このページの要点
小学校に休学の制度はありません。学校の扱いを決めるのは住民票で、進級は出席日数ではなく成績で判定されます。
- 就学義務は住民票に連動する:学校教育法施行令第1条第2項は、就学義務のもとになる学齢簿の編製を「当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なう」と定めています。海外転出届を出せば学齢簿から外れ、住民票を残せば学齢簿に残ります。
- 「就学義務の免除」は当てにしない:学校教育法第18条の猶予・免除は「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者」が対象で、親子留学は通常あたりません。
- 進級は校長が成績で決める:学校教育法施行規則第57条第1項は「各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」と定めます。出席日数は法定の要件ではないため、扱いが学校ごとに違ってきます。
小学生を連れて親子留学すると決めたとき、多くの保護者がまず調べるのは「学校は休学できるのか」です。ところが調べても答えが出てきません。理由は単純で、小学校には高校のような「休学」の制度がそもそも存在しないからです。義務教育だからです。では何が学校の扱いを決めているのかというと、住民票です。就学義務のもとになる学齢簿が住民基本台帳に基づいて作られるため、住民票をどうするかで前提が変わります。この記事では法令の原文をもとに、法令で決まっていることと、学校・教育委員会の判断に委ねられていることを分けて整理します。住民票をどう決めるかという手前の判断は親子留学とは、費用の計算は親子留学の費用をご覧ください。
本記事の条文は、学校教育法・学校教育法施行令・学校教育法施行規則(e-Gov法令検索の法令原文)と、文部科学省「在外教育施設の概要」を当サイトが2026年8月19日に取得して整理したものです。在籍校での具体的な扱い(欠席の記録のしかた、課題の出し方)と、帰国後にどの学年へ入るかは法令に定めがなく、学校と市町村教育委員会の判断になります。 本記事は判断の枠組みを示すもので、個別の可否を保証するものではありません。必ず在籍校(担任・教頭)とお住まいの市区町村の教育委員会にご確認ください。
結論:小学校に「休学」はなく、決まるのは住民票と校長の判断
POINT
小学生の親子留学でつまずくのは、高校の休学制度をそのまま小学校に当てはめて考えてしまうところです。義務教育には別の枠組みが用意されています。
学校教育法第16条は「保護者…は、次条に定めるところにより、子に九年の普通教育を受けさせる義務を負う」と定め、第17条第1項が「保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校…に就学させる義務を負う」と続けます。小学校の6年間は、生徒本人が在籍する権利ではなく、保護者が負う義務として構成されています。
義務であるがゆえに、「一時的に義務を止める」という休学の発想が入り込む余地がありません。法令が用意しているのは、義務そのものを猶予・免除するという別の制度だけです。そして後述のとおり、これは親子留学では通常使えません。
では実務では何で決まるのか。住民票です。 期間ごとに整理すると次のようになります。
小学生の親子留学:期間と住民票による扱いの違い(法令原文から当サイトが整理)
| ケース | 住民票 | 学齢簿 | 日本の小学校の在籍 | 進級の判定 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜2週間(長期休暇中など) | 残す | 載ったまま | 在籍したまま。授業日にかかるなら学校に相談 | 通常どおり |
| 数か月〜1年(住民票を残す) | 残す | 載ったまま=就学義務が続く | 在籍したまま欠席が続く形。扱いは学校・教育委員会の判断 | 校長が平素の成績で判定 |
| 1年以上(海外転出) | 抜く | 外れる | 在籍しない(転出の手続きをとる) | 帰国後にあらためて就学 |
重要なのは、この表の3行目と2行目で、法令上の位置づけがまったく違うことです。海外転出すれば就学義務の対象から外れるので、そもそも「学校を休む」という問題が発生しません。一方、住民票を残すと就学義務が続いたまま登校しない状態になるため、学校と教育委員会に相談して扱いを決める必要が生じます。
