このページの要点

日本の高校からは一般に修能ではなく外国人選考で出願し、合否は主に書類、入学後の履修や専攻進入は韓国語の級が関わります。

  • 出願資格は、本人と父母がともに外国籍であること。延世大・ソウル大・高麗大の要項はいずれも、本人か父母のどちらかが韓国籍を持つ場合は外国人選考に出願できないとしています。延世大は日本国籍の出願者に、本人と父母の関係を示す書類として戸籍謄本(全部事項証明書)を求め、住民票は認めていません。
  • 日本の3月卒業が春入学とぶつかる。ソウル大の2027年春入学は2027年2月28日までに卒業している必要があり、日本の例外規定はありません。延世大は日本の高校に限り2027年3月までの卒業を認めています。大学ごとに、現役で春入学を狙えるかが変わります。
  • TOPIKは出願より入学後に効く。高麗大の2026学年度の要項では、TOPIK5級以上なら専攻科目の履修制限なし、4級は1学期の韓国語集中と専攻6単位まで、3級以下は2学期の集中で専攻科目を履修できません。

韓国の大学への正規進学(学位取得)は、韓国の高校生が受ける大学修学能力試験(修能)ではなく、外国人向けの特別選考で出願するのが一般的です。延世大・ソウル大の要項では、提出書類をもとに合否を決めます(延世大の医学系は人性面接をP/Fで追加、ソウル大の芸術・体育系は実技・面接が加わる場合あり)。ただし出願資格は国籍と卒業時期で細かく決まっており、日本の高校の3月卒業では春入学に出願できない大学もあります。授業料は延世大で年約830万ウォン(人文社会系・2025年公示。100ウォン=10円なら約83万円)で、ビザのための残高証明も、延世大で2,200万ウォン、高麗大で2,000万ウォン以上が求められます。本記事は3校の募集要項、JASSO、韓国教育財団の公開情報だけで、保護者が確かめるべき条件を整理します。

本記事は、延世大学校(ソウルキャンパス)2027学年度 外国人選考の募集要項、ソウル大学校 2027学年度前期・2026学年度後期のグローバル人材特別選考の募集案内、高麗大学校(ソウル)2026学年度前期・後期の外国人特別選考の募集要項、韓国の大学情報公示サイト「大学アルリミ」の2025年授業料公示値(韓国・大学教育研究所の集計)、JASSO(日本学生支援機構)海外留学情報サイトの韓国ページ(2024年調査)、公益財団法人韓国教育財団のTOPIK・GKSのページを、当サイトが2026年9月29日に取得して整理したものです。韓国語の要項は当サイトが日本語に要約しており、原文の逐語訳ではありません。高麗大は2027学年度の要項を確認できなかったため、2026学年度の要項にもとづいています。要項は毎年改定されます。出願の前に、必ず各大学の最新の募集要項でご確認ください。円換算は「100ウォン=10円」と仮定した当サイトの概算です。

結論:3校の外国人選考を1枚で比べる

POINT

延世大・ソウル大・高麗大は、どれも外国人を定員とは別に、人数を細かく定めずに選び、主に書類で合否を決めます。違いが出るのは、日本の3月卒業で春入学に出願できるか、語学の条件、入学後にTOPIKで課される条件です。

この記事で延世大・ソウル大・高麗大を取り上げたのは、日本人からの検索が多く、外国人向けの募集要項を公開しているためで、推薦ではありません。ほかの大学は条件が異なります。「韓国の名門大学に日本人が入るには」という問いに、競争率の数字で答えることはできません。ソウル大は要項で、志願者数と競争率を公開しないと明記しています。延世大も、選考の評価内容は一切公開しないとしています。たとえば当サイトが精読した上位記事のうち1本(韓国留学エージェントの記事)が示していた合格率は、そのエージェントの利用者の集計でした。保護者が確実に比べられるのは、公開されている出願資格・日程・語学条件・費用のほうです。

3校の外国人選考の比較(春=3月入学。当サイトが各校の要項から整理)

