このページの要点
海外大学の学費が本当に安いのはアジアで、ヨーロッパの「安さ」はEU市民向けの数字である場合があります。
- 日本人には別の料金表が適用される国があります。 アイルランドのゴールウェイ大学は学部の学費がEU諸国の学生で6,000〜7,000ユーロ、それ以外の国の学生は20,000〜30,000ユーロ(JASSO・2025年調査)。同じ大学で3〜4倍の差です。
- 学費ゼロの国にも払うものは残ります。 ドイツはほとんどの国立大学が授業料無料ですが、共済費が学期あたり約130〜400ユーロ、生活費は月約800〜1,800ユーロかかります(同・2024年調査)。
- 学費だけならアジアが桁違いに安い。 ベトナムは大学の授業料が年5,000万〜1億ドン(約28万〜57万円)、台湾の国立大学は1学期あたり50,460〜62,100新台湾ドルです(同・2024年調査)。
「海外大学 費用 安い国」で調べると、たいてい同じ国名が同じ順番で並びます。しかし出典が書かれていないため、その数字が誰に適用されるものなのか、いつの調査なのかが分かりません。この記事では、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が運営する「海外留学情報サイト」の国・地域別ページを当サイトで全数走査し、学費と生活費を調査年つきで横並びにしました。対象は69の国・地域で、大学・大学院留学の詳細ページがあったのは34。その中身を読むと、通説とは違う姿が見えてきます。
本記事の金額は、JASSO「海外留学情報サイト」の国・地域別ページに掲載されている値を、当サイトが2026年8月6日に取得して整理したものです。調査年は国ごとに異なり(2024年調査と2025年調査が混在)、単純な横並び比較には限界があります。 各項目に調査年を併記しました。また、円換算はJASSOが自ら併記しているものだけを使い、それ以外は現地通貨のまま示しています(理由は「為替」の章で説明します)。出願前には必ず各大学の公式サイトで最新の学費をご確認ください。
結論:学費の安さと生活費の安さは一致しない
POINT
「安い国」を1つの軸で並べることはできません。学費が安い国、生活費が安い国、その両方が安い国は別物だからです。まずこの3つを分けて見てください。
JASSOの公表値を整理すると、費用の安い国は大きく3つのパターンに分かれます。①公的な補助で授業料そのものが低い国(ドイツ・オーストリア・イタリアの国立など)、②物価が低く生活費が抑えられる国(ベトナム・マレーシア・フィリピンなど)、③その両方が当てはまる国です。①だけを見て決めると、生活費で想定が崩れます。
学費が抑えられる主な国(JASSO「海外留学情報サイト」国・地域別ページより。カッコ内は同サイトの調査年)
| 国 | 学費(JASSO掲載値) | 生活費の目安 | 調査年 |
|---|---|---|---|
| ベトナム | 大学の授業料 年5,000万〜1億ドン(約28万〜57万円)。「世界的に見ても低い授業料」 | 物価は都市部でも日本の3分の1〜4分の1程度。寮 月110万〜500万ドン(6,000〜30,000円) | 2024 |
| 台湾 | 国立大学 50,460〜62,100新台湾ドル/学期、私立 48,370〜58,044、公立 45,700〜54,000 | 都市別の月平均支出額 台北28,550/台中23,267/台南19,536新台湾ドル。国立大の寮 1人部屋8,210新台湾ドル/月 | 2024 |
| マレーシア | 公立大学 学部4年間で10,000〜20,000米ドル程度/私立 6,000〜20,000米ドル/海外大学分校 3万〜4万米ドル(本校の半額以下) | 物価は日本の約3分の1〜2分の1。寮は2人相部屋 月約360リンギット、個室エアコン付 約1,700リンギット | 2024 |
| フィリピン | フィリピン大学ディリマン校 4,662〜31,490ペソ/学期、リチェウム大学 50,000〜60,000ペソ/学期 | 寮(アテネオ・デ・マニラ大学)8,000〜19,000ペソ/月 | 2024 |
| ドイツ | ほとんどの国立大学が学士〜博士まで授業料無料。ただしバーデン=ヴュルテンベルク州は非EU圏の留学生に1学期1,500ユーロ。共済費が学期あたり約130〜400ユーロ | 月約800〜1,800ユーロ。家賃は民間のフラットシェアで253〜720ユーロ(ミュンヘン720/ベルリン640) | 2024 |
