このページの要点
高校留学の最大のメリットは語学力と視野・自立心、そして進路の選択肢が広がること。デメリットは費用・言語の壁・帰国後の国語力や受験への影響です。
- メリット:実践的な英語力/多様な価値観と自立心/帰国生入試・総合型選抜など進路の広がり。
- デメリット:年400万円前後〜の費用/最初の言語の壁/帰国後の国語力低下・受験準備の遅れ。
- 分かれ道:デメリットは「事前準備・単位認定・帰国後の計画」で大きく減らせる。知らずに行くと後悔しやすい。
高校留学は「行けば成功」でも「やめるべき」でもありません。メリットとデメリットの両方を理解し、対処できるかどうかで結果が変わります。この記事では良い面と大変な面を正直に並べ、それぞれの現実的な対処法まで示します。まず高校留学の全体像(制度・費用・準備)を押さえてから読むと、判断しやすくなります。
本記事の費用・制度に関する情報は、文部科学省・留学団体・当サイトの費用ガイド等の公開情報にもとづく一般的な目安です(2026年7月時点)。金額・条件は国・学校・時期・為替で変わるため、最新情報は各公式機関・在籍校で確認し、窓口選びは高校生の留学エージェントの選び方をご覧ください。
まず結論:メリットとデメリットの早見表
POINT
メリットは「一生ものの経験と進路の広がり」、デメリットは「費用と、事前・帰国後の負担」に集約されます。デメリットはいずれも対処法があるのがポイントです。
高校留学のメリット・デメリット早見表
| 観点 | メリット | デメリット(と対処の方向) |
|---|---|---|
| 語学 | 生活の中で実践的な英語力が伸びる | 最初の数か月は言語の壁 → 出発前の基礎固めで緩和 |
| 人間的成長 | 多様な価値観・自立心・度胸が身につく | ホームシック・カルチャーショック → 焦らず慣れる |
| 進路 | 帰国生入試・総合型選抜で強みになる | 日本式の受験勉強が遅れる → 帰国後の計画が必須 |
| 学業 | 海外の学び方・思考力に触れられる | 帰国後の国語力低下(漢字・古典) → 帰国後に補う |
| 費用 | — | 年400万円前後〜と高額 → 奨学金・交換・国選びで抑える |
メリット:高校という時期に留学する価値
POINT
柔軟性の高い高校時代だからこそ得られるものがあります。語学力にとどまらず、価値観・自立心・進路の選択肢という一生ものの財産になります。
高校生は語学の吸収が早く、環境への順応も柔軟な時期です。同じ1年でも大人になってからより得るものが大きく、次のようなメリットが期待できます。
- 実践的な英語力:授業・寮生活・友人との会話を通じ、教室だけでは身につかない「使える英語」が育つ。
- 多様な価値観と自立心:文化や考え方の違う環境で、自分で判断し行動する力が身につく。
- 進路の選択肢が広がる:留学経験は帰国生入試や総合型選抜で評価されやすく、その先に海外大学進学という道も見えてくる。
- 度胸と自己肯定感:慣れない環境を乗り越えた経験が、その後の挑戦を後押しする。
大切なのは、留学を「英語の習得」だけで終わらせないことです。帰国後にエッセイコンテストや学校での発表、後輩への共有などで経験を言語化すると、留学が進路やキャリアにつながる「自分の財産」に変わります。
デメリットと、その現実的な対処法
POINT
デメリットは「費用」「言語の壁」「帰国後の国語力・受験」の3つが中心。いずれも準備と制度の活用で軽くできます。避けるのではなく、備えることが大切です。
良い面だけを見て出発すると、現地や帰国後のギャップに苦しみます。ここでは代表的なデメリットを正直に挙げ、それぞれの対処を示します。
避けたい
英語がある程度できれば現地で何とかなると考え、準備せずに出発する。
こうすればOK
出発前に中学英文法と基本単語、自己紹介・意思表示を固めておく。会話は現地で伸ばす前提で、自習できる範囲を先に固める。
避けたい
1年留学すれば自動的に進級できると思い込み、学校に相談しないまま渡航する。
こうすればOK
文部科学省の制度で1年留学は在籍校の最大36単位まで認定できる。認定・進級の可否は在籍校の判断のため、検討段階で先生に条件と必要書類を確認する。