項目延世大(2027春)ソウル大(2027春)高麗大(2026春の要項)
選考の名称外国人選考グローバル人材特別選考Ⅰ外国人特別選考
国籍の条件父母とも外国人。本人か父母が韓国籍との複数国籍なら不可本人と父母がともに外国籍本人と父母がともに外国人。一人でも韓国との二重国籍なら不可
卒業の期限2027年2月まで(日本の高校は2027年3月まで可)2027年2月28日まで(日本の例外なし)2026年2月まで+12年の正規課程を修了
語学の条件韓国語か英語の証明を1つ(医・歯・看護・薬はTOPIK5級以上など)TOPIK3級以上/韓国の大学の語学堂4級修了/TOEFL iBT80(2026年1月21日以降の受験は4.0)・IELTS6.0などTOPIK・指定の語学堂修了・TOEFL/IELTSなど。2027春からレベルテスト廃止
出願期間2026年9月1日〜9月17日2026年7月6日〜7月9日2025年8月4日〜9月1日
合格発表2026年12月4日2026年11月20日2025年11月28日
選考方法書類評価100%(医・歯・薬は面接をP/Fで追加)書類で総合評価(芸術・体育系は実技・面接の場合あり)書類評価100%(募集単位により面接・実技を併用する場合あり)
出願料200,000ウォン(医・歯・薬は230,000ウォン)70,000ウォン150,000ウォン(芸能系は200,000ウォン)
残高証明22,000,000ウォン以上募集案内に記載なし(合格後の案内で確認)2,000万ウォン以上
授業料(年・人文社会系)約830万ウォン約503万ウォン約760万ウォン

授業料は「大学アルリミ」の2025年公示値(年額・人文社会系の平均。韓国・大学教育研究所の集計)です。JASSOは、韓国の4年制の正規課程では「基本的に国籍関係なく韓国の学生と同じ金額の学費を支払います」としています。同じページは、2022年に一部の私立大学で留学生の学費の値上げが提議され、今後値上がりする可能性があるとも書いています。ただし延世大は、1年次に所属する学部(グローバル基礎教育学部)の授業料を納めると要項に書いており、学部・学科と入学年度で金額が変わります。実額は各大学の授業料ページで確認してください。

外国人選考とは:修能を受けず、書類で選ばれる仕組み

POINT

外国人選考は、韓国人の受験生とは別の入試です。修能は課されず、高校の成績・語学・活動の記録を書類で評価します。その代わり、国籍と学歴の条件が厳密に審査されます。

韓国の大学入試というと、韓国の高校生が受ける大学修学能力試験(修能)の厳しさがよく知られています。しかし外国人は、この試験を受けて入るわけではありません。3校の外国人選考の要項は、いずれも修能の成績を求めていません。ソウル大の要項は、提出書類をもとに学業能力、学科に関する適性、言語能力、学業と学業以外の活動を総合的に評価するとしています。延世大は、書類評価100%で学業の力・進路の力・共同体の力を総合評価するとしています。

定員の考え方も日本の大学とは違います。ソウル大は外国人を定員の外で選び、別途の募集人員を設けていません。高麗大も募集人員に制限を設けておらず、延世大は若干名です。つまり「何人の枠を奪い合う」入試ではなく、その大学で学べる力があるかを書類で判断される入試です。延世大は、大学で学ぶことが難しいと判断した場合は選抜しないことがある、とも書いています。

出願資格で最初に確かめる3点

  1. 1本人と父母の国籍。3校とも、本人と父母がともに外国籍であることが条件です。本人か父母のどちらかが韓国籍を持つ複数国籍の場合、外国人選考には出願できません。さらに3校とも、父母と本人が、韓国の高校課程にあたる教育(日本では高1)を始める前に外国籍を取得していることを条件にしています。高校在学中に帰化や国籍の変更をした場合は、外国人選考の対象外です。以前に韓国籍を持っていた場合は、離脱・喪失の事実が記載された証明書が必要で、延世大・高麗大は届出の受付証を認めていません。JASSOも、一部の大学では「本人および両親が韓国籍を有しないことを条件としています」と書いています。
  2. 2国籍と家族関係を証明する書類。延世大は、本人と父母のパスポートの写しに加え、日本国籍の出願者には本人と父母の関係を示す書類として戸籍謄本(全部事項証明書)を求め、住民票は認めないと明記しています。高校の卒業証明・成績証明などの学歴書類は、アポスティーユ(外国で公文書として通用させるための証明)か韓国領事の確認を受けて提出します。延世大の要項の手順では、国公立学校の証明書(公文書)はそのままアポスティーユを申請できますが、私立学校の証明書(私文書)は先に公証役場で公証を受けてからアポスティーユになります。韓国語か英語で発行されていない証明書は、翻訳の公証を受けたうえでアポスティーユなどを付ける必要があり、英文での発行を学校に早めに頼んでおくと手続きが楽になります。延世大の要項では、合格後にビザ用に出す学歴書類は、日本のようなアポスティーユ条約の加盟国ならアポスティーユのみで、領事確認は認められません。
  3. 3学歴の中身。3校とも、高卒認定などの検定試験、ホームスクーリング、オンライン学習(サイバー学習)による学歴を認めていません。高麗大は、小学校から高校まで12年の正規課程を修了していることを条件にしています。延世大は、全日制と通信制など複数の課程を置く高校の出身者に、実際に履修した課程を確認できる書類を追加で求めています。

