このページの要点

国際教養大学が公表する倍率は出願者数÷入学定員です。受験者÷合格者なら5.2倍です。

  • 2026年度の公表倍率9.5倍に対し、受験者1,453名÷合格者277名=約5.2倍(当サイトの計算)
  • 区分ごとの差が大きく、同じ年でA日程3.4倍・B日程6.3倍(受験者÷合格者・当サイト計算)
  • 英語資格は3か所で効く。英検準1級相当で共通テストの英語が満点換算になる

国際教養大学(AIU)の難易度を調べると、9.5倍・5.2倍・3.4倍といった数字が並んで混乱します。理由は単純で、大学が公表している「倍率」は出願者数を入学定員で割ったものだからです。実際に試験を受けた人のうち何人が受かったかを知りたいなら、受験者数を合格者数で割る必要があります。この記事では大学が公開している年度別PDFから、2026年度の全区分について両方の倍率を並べ、さらに英語資格が要件になる区分と、合格しても入学しない人の割合まで整理します。偏差値は予備校各社の推計値なので扱いません。

結論早見表:2026年度の選抜区分別データ

POINT

大学が公表しているのは「出願者数÷入学定員」の倍率です。受験者数と合格者数も同じ表に載っているので、実際に受けた人の中での競争率は自分で計算できます。

まず全体像です。以下はすべて国際教養大学が公開している2026年度入学の入試結果(正規学生)からの転記で、いちばん右の「受験者÷合格者」の列だけが当サイトの計算です。

2026年度入学 選抜区分別の入試結果(入学定員〜入学者数は大学公表値、右端は当サイトの計算)

選抜区分入学定員出願者数公表倍率受験者数合格者数入学者数受験者÷合格者
一般(A日程)553566.534410245約3.4倍
一般(B日程)4052413.14086542約6.3倍
一般(C日程)52555117953約35.8倍
総合選抜型I(4月)1014314.31401717約8.2倍
学校推薦型(4月)351564.51564343約3.6倍
グローバル・セミナー(4月)15553.7552119約2.6倍
グローバル・ワークショップ(4月)5285.62899約3.1倍
社会人(4月)若干名3NA311
外国人留学生I(4月)若干名35NA3543
ギャップイヤー(9月)5214.2205約4.0倍
総合選抜型II(9月)5
外国人留学生II(9月)若干名85855約17.0倍
合計1751,6619.51,453277182約5.2倍

出典:国際教養大学「過去の入試情報」2026年度入学 正規学生入試(https://web.aiu.ac.jp/about/disclosure/admission/ /当サイトが2026年9月3日に取得)。表の「公表倍率」は大学の掲載値をそのまま転記しています。「受験者÷合格者」は当サイトが割り算したもので、大学が公表している数字ではありません。9月入学の3区分は入学者欄が「—」となっており、合計行の入学者182名は4月入学分のみです。

この表でまず目に入るのが、同じ年の同じ大学なのに、区分によって難易度がまったく違うという点です。グローバル・セミナー入試は受験55名に対して合格21名ですが、C日程は受験179名に対して合格5名でした。「国際教養大学の倍率は何倍ですか」という質問に一つの数字で答えることに、あまり意味がないことが分かります。

「倍率9.5倍」の正体:大学の倍率は受験者ベースではない

POINT

国際教養大学の公表倍率は、出願者数を入学定員で割った値です。13区分すべてで検算して確認しました。実際に受けた人の競争率とは意味が違います。

多くの受験情報サイトが「国際教養大学の倍率」として紹介している数字は、大学のPDFにある「倍率」列の値です。ではこの列は何を何で割っているのか。当サイトで全区分を検算したところ、出願者数÷入学定員でした。

  1. 1一般A日程:出願356 ÷ 入学定員55 = 6.47 →公表値6.5
  2. 2一般C日程:出願255 ÷ 入学定員5 = 51 →公表値51
  3. 3総合選抜型I:出願143 ÷ 入学定員10 = 14.3 →公表値14.3
  4. 4合計:出願1,661 ÷ 入学定員175 = 9.49 →公表値9.5

つまり公表倍率は「定員1人分の枠に何人が出願したか」を表しています。一方、受験生と保護者が知りたいのはたいてい「試験を受けた人のうち何人に1人が受かるのか」でしょう。それは受験者数÷合格者数です。2026年度の全体では1,453÷277=約5.2倍。同じ表の数字から、9.5倍と5.2倍という2つの値が出てきます。