避けたい
帰国後の受験・国語力の低下を想定せず、帰ってから慌てる。
こうすればOK
帰国後に日本式の受験勉強や漢字・古典を補う時間を計画に入れる。帰国生入試・総合型選抜の活用も早めに検討する。
帰国後の「逆カルチャーショック」と国語力の低下は、経験者が口を揃える見落としがちな課題です。日本語の単語が出てこない、古典や漢文についていけない、といった声もあります。1年間日本語の学習が止まることを前提に、帰国後のリカバリーまで含めて計画しておきましょう。
「やめとけ」と言われる最大の理由=費用をどう抑えるか
POINT
費用は最大のデメリット。公立+ホームステイでも年400万円前後、私立なら800万円を超えることも。ただし奨学金・交換留学・国選びで負担は大きく変えられます。
高校留学は総じて高額で、これが「やめとけ」と言われる最大の理由です。もっとも負担の少ない公立高校+ホームステイでも年間400万円前後、私立を選ぶと800万円を超える場合もあります。予期せぬ出費も見込み、余裕をもった資金計画が必要です。一方で、費用は工夫次第で抑えられます。
- 交換留学を選ぶ:公的な仕組みで授業料・滞在費が軽減され、自己負担を抑えやすい。
- 費用を抑えやすい国を選ぶ:ニュージーランドやカナダは主要国のなかでは比較的抑えやすい傾向。
- 奨学金・自治体制度を探す:返済不要の奨学金や、都道府県・市区町村独自の助成制度がある場合も。まず自分の地域・学校が対象の制度を調べる(費用・お金のテーマ一覧)。
1年間の留学費用をその場で試算
国と留学タイプを選ぶだけで、学費・滞在費・渡航費を含む概算費用を試算できます。
向いている人・向かない人
POINT
「英語を完璧にしてから」ではなく、「違いを楽しめるか」「困ったとき助けを求められるか」が向き不向きの分かれ目です。
高校留学の向き・不向き
| 向いている人 | 慎重に検討したい人 |
|---|---|
| 新しい環境や違いを楽しめる | 環境の変化に強いストレスを感じやすい |
| 困ったときに自分から助けを求められる | 不安を抱え込みやすく相談が苦手 |
| 帰国後の進路も一緒に考えられる | 帰国後の受験計画を立てる余裕がない |
| 家庭で費用と目的を共有できている | 費用や目的が家庭で固まっていない |
「向かないかも」と感じても、あきらめる必要はありません。まずは短期・ターム留学で試す、留学タイプ診断で目的を整理する、といった小さな一歩から始められます。
後悔を防ぐ出発前チェックリスト
POINT
「行ってよかった」と「行かなければよかった」を分けるのは、才能でも運でもなく事前の準備です。デメリットを小さくする5つの確認を、出発前にひとつずつ潰しておきましょう。
メリットを最大化し、デメリットを最小化するために、家庭で次の5点をチェックしておくと安心です。ひとつでも空欄が残るなら、その項目が帰国後の後悔につながりやすいサインです。
- 目的の共有:なぜ留学するのか、何を持ち帰りたいかを本人と家庭で言葉にできている。
- 費用の総額と資金計画:学費だけでなく渡航・保険・生活費まで含めた総額を把握し、無理のない範囲に収まっている。
- 単位認定と進級の確認:在籍校に「留学扱いか休学扱いか」「認定の条件」「帰国後の学年」を確認済み。
- 英語の土台づくり:出発前に中学英語の総復習と基本単語・自己紹介を仕上げている。
- 帰国後の進路プラン:帰国生入試・総合型選抜・一般入試のどれで進むか、大まかな方針が決まっている。
5点のうち費用と進路は特に見落とされがちです。総額の目安は費用シミュレーターで早めに試算し、進路は何年生で行くかとセットで考えると、留学が「経験して終わり」ではなく次につながります。
データで見る「留学の効果」——期間と設計で変わる
POINT
メリットを感覚ではなく調査で確認しておくと、期待値の設定を誤りません。要点は「期間にかかわらず効果は認められるが、伸びの大きさは期間と準備で変わる」ことです。