| ハンガリー | ペーチ大学(学士)経営学5,500ユーロ・心理学7,800ユーロ・生物学5,000ユーロ。「5,000〜8,000ユーロ(約80万〜120万円)の間が一般的」 | 「最低でも月額250,000フォリント(約10万円)」。寮は主要都市 月約35,000フォリント | 2025 |
| イタリア(国立) | 年額500ユーロ(サッサリ大学・外国人学生向け措置適用後)〜2,700ユーロ(ミラノ大学・同)。私立は7,250〜18,000ユーロ | 食費 月平均265〜360ユーロ、光熱費 月118ユーロ程度 | 2024 |
| オーストリア | 公立大学に通うEU加盟国以外の留学生は毎学期726.72ユーロ | 家賃 約450ユーロ、食費 月約350ユーロ | 2024 |
比較のために、費用が高い側の国も同じ出典で並べておきます。アメリカの数字は「州内学生」の平均であり、JASSOは「州外学生(留学生を含む)はこの2〜3倍が目安になります」と注記しています。ここを読み飛ばすと桁を間違えます。
比較のための主要国(同・JASSO国・地域別ページ)
| 国 | 学費(JASSO掲載値) | 調査年 |
|---|---|---|
| アメリカ | 州内学生の学部1学年(2023-24年度)の平均=公立2年制3,990ドル/公立4年制29,150ドル/私立4年制41,540ドル。州外学生(留学生を含む)はこの2〜3倍が目安 | 2024 |
| イギリス | 例:アバディーン大学 法学20,800ポンド/年、サウサンプトン大学 音響工学27,400ポンド、バークベック ビジネス13,215ポンド | 2024 |
| オーストラリア | 学士課程 20,000〜45,000豪ドル/年 | 2024 |
| カナダ | カナダ統計局によれば学部留学生の平均 年36,100カナダドル(2022年) | 2024 |
| ニュージーランド | 学士課程 年およそ2万〜4万ドル。生活費は都市部で年20,000〜27,000ドル、ダニーデンで18,000〜21,000ドル | 2024 |
| オランダ | EU/EEA加盟国以外の学生の学士課程 平均9,000〜20,000ユーロ | 2024 |
| スウェーデン | EU・EEA・スイス以外の留学生 学士/修士 約80,000〜295,000クローナ/年(社会科学・人文80,000〜110,000/工学・自然科学120,000〜145,000/建築・デザイン190,000〜295,000)。博士課程は無料 | 2024 |
なお、ここに挙げたのは学費(および生活費)そのものです。渡航費・保険・ビザ関連費まで含めた総額の考え方は海外大学の学費ガイドにまとめています。同じ国でも「学費だけの数字」と「年間総額の数字」は当然違うので、比べるときは何が含まれているかを揃えてください。とくに生活費は幅が大きく、どの水準を採るかで年間総額が100万円単位で動きます。ドイツの月800〜1,800ユーロという幅は、年額に直すと2倍以上の開きになります。他の記事やパンフレットの「年間◯◯万円」を見るときは、生活費をいくらで見積もった数字なのかを必ず確認してください。
最大の落とし穴:ヨーロッパの「安い学費」はEU市民向けの数字かもしれない
POINT
この章だけでも持ち帰ってください。ヨーロッパの多くの国は、EU/EEA市民とそれ以外で学費が二重になっています。日本人は必ず「それ以外」の側です。
「ヨーロッパの大学は学費が安い」という説明は、半分は正しく半分は誤解を招きます。JASSOの公表値を国別に読むと、同じ大学の同じ学部でも、EU諸国の学生と日本人とで学費が数倍違う例が並んでいるからです。
EU/EEA市民と、それ以外(日本人が該当)の学費の差(JASSO国・地域別ページより)
| 国・大学 | EU/EEA市民 | それ以外(日本人) | 差 | 調査年 |
|---|---|---|---|---|
| アイルランド・ゴールウェイ大学(学部) | 6,000〜7,000ユーロ | 20,000〜30,000ユーロ | 約3〜4倍 | 2025 |
| アイルランド・ダブリンシティ大学 | 約6,000ユーロ(100万円弱) | 15,000ユーロ(200万円強) | 約2.5倍 | 2025 |