なぜ2つの値がここまで離れるのか。理由は2つあります。ひとつは出願したのに受験しなかった人がいること(2026年度は1,661名の出願に対し受験1,453名で、208名の差があります)。もうひとつは、合格者数が入学定員より多く出ることです。一般A日程は定員55名に対して102名が合格しています。国公立大学では併願で他校に流れる人を見込んで多めに合格を出すのが普通で、その分だけ「定員で割った倍率」は実態より高く出ます。

避けたい

「倍率9.5倍だから10人に1人しか受からない」と読む

こうすればOK

9.5倍は定員1枠あたりの出願者数。受験した人の中での通過率を見るなら受験者÷合格者(2026年度は約5.2倍)を使う

避けたい

サイトに載っている倍率を、定義を確かめずに他大学の倍率と並べて比べる

こうすればOK

分子と分母が何かを必ず確認する。大学によって「志願倍率」「実質倍率」のどちらを載せているかが違う

避けたい

全体の倍率だけを見て出願先を決める

こうすればOK

区分ごとに数倍の差がある。志望する区分の行だけを見る

2027年度入学から、入口の構成が変わっています

POINT

大学が現在公開している2027年度入学の一覧では、一般選抜はA日程とB日程の2区分です。C日程は掲載されていません。総合選抜型IIは廃止が予告されています。

上で見たとおり2026年度入学まではC日程がありました(定員5名・受験179名・合格5名)。この区分は2027年度入学から廃止されます。大学は2025年3月25日付の予告文書で「2.廃止 (1) 一般選抜試験(C日程)」と明記しています。同じ文書では「総合選抜型入試Ⅱ」「外国人留学生入試Ⅰ・Ⅱ」「編入学・転入学試験Ⅱ(2年次・3年次)」の廃止も予告されています。現在の入試一覧でも、一般選抜の詳細ページの表題は「一般選抜入試(4月入学・A/B日程)」で、本文は「一般選抜入試はA・Bの2つの日程で行われます」となっています。

2027年度入学の選抜区分と募集人員(大学公表の一覧より転記)

時期選抜区分募集人員併願/専願主な要件
4月入学一般選抜入試 A日程55名併願共通テスト6教科型+個別テスト(英語・国語)
4月入学一般選抜入試 B日程40名併願共通テスト3教科型+個別テスト(英語・国語)
4月入学グローバル・セミナー入試15名併願秋田県内の高校等に在籍、または入学日の1年前から継続して秋田県内に住所がある+セミナー参加+面接(2027年度から資格を拡大)
4月入学グローバル・ワークショップ入試10名専願ワークショップ参加+面接
4月入学総合選抜型入試10名専願英検準1級相当の英語資格+英語小論文・面接
4月入学学校推薦型入試35名専願学習成績の状況4.0以上かつ英検2級相当+英語小論文・面接
4月入学社会人入試若干名専願英語資格+英語小論文・面接
9月入学ギャップイヤー入試5名専願4〜8月の活動計画書+面接
9月入学国際入試(新設)5名専願英語資格+オンライン面接。総合選抜型入試Ⅱと外国人留学生入試Ⅰ・Ⅱを再編して新設
4月入学編入学・転入学試験2年次7名/3年次1名併願英語資格+英語小論文・面接

出典:国際教養大学「2027(令和9)年度の入学者選抜の変更について(予告)」2025年3月25日付(https://admission.aiu.ac.jp/info/6010/ の添付PDF)、同「2027(令和9)年度のグローバル・セミナー入試の出願資格の変更について(予告)」2025年11月5日付(https://admission.aiu.ac.jp/info/6872/ の添付PDF)、および受験生応援サイト「学部入試情報」(https://admission.aiu.ac.jp/ug/ )と各区分の詳細ページ。いずれも当サイトが2026年9月3日に取得しました。募集人員は現在掲載されている一覧の値です。2027年度の一般選抜の学生募集要項は、当サイトが確認した2026年9月3日時点では未掲載でした(掲載予定時期の記載は大学のページ内で「2026年8月」と「2026年10月」に割れています)。確定した条件は必ず最新の募集要項でご確認ください。