文部科学省が委託した「日本人の海外留学の効果測定に関する調査研究」(2018年・学校法人河合塾)は、留学の「期間」と「形態」による効果の違いを調べたもので、報告では「能力の伸びの観点からは、留学期間に関わらず留学の効果は認められる」とされています。留学期間が1か月未満でも何らかの自身の成長を認める学生がおよそ半数いること、2週間以内の短期でも十分な満足度が得られていることも示されています。
一方で同じ調査は、能力の伸びを認める比率は留学期間が長いほど高くなること、そして事前研修やオリエンテーションが整備されているプログラムほど参加者の評価が高いことも報告しています。つまり「行けば伸びる」のではなく、期間と準備の設計が結果を分けるということです。なおこの調査の対象は大学生で、高校生に同じ結果がそのまま当てはまるとは限りません。
調査から読み取れること(対象は大学生)
| 論点 | 調査が示すこと | 高校留学での活かし方 |
|---|---|---|
| 期間 | 期間にかかわらず効果は認められるが、伸びは長いほど大きい | 目的に対して短すぎない期間を選ぶ |
| 短期の価値 | 1か月未満でも約半数が成長を自認。2週間以内でも満足度は高い | まず短期で試す進め方は合理的 |
| 準備 | 事前研修・オリエンテーションがあるほど評価が高い | 行く前に「何を調べに行くか」を決める |
短期留学の効果と限界は短期留学は意味ない?、期間ごとの制度の違いはターム留学とはで詳しく扱っています。
メリット・デメリットは「留学の形」によって変わります。交換留学は費用が抑えられる一方で学校や地域を選べず、私費留学は自由度が高い一方で費用が上がります。1年ではなく1学期という選択肢もあり、期間ごとに制度(ビザ・奨学金・単位認定)の扱いが変わります。形ごとの違いは高校の交換留学とは、ターム留学とはで整理しています。
まとめ:デメリットを知ったうえで備えれば、留学は強い経験になる
高校留学のメリットは、語学力・自立心・進路の広がりという一生ものの財産です。一方で費用・言語の壁・帰国後の負担というデメリットも確実にあります。大切なのは、デメリットを避けることではなく、事前準備・単位認定・帰国後の計画で備えることです。次は高校留学は何年生がベスト?や必要な英語力を読み、具体的な計画に落とし込んでいきましょう。
Q.「高校留学はやめとけ」と言われますが、本当にやめたほうがいいですか?
一概には言えません。「やめとけ」と言われる主な理由は費用の高さと帰国後の受験・国語力への影響です。ただし、いずれも奨学金の活用や帰国後の計画で対処できます。デメリットを理解し備えられるなら、高校留学は大きな経験になります。
Q.留学すると日本の勉強が遅れて留年しませんか?
必ずしも留年しません。文部科学省の制度により、1年間の留学は在籍校の最大36単位まで認定でき、休学せず進級できる場合があります。ただし認定・進級の可否は在籍校の判断のため、出発前に必ず学校へ確認してください。詳しくは高校留学の全体像で解説しています。
Q.帰国後に国語力が落ちると聞きました。本当ですか?
1年間日本語の学習が止まるため、漢字を忘れたり古典・漢文についていけなくなったりする例はあります。帰国後に国語を補う時間を計画に入れておけば、十分に取り戻せます。
Q.英語が得意でなくてもメリットは得られますか?
得られます。むしろ現地で言語の壁を乗り越える経験自体が大きな成長につながります。ESL(英語補習)のある私費留学なら語学に不安があっても挑戦しやすく、出発前に基礎を固めておくと現地が楽になります。
Q.費用が心配です。どうすれば抑えられますか?
交換留学を選ぶ、費用を抑えやすい国を選ぶ、返済不要の奨学金や自治体の助成制度を探す、の3つが基本です。費用シミュレーターで総額の目安を試算してから比較しましょう。
Q.留学経験は大学受験でプラスになりますか?
なり得ます。多くの大学が帰国生入試や総合型選抜を設けており、1年間の留学で得た経験や英語力はアピールポイントになります。ただし一般入試で日本式の勉強を続ける場合は、帰国後の追い上げが必要です。
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