| ベルギー・ワロン‐ブリュッセル地域 | 年835ユーロ | 年2,505ユーロ(2023-2024) | 約3倍 | 2024 |
| ベルギー・フランダース地域 | 979.60ユーロ | 979.60〜8,000ユーロ(プログラムによる) | 最大約8倍 | 2024 |
| チェコ・カレル大学理学部(学士「科学」) | 2,500ユーロ(EU/EEA/ウクライナ出身) | 5,000ユーロ | 2倍 | 2025 |
| オーストリア・公立大学 | (EU加盟国の学生は原則対象外) | 毎学期726.72ユーロ | — | 2024 |
ドイツが「授業料無料」で知られているのは、この二重価格を採っていない州が多いからです。ただしJASSOは「バーデン=ヴュルテンベルク州では非EU圏出身の留学生に1学期当たり1,500ユーロの授業料を課しています(博士課程を除く)」とも書いています。同じドイツでも州によって扱いが違うということです。
避けたい
「ヨーロッパは学費が安い」という記事の数字をそのまま予算に入れる
こうすればOK
大学の学費ページで「Non-EU」「International students」の欄を探す。EU市民向けの数字しか載っていない場合は、留学生向けの料金が別ページにあるか問い合わせる
避けたい
国単位で「安い・高い」を判断する
こうすればOK
州・地域・大学単位で確認する。ドイツは州で、ベルギーは地域(ワロン/フランダース)で、スペインは州が1単位あたりの費用を決めるなど、国の中で制度が分かれている
学費ゼロの国にも、払うものは残る
POINT
授業料が無料でも、大学に納めるお金がゼロになるわけではありません。そして生活費は、学費が無料かどうかとは無関係にかかります。
ドイツを例にすると、JASSOは3つの数字を併記しています。①ほとんどの国立大学は学士課程から博士課程まで授業料無料、②授業料とは別に共済費(Semesterbeitrag)を学期ごとに約130〜400ユーロ支払う必要がある、③生活費は月約800〜1,800ユーロ。共済費には市内交通のパスが含まれる場合が多い、とも書かれています。
つまり「学費ゼロ」の実態は「授業料はゼロだが、大学への納付金と生活費は必要」です。生活費の幅も見逃せません。月800ユーロと月1,800ユーロでは、年間で1万2,000ユーロの差が出ます。JASSOはドイツの物価を「全体に西高東低、そして南部の方がより高い傾向」とし、家賃の実例としてミュンヘン720ユーロ、ベルリン640ユーロ、ケルン550ユーロを挙げています。都市の選択が、学費より大きく総額を動かすことがあるということです。
同じ構造は他の国にもあります。フィンランドは学費が年8,000〜20,000ユーロですが、JASSOは「フィンランド移民局は、留学生が1ヶ月に最低限必要な生活費(所得要件)を800ユーロと定めています」と書いています。これは政府が定めた基準なので、生活費の下限として使える数字です。スウェーデンは出願料が900クローナ、ノルウェーはSemester Feeが約600〜1,000クローネ。小さな固定費は国ごとに名前も金額も違うので、募集要項の費用欄を最後まで読む必要があります。
候補国を絞る前に、総額の規模をつかむ
国・期間・留学タイプ・滞在方法から費用の目安を試算できます。学費だけでなく渡航費や滞在費を含めた全体像を先に把握しておくと、国ごとの比較がぶれません。
「無料の国」は変わる — 情報の鮮度をどう確かめるか
POINT
学費の制度は変わります。「学費無料の国」として何年も紹介され続けている国が、最新の公表値では留学生に授業料を課していることがあります。
分かりやすい例がノルウェーです。JASSOの2025年調査ページには、ノルウェー科学技術大学の修士課程について「人文・社会科学、経済・経営学専攻の場合、170,500ノルウェークローネ、医学、歯学、獣医学専攻の場合、510,600ノルウェークローネ」という年間授業料が示され、さらに「これらに加えSemester Feeとしておよそ600〜1,000ノルウェークローネの支払いが必要」とあります。北欧=学費無料というイメージだけで候補に入れると、見積もりが大きく狂います。
そこで重要になるのが情報の鮮度の確かめ方です。JASSOの国・地域別ページには、冒頭に「このページは20XX年に調査した内容を掲載しています」という一文が必ず入っています。当サイトが全数走査したところ、この調査年は国ごとにばらついており、2024年調査のページと2025年調査のページが混在していました。同じサイト内でも、比べている数字の時点が1年ずれていることがあるということです。