保護者の視点で意味を取ると、こうなります。C日程は倍率がとび抜けて高い代わりに、共通テスト後に出願できる最後の受け皿でもありました。それがなくなるため、一般選抜での受験機会は3回から2回になります。共通テストの結果を見てから出願先を足す、という組み立てはできません。

ただし、入学定員175名そのものは変わっていません。大学は予告文書の「3.変更」で、グローバル・ワークショップ入試の募集人員を5名から10名に増やしたうえで、これを「『一般選抜試験(C日程)』の募集人員の振替」と明記しています。9月入学の「国際入試」も、既存区分の再編として説明されています——「現行の『総合選抜型入試Ⅱ』と『外国人留学生入試Ⅰ・Ⅱ』を再編して、新たに『国際入試』を設けます。」つまり枠が減ったのではなく、枠の置き場所が動いたというのが正確な理解です。一般選抜という入口が細り、専願の入口が太くなったと読むのが実務的でしょう。

3年間で出願者は1,102名→1,661名。難化は実データに出ている

POINT

定員175名は3年間変わっていません。その一方で出願者は2年間で50.7%増え、受験者÷合格者で見た倍率も3.5倍から5.2倍に上がっています。

「国際教養大学は難しくなっているのか」という問いには、公表データで答えられます。

全体の推移(入学定員〜入学者数は大学公表値、右2列は当サイトの計算)

入学年度入学定員出願者数公表倍率受験者数合格者数受験者÷合格者前年からの出願者増減
2024年度1751,1026.3972280約3.5倍
2025年度1751,3707.81,209294約4.1倍+268
2026年度1751,6619.51,453277約5.2倍+291

出典:国際教養大学「過去の入試情報」2024・2025・2026年度入学 正規学生入試(当サイトが2026年9月3日に3年分のPDFを取得し転記)。「受験者÷合格者」と「増減」は当サイトの計算です。

定員は175名で3年間変わらないのに、出願者は2年間で559名(50.7%)増えました。合格者数はむしろ2025年度の294名から2026年度は277名へ減っています。結果として受験者÷合格者の倍率は3.5倍→4.1倍→5.2倍と上がり続けています。これは「難関だと言われている」という評判の話ではなく、大学自身が出している数字の変化です。

ただし、この傾向がそのまま来年も続くとは限りません。上の章で触れたとおり2027年度は区分の構成が変わっており、受験機会の数と分布が動きます。過去3年の傾向は「参考」として使い、出願先の判断は必ず最新の募集要項でしてください。

英語資格が効く3つの場所

POINT

英語資格は「持っていると有利」ではなく、区分によっては出願要件の一つです。ただし総合選抜型も学校推薦型も要件は複数あり、そのうち1つを満たせば出願できます。高校で1年留学した経験そのものが要件になる区分があります。

国際教養大学の入試で英語資格が関わる場面は、大きく3つに分かれます。この整理は上位の受験情報サイトにほとんど載っていない部分です。

英語資格が関わる3つの場面(大学の公表記述より)

場面区分大学の記述位置づけ
①得点への換算一般選抜「英検準1級相当の英語資格を取得している人は、共通テストの英語科目を満点に換算します」必須ではない。あると共通テストの英語が満点扱いになる
②出願要件の一つ総合選抜型入試(4月)「以下の3つの要件のうち、1つを満たしている人が出願できます。」①「英検準1級相当の英語資格を持っている者」②「高校在学中に1年程度留学し、30単位程度認められた者」③「国際バカロレアのDiploma Programを修了し、最終試験6科目に合格している者」3つのうち1つでよい。英語資格がなくても②③で出願できる
③出願要件の一つ学校推薦型入試「以下の要件のうち、いずれかを満たしている人が出願できます。」①「調査書の全体の学習成績の状況が原則として4.0以上であり、かつ英検2級相当の英語資格を持っている者」②「学業やスポーツ、文化活動などの特定分野で、国際大会出場あるいは日本国内の全国規模の大会等で優秀な成績を修めた者またはこれに相当する実績を有する者」①は評定と英語資格の両方が必要だが、②のルートもある