そして、多くの保護者が最も知りたい「帰国後に同じ学年へ戻れるのか」については、先に結論を書いておきます。法令はこれを定めていません。 学校教育法施行規則第57条第1項が進級の認定を「児童の平素の成績を評価して」定めるとしているだけで、出席日数の基準がないためです。したがって答えは在籍校と教育委員会にしかなく、しかも出発前に聞けます。 この記事の残りは、何を根拠に何を聞けばよいかの整理です。
就学義務は住民票に連動する — 学齢簿のしくみ
POINT
ここが小学生の親子留学の土台です。就学義務と住民票が別々のものだと思っていると、手続きの順序を間違えます。
学校教育法施行令第1条第1項は「市…町村の教育委員会は、当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童及び学齢生徒…について、学齢簿を編製しなければならない」と定めています。学齢簿とは、その市町村が就学義務を管理するための名簿です。
そして第1条第2項が決定的です。「前項の規定による学齢簿の編製は、当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なうものとする」。つまり、学齢簿は住民票から自動的に作られます。 教育委員会が独自に子どもを探しているわけではありません。
海外転出届を出す場合
海外転出届を出すと、その市町村の住民基本台帳から除かれます。施行令第1条第1項の「当該市町村の区域内に住所を有する」に該当しなくなるため、学齢簿からも外れます。 結果として、その市町村の就学義務の管理下から離れることになります。
この場合、在籍していた小学校では転出の手続き(区域外への転学に準じた扱い)をとることになります。 学校を「休んでいる」のではなく「いない」状態なので、欠席日数や進級の心配は生じません。代わりに、帰国後にあらためて就学の手続きが必要になります。
住民票を残す場合
住民票を残すと、住民基本台帳に載ったままなので学齢簿にも残り、就学義務が続きます。 在籍は維持されますが、実際には登校しない状態が続くことになります。
この状態をどう記録するかは法令に定めがありません。 学校教育法施行規則第25条は「校長…は、当該学校に在学する児童等について出席簿を作成しなければならない」と定めるだけで、海外滞在中の児童をどう扱うかまでは書かれていません。したがって扱いは学校と教育委員会の判断になります。ここが、エージェントのページが「判断が異なります」としか書けない理由です。判断が分かれるのではなく、法令がそこを定めていないのです。
実務としては、行き先や期間を決める前に在籍校と教育委員会に相談するのが正解になります。相談してから期間を決められるからです。この点はピラーの親子留学とはでも手続きの順序として整理しています。
「就学義務の猶予・免除」は使えないと考えておく
POINT
検索するとよく出てくる制度ですが、条文を読むと親子留学は対象になっていません。ここを誤解したまま出発すると手続きが空振りします。
学校教育法第18条は次のように定めています。「…病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、文部科学大臣の定めるところにより、…義務を猶予又は免除することができる」。
手続きは学校教育法施行規則第34条にあり、「その保護者は、就学義務の猶予又は免除を市町村の教育委員会に願い出なければならない。この場合においては、…その事由を証するに足る書類を添えなければならない」とされています。証明書類の添付が要件になっている点に注目してください。
条文が想定しているのは「就学困難」な状態です。並んでいる例も病弱・発育不完全であり、保護者の意思による海外滞在は性質が異なります。 実際、親子留学を理由にこの免除が認められるかは教育委員会の判断ですが、制度の建て付けとしては当てにできないと考えて設計するのが安全です。
避けたい
「留学すれば就学義務は免除される」と理解して、免除の申請だけを予定に入れておく
こうすればOK
免除ではなく、住民票をどうするかで整理する。 学校教育法第18条は「就学困難と認められる者」が対象で、親子留学は通常あたりません。海外転出届を出せば学齢簿から外れる(施行令第1条第2項)ので、免除申請を経由する必要がそもそもありません
避けたい
高校の休学制度と同じつもりで「1年休学して戻れば同じ学年」と考える
こうすればOK
小学校に休学はなく、進級は校長が平素の成績で判定する(施行規則第57条第1項)。同じ学年に戻れるかは在籍校と教育委員会の判断なので、出発前に確認して、その回答をふまえて期間を決める
避けたい
出発直前に学校へ伝える
こうすればOK