- 1JASSOなどの公的な情報源で全体像と相場感をつかむ(調査年を必ず確認する)。
- 2候補を3〜5か国に絞ったら、大学の公式サイトの学費ページで最新値を確認する。探すのは「Tuition fees」「International/Non-EU students」「Academic year 20XX/XX」の3語。
- 3募集要項の費用一覧を最後まで読む。出願料・登録料・学生組合費・保険料など、学費以外の固定費がここに載っている。
- 4大学に直接問い合わせて、日本国籍の学生に適用される料金であることを確認する。二重価格の国では、この一言があるかないかで見積もりが数倍変わる。
本記事の数値も同じ制約を受けます。JASSOの調査時点(各表に併記)から改定されている可能性があるため、出願を検討する段階では必ず各大学の公式サイトで最新の学費をご確認ください。制度・料金は毎年変わります。
34か国しか詳細ページがない、という事実の読み方
POINT
JASSOは69の国・地域を掲載していますが、大学・大学院留学の詳細ページがあるのは34でした。この差は、情報の集めやすさの差としてそのまま効いてきます。
当サイトがJASSO「海外留学情報サイト」の7地域(アフリカ・アジア・ヨーロッパ・中東・北米・オセアニア・中南米)から国・地域ページを列挙したところ、掲載は69の国・地域でした。そのうち大学・大学院留学の学費や受入条件をまとめた詳細ページが存在したのは34で、残りは概要や体験レポートのみです。
これは「残りの35か国に留学できない」という意味ではありません。ただし日本語で信頼できる基礎情報が整理されている国かどうかの差は、準備の負担に直結します。詳細ページがない国を選ぶ場合、学費・入学要件・ビザの情報は現地の言語で一次情報にあたることになります。費用が安い国ほど、日本語の情報が少ない傾向があるという現実は、予算とは別のコストとして見積もっておくべきです。
逆にいえば、詳細ページがある34か国は「日本人が実際に選んできた国」とおおむね重なります。費用を抑えたい場合、まずはこの34か国の中から探すほうが、情報収集の時間という見えないコストを抑えられます。
「安さ」の代償を4つの軸で検証する
POINT
費用が安いこと自体は目的ではありません。学位を取り、その先の進路につながるかどうかで判断します。確認すべき軸は4つです。
① 授業言語 — 英語で学位が取れるか
学費が安い国でも、学士課程が現地語で行われていれば選択肢になりません。JASSOはドイツについて「ドイツの大学では、多くの課程(とりわけ学士課程)でドイツ語で授業が行われるため、授業を理解して課題に取り組めるだけの十分なドイツ語力が求められます」と明記しています。中国についても「留学するには最低でもHSK4級は必要です」としています。「学費が安い国」=「英語で学べる国」ではありません。 ハンガリー・チェコのように英語プログラムを整備している国もあれば、その英語プログラムだけ料金が別に設定されている国もあります。
② 学位の通用性 — 認定と評価
取得した学位が、帰国後の就職や大学院進学で通用するかどうかは、費用より重要な論点です。マレーシアのようにイギリスなどの大学の学位を現地で取得できる仕組み(分校・ツイニング)がある国では、学位を出す大学がどこかで評価が変わります。JASSOはマレーシアの海外大学分校の学費を「3万〜4万米ドル程度で、本校の半額以下です」としています。この仕組みの中身はマレーシア大学留学ガイドで詳しく整理しています。
③ 卒業後の就労 — 現地に残れるか
卒業後に現地で働く可能性を残したいなら、就労ビザの制度を出願前に確認しておく必要があります。国によって卒業生向けの就労許可の有無・期間が大きく異なり、しかも改定が頻繁です。費用の安さと卒業後の選択肢の広さは、必ずしも比例しません。 ここは各国政府の移民当局の公式情報で、出願を検討する時点の制度を確認してください。
④ 為替 — 円建てで見た費用は動く
この記事で円換算をJASSOの併記分に限っているのは、為替が動くからです。学費が現地通貨建てである以上、円安が進めば、学費が1円も上がらなくても日本の家庭の負担は増えます。しかも影響は4年間続きます。だからこそ「今のレートで安い国」ではなく「学費の絶対額が小さい国」を選ぶほうが、為替変動の影響を受ける金額そのものが小さくなります。ベトナムやフィリピンのように学費の絶対額が小さい国は、この点でも有利です。