出典:国際教養大学 受験生応援サイト「一般選抜入試(4月入学・A/B日程)」「総合選抜型入試」「学校推薦型入試」の各詳細ページ(当サイトが2026年9月3日に取得し、引用は逐語)。大学は総合選抜型入試について「総合選抜型入試は、高い英語力を持つ人や留学経験者に向いている入試です。」とも書いています。なお総合選抜型入試は専願で、「同日に行われる本学のグローバル・セミナー入試およびグローバル・ワークショップ入試との併願はできません。」とされています。

①の意味は小さくありません。一般選抜のA日程は共通テスト6教科型、B日程は3教科型で、いずれも英語が含まれます。英検準1級相当を持っていれば、その英語が満点として計算されるわけです。逆に言えば、英語資格を持たずに一般選抜へ向かう場合、共通テストの英語で他の受験生の「満点」と競うことになります。

「準1級相当」の中身と、取得時期の落とし穴

「準1級相当」が具体的に何点かは、学生募集要項に載っています。2026年度の一般選抜 学生募集要項では、次のスコアが満点換算の対象とされていました(A日程・B日程・C日程で共通)。

満点換算の対象となる英語資格(2026年度 一般選抜 学生募集要項より転記)

英語資格試験基準
TOEFL iBTテスト72点以上
TOEIC L&R+S&Wテスト1200点以上
英検/英検S-CBT/英検S-Interview準1級以上
IELTSバンド6.5以上
GTEC CBTタイプ/GTEC Advanced1200点以上
TEAP360点以上
TEAP CBT760点以上
ケンブリッジ英語検定(B2 First および B2 First for schools)176点以上

出典:国際教養大学「2026年度 一般選抜入試 学生募集要項」(https://admission.aiu.ac.jp/ug/general/ からリンクされているPDF/当サイトが2026年9月3日に取得)の「3.英語資格等保持者への特例措置」。同項には「当該書類を提出した者については、受験した大学入学共通テストにおける英語科目を満点と換算し、合否判定します。」とあります。これは2026年度入学の要項の内容です。2027年度入学の一般選抜の要項は、当サイトが確認した時点では未掲載でした。基準は変わりうるので、必ず出願年度の要項でご確認ください。提出方法(原本か写しか)も資格によって指定が異なります。

そして見落としやすいのが取得時期です。同じ要項には「なお、全ての英語資格に関し、試験実施団体が定める有効期限のものとし、かつ出願期間最終日から2年以内に取得したものを対象とします。」と書かれています。つまり早く取りすぎると使えなくなる可能性があります。高校1年生の早い時期に取った資格は、高3の冬の出願時点で2年を超えているかもしれません。

避けたい

高1のうちに英検準1級を取って、それで安心してしまう

こうすればOK

出願期間最終日から2年以内という条件があるため、出願時点で有効かどうかを逆算する。必要なら取り直す前提でスケジュールを組む

避けたい

英語資格がないから総合選抜型入試は無理だと考える

こうすればOK

総合選抜型は3つの要件のうち1つでよい。1年間の高校留学+30単位程度の認定でも出願できる

高校留学の経験そのものが出願要件になる

当サイトの読者にとって、いちばん重要なのはここです。総合選抜型入試の3つの要件のうち2つ目が「高校在学中に1年程度留学し、30単位程度認められた者」です。つまり英検準1級相当を持っていなくても、1年間の高校留学で単位認定を受けていれば出願できます。大学自身、この入試を「高い英語力を持つ人や留学経験者に向いている入試です。」と説明しています。

ここで効いてくるのが「30単位程度認められた」という条件です。留学しただけでは足りず、在籍校で単位認定を受けている必要があります。単位認定は学校ごとに手続きも上限も違い、帰国後に申請しても間に合わないことがあります。留学前の段取りは留学の単位認定を確実に受ける手続きで扱っています。3つ目の要件は国際バカロレアのDiploma Program修了(最終試験6科目に合格)で、こちらはIB(国際バカロレア)の高校を検討しているご家庭に関係します。

学校推薦型入試も同じ構造です。①の「評定4.0以上かつ英検2級相当」だけでなく、②として「学業やスポーツ、文化活動などの特定分野で、国際大会出場あるいは日本国内の全国規模の大会等で優秀な成績を修めた者またはこれに相当する実績を有する者」というルートがあります。大学は②について「※該当すると思われる方は出願開始日の1カ月以上前に必ずアドミッションズ・オフィスへ相談してください。」と注意書きを付けています。