ご家族に韓国籍の方がいる場合:父母のどちらかが現在も韓国籍を持っている場合、3校の要項では外国人選考に出願できません。一方で、海外での就学・居住歴などを条件とする「在外国民特別選考」という別の選考があります。なお、韓国籍を離れて日本国籍を取得した場合でも、その時期が本人の高校課程の開始より後であれば外国人選考には出願できません。延世大は、外国人選考とは別に在外国民選考の募集要項を出しています。ソウル大にも、小学校から高校までの全課程を外国で修了した在外国民・外国人を対象とする「グローバル人材特別選考Ⅱ」があります。どちらに出願できるかは家族の国籍と就学歴で変わるため、必ず志望校の入学処に書面で確認してください。

日本の3月卒業と韓国の春入学:現役で出願できる大学は限られる

POINT

韓国の大学は3月入学(前期)が中心で、出願は前年の夏〜秋です。ところが卒業の期限を2月末に置く大学があり、日本の高校の3月卒業では現役で春入学に出願できない場合があります。

当サイトが精読した上位の解説記事4本はいずれも触れていませんでしたが、日程を組むうえで最初に確かめるべき点です。ソウル大の2027年春入学は、2027年2月28日までに学歴と国籍の要件をすべて満たしている人が対象で、日本の高校についての例外は書かれていません。日本の高校の卒業式は多くが3月なので、高3の秋に出願して翌3月に入学する、という日本の大学と同じ流れは取れないことになります。高麗大も、2026学年度の春入学の要項で、2026年2月までに高校を卒業できることを条件にしていました。

一方で延世大の2027年の要項は、卒業予定者は2027年2月までに卒業としつつ、日本の高校の卒業予定者に限り2027年3月までの卒業を認めています。ビザに必要な書類でも、日本の高校を修了して3月に卒業証明書を受け取る日本国籍の新入生は、卒業予定証明書で手続きし、開講日から8週間以内に卒業証明書を補うという例外を設けています(補えない場合はビザの取消と出国命令になると明記)。日本人の現役生を受け入れる前提の要項かどうかは大学ごとに違う、ということです。

高3の家庭が取れる日程の型(各校の要項の日程から当サイトが整理)

型出願の時期入学向いている家庭
① 現役で春入学(延世大など日本の3月卒業を認める大学)高3の9月卒業直後の3月高3の夏までに語学の証明をそろえられる
② 卒業直後に出願し秋入学(ソウル大・高麗大の後期)高3の3月(ソウル大は3月3日〜5日)同じ年の9月出願の級は高3の冬までにそろえ、春〜夏を入学後に備える期間にしたい。日本の大学との二重学籍に注意。高麗大の医・看護は春入学のみ
③ 1年あけて翌年の春入学卒業した年の夏〜秋翌年3月語学の級を上げてから、複数校を並べて出願したい

②の秋入学は、ソウル大の2026年後期の要項では出願が2026年3月3日〜5日、合格発表が6月26日、卒業の期限が8月31日でした。高麗大の2026年後期も、出願が3月2日から、合格発表が6月12日、卒業は8月までです。日本の卒業とほぼ同時に出願が始まるので、書類(卒業見込みの証明、成績証明、戸籍謄本、アポスティーユ)は高3の2月までに用意しておく必要があります。日程は毎年変わるため、志望校の最新の要項で必ず確認してください。

TOPIKは「出願のため」と「入学後のため」の2段階で考える

POINT

出願時の級は、定めていない大学(延世大の多くの学部・高麗大)から、3級以上(ソウル大)、5級以上(延世大の医学系など)まで幅があります。しかし実際の差は入学後に出ます。高麗大などでは、TOPIKの級によって1年目に韓国語の集中授業が課され、専攻の授業を取れる単位が制限されるからです。