避けたい
「学費が安い国リスト」の上位から順に候補にする
こうすればOK
学びたい分野が英語で学べるかを先に絞り込む。授業言語で候補が半分以下になることが多く、そのあとで費用を比べたほうが早い
避けたい
今の為替レートで円換算した金額で家計を判断する
こうすればOK
現地通貨建ての学費の絶対額を見る。4年間で払う現地通貨の総額が小さいほど、為替が動いたときの振れ幅も小さい
避けたい
費用が安いことを理由に、日本語の情報がほとんどない国を選ぶ
こうすればOK
情報収集と手続きの負担も見えないコストとして見積もる。同程度の費用なら、日本語の基礎情報が整理されている国のほうが準備は進めやすい
わが家の予算から候補を絞る手順
POINT
国から入るとリストが長すぎて決まりません。予算の上限、授業言語、分野の順に絞ると、候補は自然に3〜5か国に収まります。
- 14年間(または3年間)で出せる総額の上限を決める。 学費だけでなく生活費・渡航費・保険まで含めた家計の上限です。ここが決まらないと比較の意味がありません。
- 2授業言語で絞る。 英語で学位が取れる国・プログラムに限定します。この時点で候補は大きく減ります。
- 3学びたい分野があるかで絞る。 費用の安い国でも、志望分野の英語プログラムがない大学は候補から外れます。
- 4残った候補について、大学公式で「留学生に適用される」学費を確認する。 EU/非EUの二重価格に注意します。
- 5生活費を都市単位で見積もる。 同じ国でも首都と地方都市で家賃が大きく違います(ドイツはミュンヘン720ユーロ/ケルン550ユーロ、台湾は台北28,550/台南19,536新台湾ドルなど・JASSO掲載値)。
- 6返済不要の奨学金を重ねられるか確認する。 自己負担は国の選択だけでなく給付でも下がります。制度の一覧と申込みの順番は海外大学の返済不要の奨学金にまとめています。
- 7出願の締切から逆算してスケジュールを引く。 費用の目処が立ったら出願実務に移ります。国ごとの出願の違いは海外大学の出願ガイドを参照してください。
この順番で進めると、「安い国」を探すのではなく「わが家の予算で、学びたいことを英語で学べる国」を探すことになります。結果として候補に残るのが台湾やマレーシアなのか、ドイツやハンガリーなのかは、ご家庭の条件によって変わります。海外大学進学そのものの全体像は海外大学進学ガイドから確認してください。なお高校段階で費用を抑える国選びについては高校留学で費用の安い国で別途整理しています。
まとめ:見るべきは国名ではなく「誰に適用される数字か」
海外大学の費用が安い国を探すとき、最初に確認すべきは国名の順位ではなく、その金額が誰に適用されるものかです。アイルランドのゴールウェイ大学は、学部の学費がEU諸国の学生で6,000〜7,000ユーロ、それ以外の国の学生で20,000〜30,000ユーロ。同じ大学の同じ学部で3〜4倍違います(JASSO・2025年調査)。日本人は必ず後者です。
学費の絶対額で見れば、アジアが際立ちます。ベトナムは大学の授業料が年5,000万〜1億ドン(約28万〜57万円)、台湾の国立大学は1学期50,460〜62,100新台湾ドル、マレーシアの公立大学は学部4年間で10,000〜20,000米ドル程度(いずれもJASSO・2024年調査)。物価もJASSOの記述では日本の3分の1〜2分の1程度です。学費と生活費の両方が下がるため、総額での効き方が大きくなります。
一方でヨーロッパは、授業料が無料または低額な国でも、共済費(ドイツで学期130〜400ユーロ)や生活費(同・月800〜1,800ユーロ)が残ります。しかも制度は変わります。ノルウェーのように、学費無料の国というイメージが先行したまま、最新の公表値では年17万クローネ台の授業料が示されている例もあります。
だから手順は「安い国を探す」ではなく、予算の上限 → 授業言語 → 分野 → 留学生に適用される学費の確認 → 都市単位の生活費 → 奨学金の順です。この順で絞れば、候補は3〜5か国に収まり、比較が現実的になります。数字は必ず調査年と適用対象を確かめてから使ってください。
Q.結局、海外大学でいちばん学費が安い国はどこですか?