合格しても3割は入学しない:併願設計の前提

POINT

4月入学の9区分では合格267名に対し入学182名。とくに一般A日程は合格102名のうち入学45名で、半分以上が他大学へ進んでいます。

受験情報サイトがほとんど扱わないのが、合格者と入学者の差です。2026年度の公表値から計算すると次のようになります。

合格者数と入学者数の差(4月入学の区分。人数は大学公表値、割合は当サイトの計算)

区分合格者数入学者数入学した割合
一般(A日程)10245約44%
一般(B日程)6542約65%
一般(C日程)53約60%
総合選抜型I1717100%
学校推薦型4343100%
グローバル・セミナー2119約90%
グローバル・ワークショップ99100%
4月入学 9区分の合計267182約68%

出典:国際教養大学「過去の入試情報」2026年度入学 正規学生入試。人数は公表値の転記、「入学した割合」は当サイトが入学者数÷合格者数で計算したものです。合計267名は4月入学の9区分(社会人・外国人留学生Iを含む)の合格者を当サイトが足し上げた値で、大学が合計として掲げている277名は9月入学の合格者10名を含みます。9月入学の入学者数は「—」で公表されていないため、182÷277という計算はできません。

この表から読み取れることは明快です。専願の区分(総合選抜型・学校推薦型・グローバル・ワークショップ)は合格者がそのまま入学します。一方で併願が認められている一般A日程は、合格102名のうち入学は45名。半分以上が他の大学に進んでいます。

保護者にとっての意味は2つあります。ひとつは、国際教養大学が多くの受験生にとって「併願先の一つ」として機能しているということ。もうひとつは、専願の区分を選べるなら競争の構造がまったく変わるということです。総合選抜型Iは受験140名に対し合格17名(受験者÷合格者で約8.2倍)と数字だけ見れば厳しいのですが、合格すれば全員が入学しています。つまり「本気で第一志望にしている人だけが集まる場所」で戦うことになります。どちらが自分の子に合うかは、英語資格の有無と併願方針で決まります。

入ってからの難易度とお金:4年間でいくらかかるか

POINT

授業料は年896,000円。県外からなら初年度納入金1,319,000円に加えて寮費622,900円などがかかります。大学自身が「入学金と授業料を除き、最初の年は約90万円」と説明しています。

難易度の話は入試だけで終わりません。国際教養大学は全授業が英語で、1年間の留学が卒業要件に組み込まれている大学です。そのため、保護者が見るべき数字は入試倍率よりむしろ費用と継続率にあります。

学費・寮費・そのほかの費目

学部の学費と主な費用(大学公表値)

項目金額備考
入学金(初年度のみ)県内282,000円/県外423,000円秋田県内出身かどうかで差がある
授業料(年間)896,000円2027年4月以降の入学者が対象。在学生と2026年度入学者は改定前の696,000円
初年度合計(入学金+授業料)県内1,178,000円/県外1,319,000円大学サイトの「合計」欄
寮費622,900円(2026年度予定額)11.5か月分の家賃、朝昼夕のミールプラン、光熱水費、インターネット使用料、退去時清掃費を含む
学生活動費60,000円在学期間分
「親の会」会費20,000円在学期間分
学研災・学研賠保険料4,660円標準修業期間分
教科書代50,000〜70,000円程度/学期
英語能力テスト受験料50,000円前後

出典:国際教養大学「学費」(https://web.aiu.ac.jp/undergraduate/tuition/ /当サイトが2026年9月3日に取得)。同ページのQ&Aでは「入学金と授業料を除き、最初の年にはどのくらいお金がかかりますか?」という問いに「約90万円です。」と大学が答えています。寮費のミールプランには「ゴールデンウィーク、夏休み、年末年始、冬期間〔1月から3月〕などの食事は含まれていません」と注記があります。留学期間中の渡航費・現地生活費は上の表に含まれていません。留学先や時期によって大きく変わるため、必ず大学に個別にご確認ください。

2027年4月以降に入学する場合、4年間の授業料は896,000円×4年=3,584,000円で、県外からの入学金423,000円を足すと4,007,000円になります(当サイトの計算)。改定前の696,000円が適用される2026年度入学者なら、4年間の授業料は2,784,000円です。同じ大学でも入学年度で約80万円変わります。ここに寮費・教科書代・英語テスト受験料、そして留学期間の費用が乗ります。海外大学に直接進学する場合との比較を考えているご家庭は、海外大学の学費と並べて総額で見てください。

