状況を一覧表にして可視化し、本人が試験勉強に集中できる状態を保つことです。負荷が明らかに過大だと感じる場合は、日本側の受験校を1校に絞る、あるいは併願自体を見直すという判断も十分に合理的です。







