このページの要点

離島留学は自治体が独自に設ける制度で、入試も滞在の形も県ごとに違い、全国から行けるとは限りません。

  • 滞在の型で生活が別物になる:里親(しま親)宅から通う型、寮から通う合宿型、家族で移住する親子型、祖父母宅から通う型。同じ「離島留学」でも日常がまったく違います。
  • 続かないケースは実在する:長崎県の実態調査では、入学後に23%が転学または退学(通常の全日制高校は4〜5%程度)。制度を検証した県の報告書に記された数字です。
  • だからこそ体制を確認できる:長崎県は2024年に改善策を策定し、支援チーム・相談窓口・しま親の条件などを整備しました。その中身がそのまま保護者の確認リストになります

離島留学は、島の高校が島外・県外から生徒を受け入れる制度です。財団が全国のプラットフォームを運営する地域みらい留学とは違い、自治体(県や市町、教育委員会)が独自に設計しているのが特徴で、そのぶん入試の枠組みも滞在の形も助成も地域ごとに異なります。この記事では、長崎県が公表した検証報告と改善策という一次資料をもとに、良い面だけでなく続かなかったケースの数字まで含めて整理します。「国内留学」全体の地図は国内留学とはをご覧ください。

本記事は、長崎県および同県教育委員会の公開資料(「高校生の離島留学制度」ページ、これからの離島留学検討委員会「『離島留学制度』改善に向けての報告書」令和5年9月3日、「離島留学制度の改善策について」令和6年3月14日)、各自治体・学校の募集情報にもとづく2026年8月時点の整理です。離島留学は自治体ごとに制度が異なり、本記事で紹介する長崎県の枠組みが他県にそのまま当てはまるわけではありません。募集要項・費用・出願資格は、必ず志望校と所在自治体の教育委員会でご確認ください。

結論:離島留学は「自治体の制度」。地域みらい留学とは仕組みが違う

POINT

同じ「国内の地域で高校生活を送る」でも、誰が制度を作っているかが違います。離島留学は自治体が主体で、入試も県の制度の中に組み込まれています。だから「全国から応募できる」とは限らない——ここが最初の分岐点です。

たとえば長崎県は、県の制度として「高校生の離島留学制度」を持っています。県の検討委員会報告書には「本制度が開始した当初(平成15年度)」という記述があり、20年以上続く制度です。入試も県立高校入試の中に「離島留学特別選抜」として組み込まれています。一方、東京都は平成28年度から「島外生徒受入事業」を進めていますが、対象は「島しょ以外の都内に居住する者」——つまり都内在住の中学3年生で、全国から応募できる制度ではありません。「離島留学」という同じ言葉でも、誰が対象かは自治体が決めているのです。

離島留学と地域みらい留学の違い(各運営・自治体の公表情報より)

項目離島留学地域みらい留学
制度の主体自治体(県・市町・教育委員会)が独自に設計一般財団法人が運営する全国プラットフォーム
入試県立高校入試の枠組みの中(長崎県は「離島留学特別選抜」)既存の推薦入試等の「県外生受入枠」で受検
応募できる範囲自治体による。全国募集の学校もあれば、都道府県内限定の学校もある都道府県の枠を超えて全国から
滞在の形里親(しま親)型/合宿(寮)型/親子型/祖父母宅から通う型寮・シェアハウス・ホームステイ・一人暮らし
情報の集め方志望校の所在自治体の教育委員会が一次情報公式サイトの学校検索とイベント
助成自治体独自(帰省の運賃助成、親子留学への補助など)運営財団の給付型奨学金+自治体独自の補助

つまり探し方が違います。地域みらい留学は公式サイトの学校検索から入れますが、離島留学は志望する島の自治体(県・市町)の教育委員会が一次情報です。全国の募集を横断的に見られるまとめもありますが、募集要項・出願資格・費用は必ず自治体側で確認してください。

滞在の型で、3年間の生活がまったく変わる

POINT

離島留学でいちばん見落とされるのがここです。行き先の島より、どこで暮らすかのほうが日常への影響が大きい。主な型は4つあり、生活の自由度も、大人との距離も、費用の構造も違います。

離島留学の主な滞在の型(離島経済新聞の類型整理をもとに作成)

暮らし方保護者が確認すること
里親(しま親)型地域の家庭に受け入れてもらい、そこから通学する個室があるか/食事は土日祝も提供されるか/受け入れ側が相談できる体制があるか
合宿(寮)型島の寮や合宿所から通学。指導員や寮母が生活を支える個室か相部屋か/舎監は常駐か/長期休みの閉寮期間と、その間の滞在先
親子型保護者も一緒に島へ移り住む住居の確保(空き家の貸し出し等)/保護者の就労/自治体の補助の有無
祖父母・親戚宅から通う型島に暮らす祖父母や親戚の家から通学受け入れ側の負担/制度上の位置づけ(対象になるか)