JASSOの公表値で学費の絶対額がもっとも小さいのはベトナムで、大学の授業料は年5,000万〜1億ドン(約28万〜57万円)とされ、同サイトも「世界的に見ても低い授業料」と書いています(2024年調査)。次いで台湾(国立大学 50,460〜62,100新台湾ドル/学期)、マレーシア(公立大学 学部4年間で10,000〜20,000米ドル程度)です。ただし授業言語・学位の通用性・卒業後の進路まで含めて判断する必要があります。ドイツのように授業料が無料でも、生活費が月800〜1,800ユーロかかる国もあります。
Q.ドイツは本当に学費が無料なのですか?
JASSOは「ドイツではほとんどの国立大学が国の予算によって成り立っており、学士課程はもとより、修士・博士課程もほとんどが授業料無料です」としています(2024年調査)。ただし2つ注意点があります。バーデン=ヴュルテンベルク州は非EU圏出身の留学生に1学期当たり1,500ユーロの授業料を課していること(博士課程を除く)、そして授業料とは別に共済費が学期ごとに約130〜400ユーロかかることです。加えて生活費が月約800〜1,800ユーロ必要です。「無料」は授業料に限った話だと理解してください。
Q.ヨーロッパの大学の学費が安いと聞きましたが、本当ですか?
EU/EEA市民にとっては本当ですが、日本人には別の料金が適用される国が少なくありません。JASSOの掲載値では、アイルランドのダブリンシティ大学がEU諸国の学生 約6,000ユーロに対しそれ以外は15,000ユーロ、ベルギーのワロン‐ブリュッセル地域がEU国籍 年835ユーロに対しEU以外は年2,505ユーロ、チェコのカレル大学理学部の学士プログラムがEU/EEA/ウクライナ出身 2,500ユーロに対しその他の国は5,000ユーロです。大学の学費ページで「Non-EU」「International students」の欄を必ず確認してください。
Q.この記事の金額は、そのまま予算に使えますか?
相場感をつかむ用途には使えますが、そのまま予算に入れるのは避けてください。理由は3つあります。①JASSOの調査年が国ごとに異なる(2024年調査と2025年調査が混在しています)②学費は大学・学部・プログラムごとに幅がある ③制度改定と為替の影響を受ける。候補を3〜5か国に絞ったら、必ず各大学の公式サイトで最新の学費を確認し、日本国籍の学生に適用される料金かどうかまで確かめてください。
Q.なぜ円に換算した金額があまり書かれていないのですか?
為替で金額が動くためです。学費は現地通貨建てなので、円安が進めば学費が1円も上がらなくても日本の家庭の負担は増えます。しかもその影響は在学中ずっと続きます。特定時点のレートで換算した数字を並べると、その数字が固定的なものに見えてしまうため、本記事ではJASSOが自ら円を併記している箇所(ベトナム・ハンガリー・デンマークなど)だけを引用しました。ご家庭で試算する際は、余裕を持ったレートで計算することをおすすめします。
Q.費用が安い国を選ぶと、進路で不利になりませんか?
国名だけで有利・不利が決まるわけではありませんが、確認すべき点はあります。①授業言語(学士課程が現地語のみの国では、そもそも選択肢になりません。ドイツは多くの学士課程がドイツ語、中国はHSK4級以上が必要とJASSOは記載しています)②学位を出す大学がどこか(マレーシアの分校・ツイニングのように、学位授与元で評価が変わる仕組みがあります)③卒業後の就労ビザ。費用の安さと卒業後の選択肢の広さは比例しないため、この3点は出願前に確認してください。
調べた金額と出典を、家族で共有できる形にしておく
学費は大学・学部・年度・国籍で変わります。LINEで海外進学と費用の情報を受け取りながら、ご家庭で確認した数字と出典を整理する材料としてお使いください。