「厳しくて辞める人が多い」は数字で確かめられる

全授業英語・留学必修という設計から、「ついていけずに辞める子が多いのでは」という心配が出てきます。大学は入学年度別の入学者数と退学者数を公開しているので、これも確かめられます。

入学年度別の入学者数と退学者数(大学公表値の抜粋)

入学年度入学者数退学者数(累積)退学者の割合
2015年度19717約8.6%
2016年度18419約10.3%
2017年度1929約4.7%
2018年度20114約7.0%
2019年度17917約9.5%
2020年度1856約3.2%
2021年度1888約4.3%
2004〜2020年度の17学年合計3,054195約6.4%

出典:国際教養大学「学生情報」(3)退学者数(国際教養学部)。大学の注記は「※退学者数は2026年5月1日までの累積人数です。」割合と合計は当サイトの計算です。2022年度以降に入学した学年は在学期間が短く、累積の退学者数がまだ出そろっていないため、あえて表に載せていません(比較すると実態より低く見えてしまいます)。同じ理由で、2004〜2020年度の合算だけを全体像として示しています。

卒業まで十分な期間が経過した2004〜2020年度の17学年で見ると、入学3,054名に対し退学は195名、約6.4%です。年度によって3.2%から10.3%まで幅がありますが、「大量に脱落する大学」という像とは異なります。なお、退学と留年・卒業時期の後ろ倒しは別の話です。留学要件や英語要件の関係で在学期間が延びるケースについては大学の公表資料から確認できなかったため、この記事では扱いません。オープンキャンパスや個別相談で直接お尋ねください。

国際系の進路として比べるときの位置づけ

POINT

同じ「国際教養」でも、私立と公立では費用構造も入口の作り方も違います。1校の数字だけを見ず、比較の軸をそろえてください。

国際教養大学は公立大学ですが、授業料は国立大学の標準額より高い水準です。国立大学の授業料の標準額は年535,800円で、2027年4月以降の入学者に適用される896,000円はその約1.67倍にあたります(倍率は当サイトの計算)。さらに寮生活と留学必修があるため、授業料以外の費用も積み上がります。「公立だから安い」とは限らないというのが、この大学を検討するときの最初の注意点です。

他の国際系学部と横並びで見たい場合は、まず国際系学部の見分け方で授業言語・留学の必修有無・4年総額という3つの軸をそろえてから比較すると、話が早くなります。候補校そのものを洗い出す段階なら国際教養学部がある大学の探し方を、私立の1校を同じやり方で検証した例としてはICU(国際基督教大学)の公表データをご覧ください。海外大学に直接出すか国内の国際系にするかで迷っている段階なら、海外大学と国内大学のどちらを選ぶかから入るほうが整理しやすいはずです。

なお、在学生の出身地は関東が249名で最多、次いで東北166名、近畿108名です(2025年9月1日現在の大学公表値)。秋田の大学ではありますが、全国から集まっているという点は、下宿や帰省の費用を見積もるうえで押さえておきたい事実です。在学生数は874名(2026年5月1日現在・国際教養学部)で、規模の小さい大学であることも合わせて確認しておいてください。

国内の国際系と海外大学、4年間の総額を並べて比べる

授業料だけでなく寮費・渡航費・留学期間の生活費まで入れて試算すると、印象と実際の順番が入れ替わることがあります。条件を入れて総額ベースで比較してみてください。

よくある質問

Q.国際教養大学の倍率は結局何倍と考えればよいですか。

どの数字を見たいかによります。大学が公表している2026年度の全体倍率は9.5倍ですが、これは出願者1,661名を入学定員175名で割った値です。実際に試験を受けた人の中での競争率を知りたいなら、受験者1,453名÷合格者277名=約5.2倍(当サイトの計算)を見てください。さらに区分ごとの差が大きく、同じ年でグローバル・セミナー入試は約2.6倍、一般A日程は約3.4倍、一般B日程は約6.3倍、総合選抜型Iは約8.2倍です(いずれも受験者÷合格者・当サイトの計算)。志望する区分の行だけを見るのが実務的です。