行き先と期間を決める前に、担任・教頭と市町村教育委員会の学務担当に相談する。 扱いが決まらないと期間の設計ができません。相談の結果しだいで、渡航時期を学期の区切りに合わせたほうがよい場合もあります
進級・卒業は出席日数ではなく「平素の成績」で決まる
POINT
「何日休むと留年するのか」を探しても答えは見つかりません。法令が日数で決めていないからです。ここを理解すると、学校への相談のしかたが変わります。
学校教育法施行規則第57条第1項は、こう定めています。「小学校において、各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」。出席日数への言及がありません。 卒業についても第58条が「校長は、小学校の全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない」と定めるのみです。
つまり、進級・卒業の認定は校長の権限であり、判断材料は「平素の成績」です。高校のように単位数と出席時数で機械的に決まる仕組みにはなっていません。これが「学校によって扱いが違う」と言われる本当の理由です。
なお、第57条には第2項があり、「学校生活への適応が困難であるため相当の期間小学校を欠席した児童について前項の成績評価を行うに当たつては、…当該児童が欠席中に行つた学習の成果を考慮することができる」と定めています。ただしこれは不登校の児童を想定した規定であり、親子留学に直接あたるものではありません。 海外滞在中の学習の扱いを、この条文を根拠に主張することはできないと考えてください。
実務上は、滞在中に日本の学習をどう継続したかを説明できる状態にしておくことが、相談を進めやすくします。何をどこまで学んだかを記録に残しておく、という程度の準備です。
小学生の在籍・進級にかかわる条文(学校教育法施行規則。当サイトが整理)
| 条文 | 定めていること | 親子留学での意味 |
|---|---|---|
| 第24条(指導要録) | 校長は指導要録を作成する。転学した場合は写しを転学先の校長に送付する | 海外転出しても記録は引き継がれる。帰国後の学校で必要になる |
| 第25条(出席簿) | 校長は在学する児童について出席簿を作成しなければならない | 在籍を残すなら出席簿上の扱いが発生する。記録のしかたは定めがない |
| 第57条第1項(進級・卒業) | 児童の平素の成績を評価して、課程の修了・卒業を定める | 出席日数は法定要件ではない。判断は校長 |
| 第59条(学年) | 小学校の学年は4月1日に始まり翌年3月31日に終わる | 海外の学年暦とずれる。次章で扱う |
小学生のうちに何を経験させるかを整理する
親子留学は選択肢の一つで、目的によっては国内で足りることもあります。簡単な質問に答えると、期間・費用・目的から合う進路のタイプが分かります。
学年のズレ — 日本は4月始まり、渡航先はそうとは限らない
POINT
小学生では学年暦のズレが中高生より効きます。学年が上がる時期が違うため、「何年生として受け入れられるか」が渡航先で変わるからです。
学校教育法施行規則第59条は「小学校の学年は、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる」と定めています。日本の学年は4月始まりで固定です。一方、渡航先の学年暦はこれと一致しません。 北半球の多くの国は8月下旬から9月に新学年が始まり、オーストラリアやニュージーランドなど南半球では1月下旬から2月に始まります。
この差が小学生で効くのは、学年配当が年齢を基準に決まることが多いからです。日本の4月1日を基準にした学年と、現地の基準日で決まる学年がずれると、日本での学年と現地での学年が1学年ずれることがあります。 早生まれのお子さんではとくに起こりやすくなります。
学年暦の型と、親子留学で起きやすいこと(当サイトの整理)
| 学年の始まり | 主な地域の例 | 起きやすいこと |
|---|---|---|
| 4月 | 日本 | 基準(施行規則第59条) |
| 8〜9月 | 北米・欧州など | 日本の学年の途中で新学年に入る。1年滞在すると日本の2学年にまたがる |
| 1〜2月 | オーストラリア・ニュージーランドなど | 日本の学年末に新学年が始まる。短期なら学期の区切りに合わせやすい |
実務としては、渡航先で何年生に入るかは受け入れ校が決めるため、出発前に確認しておくことになります。日本と同じ学年でなくても、それ自体が問題になるわけではありません。問題になるのは、帰国後にどの学年へ入るかを別途決める必要があることです。