出願時の語学条件は、大学ごとにかなり違います。ソウル大は公認語学成績ならTOPIK3級以上か、韓国の大学の語学堂4級修了、または英語(TOEFL iBT80、2026年1月21日以降の受験は新スコアで4.0。IELTS6.0など)で、ほかに韓国語か英語の成績が載った標準学力試験の結果などでも出願できます。延世大は医・歯・看護・薬学を除く学部で、韓国語か英語の能力を示す書類を1つ出せばよく、TOPIKの級を一律には定めていません。ただし医学・歯学・看護・薬学はTOPIK5級以上か延世大の韓国語学堂5級以上の修了が必要です。「TOPIK◯級あれば出願できる」と一言で言えないのはこのためです。

保護者が重く見るべきなのは、入学後に課される条件のほうです。ソウル大は、合格者のうち対象者に独自の韓国語能力評価試験を課し、結果によって学科ごとに履修できる科目が制限される場合があるとしています。高麗大の2026学年度の要項には、入学時の韓国語の級に応じて、次のような義務と制限が書かれています。

高麗大:入学時の韓国語の級と、入学後の履修(2026学年度前期の要項)

入学時の級(TOPIKなど)韓国語の集中授業専攻科目の履修
5級以上免除制限なし
4級1学期、必修学期ごとに専攻6単位まで(教養を含め計19単位まで)
(例外)学科によっては英語能力が優秀な学生を免除同左
3級以下2学期、必修専攻科目は履修できない(教養で計19単位まで)

延世大も、外国人選考で入学した学生に専攻に進むまでにTOPIK3級以上(体育系を除く)、卒業までにTOPIK4級以上を求めています(2027学年度入学生の基準。延世大韓国語学堂の指定課程などで代替可)。延世大の2027年度の新入生は、原則として1年目を国際キャンパス(仁川市松島)で過ごします。外国人新入生は、医・歯・看護・薬学を除き、1年目はグローバル基礎教育学部に所属し、韓国語と教養を学んでから専攻に進みます。つまり入学時の級が低いと、1年目の多くを韓国語に使うことになり、卒業が遅れたり、希望の専攻に進めなかったりするリスクがあります。「出願できる級」ではなく「入学後に困らない級」を目標にしてください。

日本で受けられるTOPIKと、出願締切の噛み合わせ

日本国内のTOPIKは、2026年度は年3回です(韓国教育財団)。問題は試験から成績発表までに約5〜8週間かかることで、出願締切に間に合う回は限られます。成績証明書の有効期限は2年です。高1の夏に取った成績は、高3の秋の出願時には期限が切れている場合があります。

2026年度の日本でのTOPIKと、2027年春入学の出願への間に合い方(当サイトが日程を照合)

回試験日申請期間(日本)成績発表間に合う出願の例
第105回4月12日1月9日〜1月23日5月29日延世大 春(締切9月17日)。ソウル大 春(締切7月9日)にも間に合うが、ソウル大の春は2月末卒業が条件のため、現役生は対象外
第107回7月5日4月13日〜4月27日8月13日延世大 春(締切9月17日)。ソウル大 春には間に合わない
第108回10月18日7月6日〜7月21日12月10日2027年春の出願には間に合わない。秋入学(翌年3月出願)向け

日本のTOPIKは申請期間が約2週間と短いのが特徴です。申請の締切は試験日の2か月以上前に来ます。高3の夏に受けるなら、申請は高3の4月です。第104回・第106回・第109回は韓国で実施されます。日程は年度ごとに変わるため、韓国教育財団のTOPIK公式サイトで最新の日程を確認してください。

韓国に絞る前に、お子さんに合う進路の型を確かめる

韓国の大学は、語学の準備期間と入学時期の組み方が英語圏と大きく違います。海外大学・国内大学を含めて、どの進路の型が合うかを先に整理しておくと、韓国を選ぶ理由がはっきりします。

費用:授業料は私立で年760万〜830万ウォン、生活費はソウルで大きく動く

POINT

韓国の大学の授業料は、延世大・高麗大で年760万〜830万ウォン(人文社会系)。国立のソウル大は約500万ウォンです。これに家賃と保険を足すと、年1,300万〜1,700万ウォン規模になります。

JASSOは「2023年の平均学費は大学で約678万ウォン、専門大学で約596万ウォンでした」としています。年度は異なりますが、大学別に見ると差は大きく、2025年の公示値(年額)では延世大の平均が約944万ウォン、高麗大が約881万ウォン、ソウル大が約606万ウォンでした。同じ大学でも系列で差があり、延世大は人文社会系が約830万ウォン、工学系が約1,032万ウォン、医学系が約1,271万ウォンです。ソウル大の要項に載っている新入学期の登録金(2026学年度基準)は、人文系が1学期2,442,000ウォン、工学系が2,998,000ウォンです。公示値は系列ごとの学科平均なので、学科ごとの実額とは少し異なります。