ただし4つの型すべてが高校で選べるとは限りません。親子型・祖父母宅型は小中学生向けの離島留学(自治体の「しま留学」制度など)で使われることが多く、高校で対象になるかは自治体次第です。長崎県で親子留学が制度化されたのも令和6年度の改善策からです。そのうえで、とくに里親型は、家庭に入るという点で寮とは性質が違います。良い面としては、島の暮らしに深く入り込め、卒業後も続く関係が生まれること。一方で、生活のルールは家庭ごとに異なり、相性の問題が起きたときに「部屋を替える」というわけにいきません。後述するとおり、長崎県はこの点を制度として見直し、受け入れる側の呼称・条件・支援体制を整備し直しています

長崎県の例:コースで選ぶ制度になっている

POINT

離島留学は「島で暮らす」だけの制度ではありません。長崎県の場合、学びたい内容でコースを選ぶ設計になっており、そこが志望動機の中心になります。

長崎県の制度は平成15年度に始まり、20年以上続いています。公式サイトの説明によると、同制度は「それぞれ韓国語、歴史学・中国語、スポーツを学ぶ学科やコース、不登校などを経験した生徒の『生きる力』を育むコース、そして英語を専門的に学ぶコース、新たに令和8年度より科学的思考力を育むコースも設置し、目的意識や意欲を持った生徒の特性を伸張することを目的とした日本でも数少ない取組」とされています。令和8年度の実施校は対馬・壱岐・五島・五島南・奈留・宇久の6校で、宇久高校は令和8年度からの参加です。なお県は令和9年度の生徒募集用リーフレットを2026年6月に公開済みなので、これから検討するご家庭は令和9年度以降の要項で確認してください。

注目していただきたいのが、「不登校などを経験した生徒の『生きる力』を育むコース」が制度の中に位置づけられている点です。学校に行きづらい状況からの進路変更として離島留学を考えるご家庭は少なくありませんが、長崎県の場合それは想定外の使い方ではなく、制度が正面から受け止めている選択肢だということです。ただし後述するとおり、だからこそ入学前の状況共有が重要になります。関連する進路の考え方は不登校からの留学は選択肢になるかもご覧ください。

長崎県の検証が示した数字——入学後に23%が転学・退学

POINT

はじめにお断りします。この検証は、2023年に離島留学生が亡くなるという重大な事案を受けて行われたものです。報告書自身が「今回のような事態を二度と起こさないようにするためには」と記しています。本記事は事案の詳細には立ち入らず、県が公表した検証結果と改善策だけを扱います。数字は制度を否定するためではなく、何を確認すれば防げるのかを考えるためのものです。

「これからの離島留学検討委員会」がまとめた「『離島留学制度』改善に向けての報告書」(令和5年9月3日)には、次のように記されています。「県教育委員会が実施した離島留学の実態調査では、入学者の約2割の生徒が中学校時代に50日を超える欠席があり、入学後も生徒の23%が転学もしくは退学している状況である(通常の全日制高校の転学・退学の割合は4〜5%程度)」

長崎県の実態調査が示した状況(検討委員会報告書 令和5年9月3日より)

項目数字読み方
入学者のうち、中学校時代に50日を超える欠席があった生徒約2割学校に行きづらい経験を持つ生徒が一定数集まる制度になっている
入学後に転学または退学した生徒23%4人に1人近くが3年間を終えていない
通常の全日制高校の転学・退学の割合4〜5%程度報告書は両者の集計期間・母数を示していないため単純な倍率比較はできないが、桁が違うことは読み取れる

この数字をどう受け止めるか。「危ないからやめる」と読むのは早計です。報告書は改善の方向性として、生徒や里親のSOSを迅速にキャッチする組織的な対応、日常的な里親訪問、専門家を交えた相談対応の充実、そして入学前のアセスメントによるミスマッチの防止を挙げています。さらに、「タテ(教員・里親)・ヨコ(学校の友人)の関係だけでなく、『ナナメの関係』(その他の大人との関係)も作っていく必要があり」、生徒を真ん中に置いて多くの大人が関わり「地域全体で生徒を見守る環境をつくることが…非常に重要な視点である」としています。ここからは編集部の読み方ですが、23%という数字は、支える仕組みが生徒の多様さに追いついていなかったことの表れでもあると考えられます。だから県は制度を作り替えました。保護者としてやるべきは、改められた体制が志望校で実際に機能しているかを確認することです。