そこで、学年暦については出発前に3つを数字で押さえておいてください。①渡航先の新学年が始まる月(受け入れ校に確認)②現地で入る学年(日本での学年と一致するか、ずれるなら何学年か)③帰国予定月が日本の学年のどこにあたるか(施行規則第59条により4月1日〜3月31日)。この3つが揃うと、「日本の何年生の途中から出て、何年生の途中に戻るか」が1行で書けます。 在籍校と教育委員会への相談は、この1行を持っていくと具体的な回答が得られます。
とくに南半球へ1年滞在する場合は注意が要ります。現地の学年が1〜2月に始まるため、日本の学年末に現地の新学年が始まり、日本側では2学年にまたがる形になりやすいためです。学期の区切りを合わせたい場合は、渡航月を1〜2か月ずらせないかを検討する価値があります。
現地で日本の教育をどう補うか — 在外教育施設の3種類
POINT
現地校やインターナショナルスクールに通わせる場合、日本語と日本の教科をどう維持するかが小学生では課題になります。公的な受け皿があります。
文部科学省は在外教育施設を「海外に在留する日本人の子供のために、学校教育法…に規定する学校における教育に準じた教育を実施することを主たる目的として海外に設置された教育施設」と定義し、日本人学校・補習授業校・私立在外教育施設の3種類に分けています。
在外教育施設の3種類(文部科学省「在外教育施設の概要」より。校数は同ページ記載の基準日時点)
| 種類 | 内容 | 規模 |
|---|---|---|
| 日本人学校 | 国内の小学校・中学校・高等学校における教育と同等の教育を行う全日制の教育施設。文部科学大臣から国内の学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けている | 令和6年4月15日現在、49カ国・1地域に94校(約1万6千人) |
| 補習授業校 | 現地の学校や国際学校(インターナショナルスクール)等に通う日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して国内の小学校・中学校の一部の教科を日本語で授業する。国内で使用されている教科書を用いる | 令和6年7月1日現在、51カ国・1地域に242校(令和6年4月15日時点で約2万1千人) |
| 私立在外教育施設 | 国内の学校法人等が母体となり海外に設置した全日制の教育施設 | 令和6年4月15日現在、世界に6校 |
小学生の親子留学で現実的な選択になりやすいのは、現地校またはインターナショナルスクールに通いながら、補習授業校で日本の教科を補う組み合わせです。補習授業校が242校あるのに対し日本人学校は94校で、設置されている都市が限られるためです。行き先を検討する段階で、その都市に補習授業校があるかを確認しておくと選択肢が具体的になります。
なお、日本人学校に通わせる場合は文部科学大臣の認定により国内の学校と同等の教育課程とされている点が効きます。現在の設置状況は年度で変わるため、最新の一覧は文部科学省の公表資料でご確認ください。
なお、夏休みに行く場合は学年暦の重なり方がとくに効きます。 日本の7〜8月は北半球では学年の切れ目にあたるため現地校の通常授業には入れず、南半球では学期の途中になります。時期の決め方は夏休みの親子留学で整理しています。
期間別の現実解 — 何を確認してから決めるか
POINT
期間が決まると必要な手続きが決まります。逆にいえば、期間を先に決めてしまうと手続きが後から効いてきて、変更が難しくなります。
- 1在籍校(担任・教頭)に相談する:滞在の見込み期間を伝え、在籍を残す場合の扱いと、帰国後の学年について学校としての考え方を聞く。ここが最初です。
- 2市区町村の教育委員会(学務・学事担当)に相談する:学校の判断と教育委員会の運用が食い違うことがあるため、両方に確認します。区域外就学(学校教育法施行令第9条)の扱いもここで聞けます。
- 3住民票をどうするかを決める:①②の回答をふまえて、住民票を残すか海外転出届を出すかを決めます。就学義務は住民票に連動するため、この決定が学校の扱いを確定させます。詳しくは親子留学とは。
- 4費用を計算し直す:住民票を残すか抜くかで、日本側で止まらない費用が変わります。計算の順序は親子留学の費用にまとめています。
- 5渡航先の受け入れ校に学年を確認する:現地で何年生に入るかを確認します。補習授業校の有無もこの段階で調べておきます。
- 6期間と渡航時期を確定する:①〜⑤をふまえて、学期の区切りに合わせられるかを検討します。日本の学年は4月始まり(施行規則第59条)なので、区切りが合う時期は渡航先によって変わります。