年間の主な費用の試算(人文社会系・ソウルでワンルーム暮らしの場合。当サイトの計算。延世大の列は新村キャンパスで学ぶ2年次以降の目安)

費目延世大高麗大ソウル大根拠
授業料(年)8,304,000ウォン7,603,000ウォン5,030,000ウォン大学アルリミ2025公示・人文社会系(延世大の1年目はグローバル基礎教育学部の授業料で、別額)
家賃+管理費(年)7,752,000ウォン7,752,000ウォン7,752,000ウォンJASSO:大学付近ワンルーム 家賃57万4000+管理費7万2000ウォン×12か月
健康保険(年)660,000ウォン660,000ウォン660,000ウォンJASSO:月11万ウォン、D-2は半額=5.5万ウォン×12か月
合計16,716,000ウォン16,015,000ウォン13,442,000ウォン—
円換算の目安約167万円約160万円約134万円100ウォン=10円と仮定

延世大の1年目は、原則として国際キャンパス(松島)でResidential College教育を受け、授業料もグローバル基礎教育学部のものを納めるため、この試算は当てはまりません。延世大の列は、専攻に進んで新村(ソウル)キャンパスで学ぶ場合の2年次以降の目安として見てください(専攻によっては2年次以降も国際キャンパスです)。また、この試算には食費・交通費・教材費・渡航費・出願料・保証金は入っていません。JASSOは、韓国では外食が一食1万ウォン近いと書いています。寮に入れば家賃は下がり、JASSOはソウル大の寮を2人1室で13万5千〜26万8500ウォンと紹介しています(月額か学期額かの記載はありません)。ワンルームは保証金(JASSOの例では1,000万ウォン)が別に必要で、退去時に戻る前提のお金ですが、初年度に用意する現金は増えます。また、この試算は1年分(単年度)で、授業料は毎年改定されるため、4年分を見積もるときは値上がりも見込んでください。

ビザの手続きでは、大学に残高証明を出す必要があります。延世大は学位課程の新入生に2,200万ウォン以上、高麗大は2,000万ウォン以上の残高証明を求めています。延世大の要項では、残高証明の発行日から30日以内にビザ申請までを終える必要があるため、ほかの書類を先に準備しておくよう書かれています。これは4年間の費用ではなく、ビザのための資金の証明です。ただし延世大は、この残高を韓国での在留許可期間中は維持するよう求めています。一時的に借りたお金で証明を取る、といった使い方はできないと考えてください。他国と費用を横並びで比べたいときは海外大学の費用が安い国、学費の総額の考え方は海外大学の学費は総額で比べるで整理しています。

韓国と他の国の総額を、同じ条件で並べてみる

授業料だけで比べると、生活費と年数の差を見落とします。国・年数・住まい方を変えながら総額を試算すると、韓国が「安い選択肢」かどうかをご家庭の条件で判断できます。

奨学金:韓国政府のGKS韓日枠と、大学の奨学金

POINT

日本人が韓国で学位を取るための韓国政府奨学金には、日本人専用の「GKS韓日教育交流協力事業」があります。学士・専門学士課程は15名と狭き門ですが、授業料と毎月の奨学金が出ます。

GKS(Global Korea Scholarship)は韓国政府の奨学金です。日本人向けには、韓日教育交流協力事業という日本人専用の枠があります。窓口は公益財団法人韓国教育財団で、2027年度の募集は学士・専門学士課程が15名、応募は2026年10月21日必着(郵送のみ)です。条件と支給内容は次のとおりです。

GKS韓日教育交流協力事業(学士課程・2027年度募集)の主な条件(韓国教育財団・JASSOの公開情報)