確認ポイント:この23%という数字は長崎県の実態調査によるもので、全国の離島留学制度に共通する数字ではありません。他県・他校の状況は個別に確認する必要があります。また、この検証は重大な事案を受けて行われたものであり、報告書と改善策はいずれも県教育委員会のサイトで公開されています。制度の課題を自ら公表し、改善策まで出している自治体は、むしろ確認しやすいとも言えます。

改善策を「保護者の確認リスト」に変える

POINT

長崎県教育委員会は「離島留学制度の改善策について」(令和6年3月14日)で4つの柱を示しました。この中身をそのまま質問に変換すれば、志望校の体制を具体的に確かめられます。他県を検討する場合も、同じ観点が使えます。

改善策の柱は、①生徒やしま親に対するサポート体制の強化 ②生徒の受入体制の見直し ③生徒に対する地域全体での見守り ④教員の負担を軽減する環境づくりの4つです。

県が作った3つの組織

とくに大きいのが、実施校ごとに3つの組織を構築したことです。

  1. 1離島留学推進協議会:制度と地域による見守り機能の検証機関。年度当初(4月末〜5月)に年1回程度開催し、年度計画の策定、しま親の承認、留学生の入居宅の承認を行う。構成員は高校(PTA会長・校長)、市関係課、市教委、県振興局、県教育庁など。
  2. 2離島留学支援チーム:緊急事態や、学校としま親だけでは解決できない懸案が生じたときに動く協議機関。必要に応じて随時開催。保健所、市のこども政策担当、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、社会福祉士、民生委員・地域代表なども加わる。
  3. 3しま親連絡協議会:しま親・保護者との連絡機関。会長はしま親代表、副会長は保護者代表。年2回程度開催。

あわせて、危機管理マニュアルの作成、外部の相談窓口の周知、心の不調を早期にキャッチするための「心の健康観察Webシステム」の導入、学校に配置する離島留学支援員の増員、舎監業務従事職員の配置、入学前の専門家によるアセスメント、留学生の受入条件の明確化、そして親子留学制度の創設が盛り込まれました。呼称も、児童福祉法上の里親と区分するため「しま親」に変更され、選定条件の整備と研修会の実施、児童福祉法第30条による届出が定められています。

受け入れ側の見直しも具体的です。改善策は、しま親が担うべき役割として住環境や食事の提供、留学生および保護者への対応を明確化し、監護権のある保護者の責任を契約書などで明文化するとしています。さらに入学前について、「受検を希望する生徒およびその保護者には、島での生活環境を事前に確認してもらうために体験入学に参加することを義務づける」とし、体験入学時の説明会でアンケートを行ってスクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーの協力のもとアセスメントを実施、体験入学後も複数回オンライン面談を行い、島で生活する意思を十分に確認すると定めました。学校に配置する離島留学支援員も3名から6名へ増員されています。「行ってみないと分からない」を制度側が前提にしたということです。

説明会で聞くべき6つのこと

説明会・個別相談でそのまま使える質問

確認したいこと質問の仕方なぜ聞くか
緊急時の体制「緊急時に動く支援チームのような組織はありますか。誰が入っていますか」報告書は「ナナメの関係」=教員・里親以外の大人との関係づくりを重要な視点に挙げている
保護者との接点「保護者が参加できる協議会や連絡の場はありますか。年に何回ですか」長崎の枠組みでは保護者代表が副会長を務める会議がある
受け入れ家庭の条件「受け入れ家庭の選定条件と研修はどうなっていますか。個室と食事はどこまで提供されますか」生活の土台が家庭ごとにぶれると、相性の問題が深刻化しやすい
入学前の共有「入学前に本人の状況を共有する仕組み(面談やアセスメント)はありますか」特性や事情を伝えないまま入ると、受け入れ側が対応できない
相談先「学校・受け入れ家庭以外に、本人が相談できる窓口はありますか」身近な大人しか相談先がない状態が、いちばん危ない
続かなかった場合「これまでに転学・退学した生徒はどれくらいですか。どんな理由が多かったですか」学校を試すのではなく、起きやすいつまずきを一緒に洗い出すための質問