この順序の要点は、①②を先に済ませることです。学校と教育委員会の回答しだいで、現実的な期間が変わることがあるからです。行き先を先に決めてしまうと、後から期間を縮めることになりかねません。
なお、父(配偶者)が日本に残る形をとる場合は、住民票のほかに税・手当・保険が人ごとに別々に動きます。この点は母子留学で条文から整理しています。
帰国後にすること — 学年は自動では決まらない
POINT
帰国後の学年は、出発前に一番不安になる点でありながら、法令が答えを持っていない部分です。だからこそ出発前に聞いておく意味があります。
海外転出届を出していた場合、帰国して転入届を出すと住民基本台帳に載り、学齢簿が編製されます(施行令第1条)。そのうえで就学の手続きに進むことになります。住民票を残していた場合は在籍が続いているため、学校へ戻る形になります。
どの学年に入るかは、法令が定めていません。 年齢に応じた学年が原則になりますが、実際の判断は学校と教育委員会が行います。滞在中の学習状況が考慮されることもあります。出発前に「1年滞在したら帰国後は何年生になるか」を確認しておくと、期間の設計そのものが変わることがあります。
手続きの面では、滞在先の学校が発行する在学の証明や成績の記録が求められるのが一般的です。発行に時間がかかることがあるため、帰国前に依頼しておいてください。 また日本側では、学校教育法施行規則第24条により指導要録が引き継がれます。転学の際に写しが転学先の校長へ送付される仕組みになっているためです。
必要書類の名称や様式は自治体によって異なります。 帰国先が出発前の住所と違う場合はとくに、転入先の教育委員会に早めに確認してください。
住民票の扱いで費用がどれだけ変わるかを試算する
小学生の親子留学では、住民票を残すか抜くかで日本側に残る費用が変わります。渡航先の費用だけでなく、日本で止まらない分も含めて計算してみてください。
まとめ:休学を探すのをやめて、住民票と学校の判断から決める
小学生の親子留学でまず外してほしい前提は、「休学」を探すことです。小学校は義務教育で、学校教育法第16条・第17条第1項が保護者の就学させる義務として構成しているため、休学の制度がありません。法令が用意している猶予・免除(第18条)は「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者」が対象で、親子留学は通常あたりません。
実務を決めているのは住民票です。学校教育法施行令第1条第2項が、学齢簿の編製を「当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なう」と定めているため、海外転出届を出せば学齢簿から外れ、住民票を残せば就学義務が続きます。 この一点が、在籍の扱いも帰国後の手続きも分けます。
進級については、学校教育法施行規則第57条第1項が「児童の平素の成績を評価して」定めるとしており、出席日数は法定の要件ではありません。 そのため扱いが学校ごとに違ってきます。「何日休んだら留年か」という基準を探しても見つからないのは、そこが定められていないからです。在籍校と教育委員会に確認するしかないという結論になりますが、確認すべき内容がはっきりしていれば相談は早く済みます。
順序としては、①在籍校に相談 →②教育委員会に相談 →③住民票を決める →④費用を計算し直す →⑤渡航先の学年を確認 →⑥期間と時期を確定が実務的です。①②を先に置くのが要点で、回答しだいで現実的な期間が変わります。現地での日本の教科は、補習授業校(令和6年7月1日現在で51カ国・1地域に242校)で補う形が選択肢になります。
最後に、目的が「英語に触れさせること」だけであれば、小学生のうちに家族で渡航する必要があるかを一度考えてみてください。 国内でも数日から2週間で英語中心の環境に入るプログラムがあります(イングリッシュキャンプとは)。より長い期間を国内で過ごす選択肢は国内留学、お子さんが中学生に近い年齢なら中学生の留学も比較の対象になります。手続き全体の設計は親子留学とは、費用は親子留学の費用をご覧ください。
Q.小学生の親子留学で、学校は休学扱いにしてもらえますか。
小学校に「休学」の制度はありません。 学校教育法第16条は保護者が子に九年の普通教育を受けさせる義務を負うと定め、第17条第1項が満6歳に達した日の翌日以後の最初の学年の初めから満12歳に達した日の属する学年の終わりまで小学校等に就学させる義務を負うと定めています。義務として構成されているため、高校のように在籍を保ったまま一時的に止める制度がありません。法令が用意しているのは学校教育法第18条の就学義務の猶予・免除だけですが、これは「病弱、発育不完全その他やむを得ない事由のため、就学困難と認められる者」が対象で、保護者の意思による海外滞在は性質が異なります。実務では休学ではなく、住民票を残すか海外転出届を出すかで整理することになります。在籍中の具体的な扱いは法令に定めがないため、在籍校と市区町村の教育委員会にご確認ください。