項目内容
国籍日本国籍。父母も外国籍であること(本人か父母が韓国籍の複数国籍なら応募不可)
学歴高校卒業者または卒業予定者。卒業予定者は2027年3月31日までに卒業証明書と最終成績証明書を提出
年齢25歳未満(2002年3月1日以降生まれ)
成績百分率で80%以上か上位20%以内、またはCGPA 2.64/4.0(2.80/4.3、3.23/5.0など)以上
韓国語TOPIK3級以上は優遇事項。5級未満の合格者は1年の韓国語研修で3級以上を取得すれば学位課程へ(学科によっては4級などが必要)。5級以上は研修免除
学業奨学金学位課程 月120万ウォン。韓国語研修中はJASSOの掲載では月113万ウォン(韓国教育財団の支給表とは区分の書き方が異なるため、募集要項で確認)
授業料・研修費授業料 1学期500万ウォン以内、韓国語研修費 年520万ウォン以内
その他往復航空券代(実費)。1次審査(窓口:韓国教育財団)は書類と面接(面接はオンラインで、言語は原則日本語)
入学との関係応募時に受入大学の入学許可書は不要で、入学手続きは奨学金の支給団体が行う(JASSO)。各大学の外国人選考とは別のルート

注意点は2つあります。1つ目は、GKSの受入大学は国立国際教育院が委託した大学(JASSOの掲載では57大学・専門大学)に限られ、どの大学・学科でも使えるわけではないことです。2つ目は、韓国の高校を卒業した人は応募できないことです。日本の高校から直接韓国の大学を目指す場合は、この条件には当てはまりません。大学が独自に出す外国人留学生向けの奨学金もありますが、対象・金額・継続条件は大学ごとに違い、要項の奨学金欄か入学処で確認が必要です。海外大学の給付型奨学金全般を比べたいときは海外大学の返済不要奨学金まとめも参考にしてください。

保護者が確認したい、入学後の生活と卒業後のこと

POINT

韓国は近くて行き来しやすい一方、学生ビザには在留の上限、アルバイトの制限、健康保険の加入義務があります。卒業後に韓国で就職する道は、数字で見るとまだ狭いのが実情です。

  • ビザ(D-2):合格後、大学が発行する「標準入学許可書」をもって、日本の韓国大使館・総領事館で留学ビザを申請します。延世大は、授業料の納付と原本書類の提出を終えた人にだけ標準入学許可書を発行するとしています。延世大の要項によれば、学士課程のD-2の在留上限は入学日から最大6年(休学期間を含む。5年制は7年)で、法務部の規定により変わりうるとしています。
  • アルバイト:JASSOによると、D-2の場合は一定のTOPIKの水準が求められ、ビザ発行から6か月以上たたなければアルバイトができず、入国管理局で資格外活動の許可を得る必要があります。違反すると出国を求められることがあります。アルバイトで生活費をまかなう前提の計画は立てないでください。
  • 健康保険:JASSOによると、韓国に6か月以上滞在する外国人は健康保険への加入が義務で、保険料は月11万ウォン、D-2は半額に減額されます。
  • 卒業後の就職:JASSOは「2022年の調査結果によると、外国人留学生の韓国国内就職率は16%にしか過ぎません」と書いています。韓国政府は留学生の就職を広げる方針を示していますが、韓国で働くことを前提に進学先を決めるのは慎重に。日本に戻って就職する道、日本の大学院に進む道も合わせて考えておくと安心です。

避けたい

「語学堂に1年通えば、どこかの大学には入れる」と考えて、出願資格を確かめないまま渡航する

こうすればOK

先に志望校の要項で、父母の国籍条件・卒業の期限・語学の条件を確かめる。語学堂は、その条件を満たすための手段として位置づける

避けたい

ソウル大の公認語学成績の基準(TOPIK3級)など、出願できる最低ラインを目標にする

こうすればOK

入学後の履修制限を見て、当サイトとしては5級を目標にすることをおすすめする。高麗大の2026学年度の要項では5級以上で専攻の履修制限がなくなる

避けたい

高1の夏に取ったTOPIKの成績で、高3の秋に出願しようとする

こうすればOK

成績の有効期限(2年)と出願締切から逆算し、高3の4月か7月の回で最新の成績を取っておく

避けたい

ネットの「合格率」「倍率」を見て志望校を決める

こうすればOK

ソウル大は志願者数と競争率を公開していない。比べられるのは出願資格・日程・語学条件・費用。数字の出どころ(どのエージェント・塾の利用者か)を確かめる

避けたい

残高証明の額を、4年間の費用の見積もりと考える

こうすればOK

残高証明はビザのための資金の証明。授業料・家賃・保険・食費を別に積み上げて、4年分の総額で判断する

日本の大学との併願:合格発表と入学金の時期がずれる

POINT

韓国の大学の春入学は、合格発表が11〜12月で、授業料の納付は延世大・高麗大で1月(ソウル大は12月〜2月中)です。日本の一般選抜の結果が出る前にお金を払う判断を迫られるため、併願の組み方を先に決めておく必要があります。