避けたい

パンフレットの「島の温かい人々に見守られて」という記述だけで安心する

こうすればOK

見守りを担う組織が具体的に何で、緊急時に誰が動くのかを名前で答えてもらう

避けたい

本人の特性や不登校の経緯を伝えると不利になると考え、出願前に共有しない

こうすればOK

受け入れ側が体制を組めるかどうかが最重要。入学前に率直に共有し、対応可能かを一緒に確認する

避けたい

「島だから安全」と、都市部より安心だと考える

こうすればOK

相談先の選択肢が少ないという別のリスクがある。学校・受け入れ家庭以外の窓口を先に確認しておく

入試と費用:県が枠を持ち、自治体が助成する

POINT

入試は県の制度の中にあり、費用は「保護者が受け入れ先に払うお金」と「自治体が出す助成」に分かれます。どちらも自治体ごとに違うので、比較するときは同じ費目で並べてください。

長崎県では、令和8年度入試において対馬・壱岐・五島・五島南・奈留・宇久の6校が「離島留学特別選抜」を実施し、願書・志願理由書・誓約書などの様式が県教育委員会のサイトで公開されています。つまり出願書類も日程も県の入試スケジュールに乗っているということです。一方、東京都の「島外生徒受入事業」はまったく別の設計です。対象は島しょ以外の都内に居住する中学3年生で、まず島しょの町村が独自に実施する「島外生徒受入選考」に合格することで、島しょの都立高校への応募資格が得られるという2段階になっています。令和8年度入学生の場合、実施校は都立大島高校(普通科・併合科/募集6名程度)と都立神津高校(普通科/4名程度)で、募集期間は前年10月14日〜11月4日、面接選考は11月29日〜12月2日、その後2月21日の学力検査・3月2日の合格発表という流れでした。つまり実質の締切は中3の10月上旬〜11月上旬です。「離島留学=全国から誰でも、高校入試の時期に」という思い込みは通用しません。

費用は、寮費や受け入れ家庭に支払う費用が中心で、これに帰省の交通費が加わります。金額は自治体・学校ごとに大きく異なるため一覧にはできませんが、助成の存在は必ず確認してください。長崎県は公式サイトで航空運賃の助成金(ORCとの取り組み)を案内しており、県のリリースでは親子で来島する場合の月額補助や、入学前の体験入学・宿泊体験の費用補助、入学後の帰省費補助にも触れられています。「寮費が安い」ではなく「助成後の実負担がいくらか」で比べるのが実務的です。費用の考え方全般は国内留学とは、他の寮生活の選択肢との比較は日本のボーディングスクールもあわせてご覧ください。

向いているご家庭・向かないご家庭

POINT

長崎県の検討委員会は、制度の目的を再定義したうえで「求める生徒像」を3つ挙げています。これは選抜の基準というより、続けられるかどうかの目安として読むのが有益です。

報告書が挙げる求める生徒像は、「学校やしまの特色・環境をしっかりと理解している生徒」「目的意識が高く、何事にも意欲を持って取り組める生徒」「協調性や豊かな人間性と人間関係を身に付けたいと願う生徒」の3点です。裏返せば、島の環境を理解しないまま来ること、目的が曖昧なこと、人との距離が近い生活が苦手なことが、続かなくなる要因になりやすいということでもあります。

  • 向いている:学びたいコースがはっきりしている(韓国語、中国語、スポーツ、英語、科学など)/少人数で人との距離が近い環境を求めている/島の暮らしを実際に体験したうえで選んでいる
  • 向いている:学校に行きづらかった経験があり、環境を変えて再スタートしたい。ただし出願前に状況を学校へ率直に共有できることが前提
  • 向かない:本人ではなく保護者が主導して決めようとしている(3年間の生活は本人の意思がないと続きません)
  • 向かない:都市部と同じ選択肢(塾・病院・交通・買い物)を前提にしている
  • 向かない:体験入学や現地訪問をせずに、資料だけで決めようとしている

お子さんが行きたいと言い、保護者としては不安が残るというご家庭は、反対か賛成かで決着をつける前に「どの条件が確認できたら賛成できるか」を言語化すると進みます(考え方は子どもの留学に反対したいとき)。あわせて、うまくいかなかったときにどうするかを出発前に決めておくことを強くおすすめします。転学・退学が一定数ある制度である以上、それは想定しておくべきことです。途中で「帰りたい」と言われたときの受け止め方は高校留学で「帰りたい」と言われたらの考え方が参考になります。

まとめ:数字を知ったうえで選べば、離島留学は強い選択肢になる

離島留学は、コースで学びを選べて、少人数で、費用も公立の枠内に収まる——条件が合えば非常に良い制度です。同時に、長崎県の検証が示したように、改善策が入る前の時点で入学後に23%が転学・退学していたという事実もあります。この両方を知ったうえで選ぶことが、いちばん確実な準備になります。