Q.C日程はもう受けられないのですか。

受けられません。大学が廃止を明記しています。国際教養大学は2025年3月25日付の予告文書「2027(令和9)年度の入学者選抜の変更について(予告)」で、「2.廃止 (1) 一般選抜試験(C日程)」と記載しています。同じ文書では「総合選抜型入試Ⅱ」「外国人留学生入試Ⅰ・Ⅱ」「編入学・転入学試験Ⅱ(2年次・3年次)」の廃止も予告されています。2026年度入学まではC日程(入学定員5名)があり、その年は出願255名・受験179名・合格5名でした。これにより一般選抜の受験機会は3回から2回になります。ただし入学定員175名は変わりません。C日程の募集人員5名は、大学の説明では「『一般選抜試験(C日程)』の募集人員の振替」としてグローバル・ワークショップ入試(5名→10名)に移されています。

Q.英語資格はどのくらい持っていれば有利ですか。

英語資格がなくても出願できる区分があります。総合選抜型入試(4月)について大学は「以下の3つの要件のうち、1つを満たしている人が出願できます。」として、①「英検準1級相当の英語資格を持っている者」②「高校在学中に1年程度留学し、30単位程度認められた者」③「国際バカロレアのDiploma Programを修了し、最終試験6科目に合格している者」を挙げています。1年間の高校留学で30単位程度の認定を受けていれば、②で出願できます。学校推薦型入試も「以下の要件のうち、いずれかを満たしている人が出願できます。」として、①「調査書の全体の学習成績の状況が原則として4.0以上であり、かつ英検2級相当の英語資格を持っている者」のほかに、②全国規模の大会等での実績によるルートを設けています。一方、一般選抜では「英検準1級相当の英語資格を取得している人は、共通テストの英語科目を満点に換算します」とされています。2026年度の要項ではTOEFL iBT 72点以上、IELTS バンド6.5以上、英検準1級以上などが対象で、「出願期間最終日から2年以内に取得したもの」という条件が付いていました。早く取りすぎると使えなくなる可能性があるので、出願時期から逆算してください。

Q.合格最低点は公表されていますか。

当サイトが確認した大学の公開ページには、合格最低点の掲載を見つけられませんでした。大学が公表しているのは、選抜区分ごとの入学定員・出願者数・倍率・受験者数・合格者数・入学者数で、得点に関する情報はここに含まれていません。受験情報サイトの表で合格最低点の欄が空白や「—」になっているのは、そのためだと考えられます。なお当サイトは偏差値も扱っていません。偏差値は予備校各社が自社の模試から算出した推計値で、母集団が社ごとに違うため、同じ大学でも数字が10ポイント以上ずれることがあるからです。

Q.合格者が定員より多いのはなぜですか。入りやすいということですか。

入りやすいということではなく、他大学へ進む人を見込んで多めに合格を出しているためです。2026年度の一般A日程は入学定員55名に対して102名が合格しましたが、実際に入学したのは45名でした(入学した割合は当サイトの計算で約44%)。一般B日程は合格65名に対し入学42名(約65%)です。一方で専願の区分では、総合選抜型I・学校推薦型・グローバル・ワークショップのいずれも合格者が全員入学しています。併願できる区分ほど合格者を多く出すという構造なので、公表倍率が高くても実際の通過人数は表の見た目ほど狭くありません。

Q.全授業が英語で1年間の留学もあると聞きました。ついていけずに辞める子は多いのでしょうか。

大学が公表している退学者数で見るかぎり、突出して多いということはありません。入学年度別の累積退学者数が公開されており、卒業まで十分な期間が経った2004〜2020年度の17学年で合算すると、入学3,054名に対し退学195名で約6.4%でした(合算と割合は当サイトの計算)。年度別では2020年度入学が約3.2%、2016年度入学が約10.3%と幅があります。ただし退学と、留年・卒業時期の後ろ倒しは別の話です。留学要件や英語要件によって在学期間が延びるケースがどの程度あるかは、当サイトが確認した公開資料からは分かりませんでした。この点はオープンキャンパスや個別相談で直接お尋ねになるのが確実です。

高校のうちの留学も選択肢に入っているなら

英語資格を高2までに取っておきたい、という逆算をするなら、高校在学中の留学の形(交換・認定・短期)も一緒に検討する価値があります。目的に合う形を質問で整理できます。