延世大の2027年春入学は、合格発表が2026年12月4日、授業料の納付が2027年1月中で、期間内に授業料の全額を納めなければ合格が取り消されます。一方、日本の一般選抜の合否が出るのは2月〜3月です。つまり「日本の大学の結果を見てから韓国に決める」ことは、延世大の春入学ではできません。日本の総合型選抜や学校推薦型選抜なら、年内に結果が出る場合もあります。

延世大は、同じ学期に入学する2つ以上の大学(教育大学・産業大学・専門大学を含む)に合格した場合、1つの大学にしか登録できず、二重登録なら合格・入学を取り消すとも書いています(要項は国内外の区別を明記していません)。ソウル大はさらに、国内外の2校以上に同時に授業料を納めた場合と、入学日までに国内外の他大学の学籍を整理していない場合(二重学籍)を、合格・入学の取消事由にしています。たとえばソウル大の秋入学を狙いながら、保険として4月に日本の大学に入学して授業料を納めておくと、この規定に触れるおそれがあります。韓国と日本の大学の併願では、どちらにいつお金を払うかの順番を、出願前に家族で決めておくことが大切です。日程の衝突と入学金の二重払いを避ける考え方は、海外大学と日本の大学の併願で詳しく扱っています。

韓国の大学進学が向いている家庭・向かない家庭

POINT

韓国の大学は、韓国語を学ぶこと自体に意欲があり、1〜2年の語学準備を受け入れられる家庭に向いています。英語で学位を取りたい、費用を大きく下げたいという目的なら、他の国と比べてから決めたほうが納得感があります。

向き・不向きの目安(当サイトの整理)

観点向いている慎重に考えたい
目的韓国語で専門分野を学びたい。韓国の社会や文化を仕事につなげたい英語で学位を取りたいだけ(英語圏や英語学位のある国も比べる)
語学の準備高1〜高2から韓国語を学び、高3で4〜5級を狙える高3から始める。1年目の多くを韓国語の授業に使う可能性が高い
費用授業料が私立で年760万〜830万ウォン(人文社会系)でも納得できる海外なら安いはずと考えている(国立のソウル大でも家賃を含めると年1,300万ウォン規模)
日程卒業後に半年〜1年の準備期間を取れる日本の大学と同じ時期に、現役で必ず入学したい
卒業後日本に戻る道、日本の大学院に進む道も考えている韓国での就職を前提にしている

海外大学そのものを検討している段階なら、海外大学進学の全体像と海外大学と国内大学どっち?で、国を決める前の判断軸を整理しておくと比べやすくなります。お子さんの希望に親として迷いがある場合は、海外大学に行きたい子に親が反対するときも参考にしてください。

高1からの逆算スケジュール(現役で春入学を狙う場合)

POINT

現役で春入学を狙うなら、TOPIKの成績は高3の7月の回までに取り、出願書類は高3の夏に仕上げます。そこから逆算すると、韓国語の学習は高1から始めるのが現実的です。

  1. 1高1:韓国語の学習を始める。夏休みなどに短期の語学研修を体験するのも一案。志望校の要項を読み、父母の国籍条件と卒業の期限を確認する。
  2. 2高2:TOPIKを受け始め、級の伸びを確認する(有効期限は2年なので、高1で取った成績や、1年あけて出願する場合の高2の成績は、出願時に切れていることがある)。高校の成績(評定)を落とさない。書類で評価されるため、成績証明が土台になる。
  3. 3高2の1月〜高3の4月:出願に使うTOPIKの申請(4月の回は1月、7月の回は4月に申請)。戸籍謄本・成績証明・卒業見込み証明の取り寄せと、アポスティーユの手順を確認する。
  4. 4高3の4月〜7月:TOPIKを受験。自己紹介書の下書き(ソウル大に秋入学で出願する場合は、自己紹介書兼修学計画書を韓国語か英語で、各項目4,000byte=韓国語で約2,000字以内)。推薦書が必要な大学は先生に依頼する。
  5. 5高3の9月:延世大などの出願。原本書類を期限までに郵送。
  6. 6高3の11月〜12月:合格発表。日本の大学との併願の判断。
  7. 7高3の1月〜2月:授業料の納付、残高証明の発行、標準入学許可書の取得、ビザ申請。