Q.住民票を残したまま、海外の学校に通わせても問題ありませんか。
住民票を残すと、就学義務が続いたままになります。 学校教育法施行令第1条第1項は市町村教育委員会に「当該市町村の区域内に住所を有する学齢児童…について学齢簿を編製しなければならない」と定め、同条第2項が「学齢簿の編製は、当該市町村の住民基本台帳に基づいて行なうものとする」としているためです。住民票が残っていれば学齢簿にも残り、在籍が続きます。この状態で登校しない期間をどう記録するかについて、法令に定めはありません。 学校教育法施行規則第25条は校長が出席簿を作成すると定めるだけで、海外滞在中の扱いまでは書かれていないためです。したがって学校と教育委員会の判断になります。問題があるかどうかではなく、扱いを事前に決めておく必要があるとお考えください。
Q.1年間海外にいたら、帰国後は1学年下がりますか。
法令に定めがないため、一律の答えはありません。 学校教育法施行規則第57条第1項は「各学年の課程の修了又は卒業を認めるに当たつては、児童の平素の成績を評価して、これを定めなければならない」と定めており、出席日数を進級の要件にしていません。 つまり進級の可否は校長が成績を評価して判断することになり、学校によって扱いが分かれます。帰国後にどの学年へ入るかも同様で、年齢に応じた学年が原則になりますが、実際の判断は学校と教育委員会が行います。「1年滞在したら帰国後は何年生になるか」は出発前に必ず確認してください。 回答しだいでは、渡航の期間や時期そのものを見直したほうがよい場合があります。
Q.出席日数が足りないと進級できないのではないですか。
小学校では、出席日数が法定の進級要件になっていません。 高校は単位数と履修時数で認定が動きますが、小学校について学校教育法施行規則第57条第1項が定めているのは「児童の平素の成績を評価して」修了・卒業を認めるという点だけです。卒業も第58条が「校長は、小学校の全課程を修了したと認めた者には、卒業証書を授与しなければならない」と定めるのみで、日数の基準はありません。「何日休むと留年するか」という基準を探しても見つからないのは、そこが定められていないからです。 なお同条第2項には欠席中の学習の成果を考慮できる旨の規定がありますが、これは「学校生活への適応が困難であるため」欠席した児童を想定した規定で、親子留学に直接あたるものではありません。 この条文を根拠に主張することはできないとお考えください。
Q.1〜2週間の短期でも、学校への届け出は必要ですか。
授業日にかかるなら、まず在籍校にご相談ください。 長期休暇中に収まるのであれば在籍に影響しませんが、授業日を含む場合は欠席の扱いが生じます。ただし短期の場合の届け出の要否や様式は自治体・学校によって異なるため、必要かどうかを一律には申し上げられません。 住民票については、短期であれば通常は残したままになります。海外転出届は長期の滞在を前提とした手続きだからです。住民票を残す判断そのものについては親子留学とはで整理しています。なお短期であっても、滞在中の学習をどう続けるかを担任と共有しておくと、帰国後の復帰がスムーズになります。
Q.日本人学校と補習授業校は、どちらを選べばよいですか。
通い方が根本的に違います。 文部科学省の説明では、日本人学校は「国内の小学校、中学校又は高等学校における教育と同等の教育を行うことを目的とする、全日制の教育施設」で、文部科学大臣から国内の学校と同等の教育課程を有する旨の認定を受けています。一方、補習授業校は「現地の学校や国際学校…等に通学している日本人の子どもに対し、土曜日や放課後などを利用して国内の小学校又は中学校の一部の教科について日本語で授業を行う教育施設」で、国内で使用されている教科書を用います。つまり日本人学校は「日本の学校に通う」、補習授業校は「現地校に通いながら日本の教科を補う」という関係です。選択の前提として設置状況が効きます。日本人学校は令和6年4月15日現在で49カ国・1地域に94校、補習授業校は令和6年7月1日現在で51カ国・1地域に242校と数に差があるため、渡航先の都市にどちらがあるかで実質的に決まることも少なくありません。最新の設置状況は文部科学省の公表資料でご確認ください。