確認する順番はシンプルです。①応募できる対象かを調べる(全国募集か、都道府県内限定か)→②滞在の型を決める(しま親型・寮型・親子型)→③緊急時の体制と相談窓口を質問する→④助成後の実負担を出す→⑤体験入学で現地を見る。とくに③は、長崎県が改善策として整備した内容がそのまま質問リストになります。全国プラットフォーム型の地域みらい留学と並べて比べると、ご家庭に合うほうが見えてきます。

島で学ぶか、都市で学ぶか、海外を経験させるか整理する

目的・期間・予算・本人の性格から、ご家庭に合う進路のタイプを診断できます。離島留学・地域みらい留学・国内ボーディング・海外留学を並べて比べる材料にお使いください。

Q.離島留学と地域みらい留学は何が違うのですか?

制度を作っている主体が違います。離島留学は自治体(県・市町・教育委員会)が独自に設計した制度で、入試も県立高校入試の枠組みの中にあります(長崎県は「離島留学特別選抜」)。地域みらい留学は一般財団法人が運営する全国プラットフォームで、既存の推薦入試等の「県外生受入枠」で受検します。実務上いちばん違うのは応募できる範囲で、離島留学は全国募集の学校もあれば、東京都の島外生徒受入事業(都立大島高校・都立神津高校)のように「島しょ以外の都内に居住する者」=都内在住の中学3年生だけが受検できる制度もあります。まず「わが家が応募できる対象か」を確認してください。

Q.「里親型」とはどういう仕組みですか?寮とどちらがよいですか?

地域の家庭に受け入れてもらい、そこから通学する形です。長崎県では児童福祉法上の里親と区分するため、2024年から呼称を「しま親」に変更し、選定条件の整備、研修会の実施、児童福祉法第30条による届出などを定めました。良い面は島の暮らしに深く入り込めることですが、生活のルールは家庭ごとに違い、相性の問題が起きたときに寮のように部屋を替えるわけにいきません。どちらがよいかは本人の性格次第です。個室があるか、土日祝も含めた食事の提供はどうか、受け入れ側が相談できる体制があるか、の3点を必ず確認してください。

Q.途中でやめる生徒は多いのですか?

長崎県の実態調査では、入学後に23%の生徒が転学または退学しており、通常の全日制高校の4〜5%程度と比べて高い水準です(これからの離島留学検討委員会「『離島留学制度』改善に向けての報告書」令和5年9月3日)。同じ調査では入学者の約2割が中学時代に50日を超える欠席を経験していたことも示されています。これは長崎県の数字で全国共通のものではありませんが、「島に行けば変われる」という期待だけで選ぶと厳しい、ということは言えます。県はこの検証を受けて2024年に改善策を策定しているので、志望校でその体制が機能しているかを確認するのが現実的な備えです。

Q.不登校の経験があっても受け入れてもらえますか?

長崎県の場合、公式サイトが「不登校などを経験した生徒の『生きる力』を育むコース」を制度の一部として案内しており、想定された選択肢のひとつです。ただし重要なのは、出願前に本人の状況を学校へ率直に共有することです。受け入れ側が体制を組めるかどうかが、入学後の生活を大きく左右します。長崎県の改善策にも入学前の専門家によるアセスメントが盛り込まれました。伝えると不利になると考えて隠すのは、結果的に本人が苦しくなる選択になりがちです。

Q.費用はどれくらいかかりますか?

公立高校なので授業料は高等学校等就学支援金の対象で、負担の中心は寮費や受け入れ家庭に支払う費用、食費、そして帰省の交通費です。金額は自治体・学校ごとに大きく異なるため一覧にはできませんが、多くの自治体が助成を用意しています。長崎県は公式サイトで航空運賃の助成を案内しているほか、親子で来島する場合の補助、体験入学・宿泊体験の費用補助、帰省費の補助にも触れています。比べるときは「寮費がいくらか」ではなく「助成を差し引いた実負担がいくらか」で並べてください。

Q.いつから準備すればよいですか?

自治体ごとに日程が大きく違うので、志望先が決まった時点で日程だけ先に調べるのが鉄則です。長崎県は体験入学・宿泊体験が夏から秋に設定され、入試は県の入試スケジュールに乗ります。一方、東京都の島外生徒受入事業は、令和8年度入学生の場合で募集が前年10月14日〜11月4日、面接選考が11月29日〜12月2日と、一般的な高校入試よりかなり早く動きます(都教委は実施方法や実施町村を入学年度の前年10月頃に発表するとしています)。中3の夏には情報収集を終えておく必要がある、と考えてください。なお長崎県では体験入学への参加が義務づけられているので、その日程も早めに押さえてください。