出願書類の考え方そのもの(成績証明の英訳、推薦書の依頼の仕方、スケジュールの立て方)は、国をまたいで共通する部分が多いので、海外大学の出願方法もあわせて確認してください。

まとめ:韓国の大学進学は「要項を読む順番」で決まる

日本の高校から韓国の大学に進学する場合、一般に修能ではなく外国人選考で出願し、主に書類で合否が決まります。ただし出願資格は細かく、本人と父母がともに外国籍であること、日本の3月卒業で春入学に出願できるかが大学ごとに違います。ソウル大の春入学は2月末までの卒業が条件で、延世大は日本の高校に限り3月までの卒業を認めています。

TOPIKは出願のためだけでなく、入学後の履修を左右します。高麗大の2026学年度の要項では5級以上で専攻の履修制限がなくなり、延世大は専攻に進むまでに3級、卒業までに4級を求めます。費用は授業料が年約500万〜830万ウォン(人文社会系)で、家賃と保険を足すと年1,300万〜1,700万ウォン規模、ビザのための残高証明は延世大で2,200万ウォン、高麗大で2,000万ウォン以上です。奨学金では、日本人専用のGKS韓日枠(学士・専門学士課程で計15名)があります。すべての条件は毎年改定されるため、出願の前に必ず各大学の最新の募集要項で確認してください。

当サイトは、本記事で取り上げた大学・団体と提携関係にありません。大学の推薦やランキングは行っていません。要項の内容は当サイトが2026年9月29日に取得した時点のもので、韓国語の要項は当サイトが日本語に要約しています。

よくある質問

Q.日本人でも、韓国の高校生と同じ修能を受けないと韓国の大学に入れませんか?

多くの場合、受ける必要はありません。延世大・ソウル大・高麗大の外国人向けの選考は、修能の成績を求めておらず、高校の成績・語学の証明・活動の記録などの書類で評価します(医学系や芸術・体育系は面接や実技が加わる場合があります)。詳しくは本文の「外国人選考とは」を参照してください。

Q.父親が韓国籍、母親が日本国籍です。外国人選考に出願できますか?

3校の要項では本人と父母がともに外国籍であることが条件のため、父親が現在も韓国籍なら外国人選考には出願できません(お子さんも韓国籍を持つ複数国籍である可能性があります)。海外での就学歴を条件とする在外国民特別選考など別の選考がありますが、対象かどうかは家族の国籍と就学歴で決まります。志望校の入学処に書面で確認してください。

Q.高3の秋に出願して、卒業後すぐの3月にソウル大に入学できますか?

2027年春入学の要項では、2027年2月28日までに卒業していることが条件で、日本の高校についての例外はありません。日本の3月卒業では現役での春入学は難しく、卒業直後の3月に出願する秋(9月)入学が現実的な選択肢になります。延世大は日本の高校に限り3月までの卒業を認めています。

Q.TOPIKは何級を目標にすればいいですか?

出願時の級は、定めていない大学(延世大の多くの学部・高麗大)から3級以上(ソウル大)、5級以上(延世大の医学系など)まで幅がありますが、当サイトとしては5級を目標にすることをおすすめします(入学後の条件から当サイトが導いた目安です)。高麗大の2026学年度の要項では、5級以上で専攻科目の履修制限がなく、4級は専攻6単位まで、3級以下は専攻科目を履修できません。延世大も卒業までに4級以上を求めています。

Q.韓国の大学の4年間で、費用はいくらかかりますか?

延世大の1年目はグローバル基礎教育学部の授業料(別額)を納めるため、4年間の総額を公表値だけで出すことはできません。2年次以降の授業料は人文社会系で年約830万ウォン(2025年公示値)で、2〜4年次の3年分で約2,500万ウォンが目安です。ソウル(新村キャンパス)でワンルームに住む場合、授業料・家賃・保険の合計は年約1,670万ウォン(100ウォン=10円で約167万円)で、食費・交通費・渡航費は別です。授業料は毎年改定されるため、値上がりも見込んで余裕を持って見積もってください。

Q.GKSの奨学金に合格すれば、希望の大学に必ず入れますか?

必ずではありません。GKS韓日枠で進学できるのは、国立国際教育院が委託した受入大学に限られます。また、TOPIK5級未満の合格者は1年間の韓国語研修のあとに学位課程へ進み、学科ごとの入学要件(TOPIK4級など)を満たせないと資格を失うおそれがあると、韓国教育財団は注意を促しています。